- 現在表示しているページの位置です。
-
現在地
各診療科・部門のご案内整形外科
特色
高齢化社会の到来に伴い、高齢者の整形外科疾患の増加が予想され、なかでも関節疾患・脊椎疾患での手術の需要は増加するものと予想されます。当院では関節外科・脊椎外科手術に必要な無菌手術室が設置されており、今後も積極的に取り組んでいきたいと思います。
また当院の重要な機能として高齢化社会に対応した高齢者医療への取組みがあげられます。
整形外科では、高齢者に特有な病気、特に関節と脊椎の病気の診断と外科的治療に力を入れています。また地域医療機関からの後送病院としても可能な限り対応しています。
主な症状
このホームページを開けられた方、はじめまして、あるいは再度の来訪された方、どうされましたか?我々は大阪市立十三市民病院 整形外科スタッフ一同です。何かしらの症状で困っていることがあってこちらを訪れられたと思います。整形外科とは、手足の痛みやしびれ、首・腰の痛み、歩きにくさ、骨折などを主に診察・治療する科です。下記のような症状があれば、一度当院を受診してみられてはいかがでしょうか?
症状
下記の症状に当てはまらない方もいらっしゃると思います。その場合でも気軽にご相談していただければ幸いです。
- ①足の痛み・しびれ、歩くと痛い
-
足に沿って痛みやしびれがある方、特に歩くことによって足に沿って症状が強くなる方は腰部脊柱管狭窄症に代表される腰椎疾患の可能性があります。腰椎とは背骨の腰の部分で、脊柱管という神経の通り道があります。その脊柱管が狭くなり(狭窄)、神経を圧迫することで下肢の神経痛が引き起こされる疾患です。65歳以上の高齢者で特に多く認められます。歩行中に徐々に下肢痛が増悪してきます(間欠性は行、と呼びます)。若い方の場合は、腰椎椎間板ヘルニアという疾患の可能性があります。
診断・検査としてはMRIが有用です。それにより神経を画像として評価して診断につなげます。治療は保存的治療(内服薬・ブロック注射など)、手術の2つに大きく分けることができます。内服薬は神経の改善しやすい環境を整えたり、神経痛を和らげたりします。内服薬で効果が乏しい場合は、腰椎の脊柱管内に走行している神経に対して注射を行ったりします。保存的治療の効果が乏しい場合、あるいは症状が強い場合は、手術を行います。手術は神経への圧迫などのダメージを軽減することを目的としています。当院では手術中の神経の損傷するリスクを減らすため手術用の顕微鏡を使用して行うこともあります。 - ②手の痛み・しびれ、手が使いにくい
-
手に沿って痛みやしびれがある方、あるいは細かい作業がしにくくなった方は頚椎症性脊髄症に代表される頚椎疾患の可能性があります。頚椎とは背骨の首の部分で、腰と同様に脊柱管という神経の通り道があります。その脊柱管が狭くなり(狭窄)、神経を圧迫することで上肢の神経痛が引き起こされる疾患です。場合によっては手による細かい作業に支障を来したり(巧緻障害、と呼びます)、程度がひどくなると歩行にも支障を来したりすることもあります。腰の場合と同様、高齢者に多くみられる疾患です。若い方の場合は頚椎椎間板ヘルニアという疾患の可能性があります。
診断・検査としてはMRIが腰の場合と同様に有用です。それにより神経を画像として評価して診断につなげます。治療は内服薬による保存的治療と手術の2つに大きく分けることができます。保存的治療では内服薬で神経の改善しやすい環境を整えたり、神経痛を和らげたりします。巧緻障害が著明な場合は、神経の圧迫を軽減する手術を早急に行うことが望ましいです。 - ③膝関節が痛い、股関節が痛い
-
膝関節・股関節が痛い方、特に階段の上り下りも苦労される方は変形性関節症の可能性があります。年齢による影響で関節が変形して痛みを引き起こします。変形が強くなると関節内に水が溜まって腫れてくることもあります。
診断はレントゲンで変形を確認します。症状が軽度の場合であれば、内服や関節内注射(ヒアルロン酸など)で痛みを和らげます。また装具などを作製して関節への負担を減らします。変形と症状が強い場合は、例えば夜も眠れないほど痛いなど、手術を行います。手術は変形してしまった関節を人工のものに置き換える人工関節置換術を行います。
膝関節では変形の程度が弱く膝関節内にある半月板というクッションが主に痛んでいる場合があります。そのときには関節鏡手術という体への負担の小さい手術を行うこともあります。 - ④骨粗鬆症が気になる
-
御高齢の方では、特に女性の場合、骨の強度が弱くなる骨粗鬆症になる方が増えてきます。骨強度が弱くなると、ちょっとした衝撃で骨折になりやすくなります。背骨などが骨折すると強い痛みと変形が生じる可能性があり、生活がしにくくなります。
診断には骨強度の1つの指標である骨密度測定が有用です。骨粗鬆症への治療は内服や注射薬などで、それにより骨密度の改善を図ります。当院では骨粗鬆症に対して有効度が高い副甲状腺ホルモンの自己注射なども行っております。また背骨の骨折などによる変形を予防するためにコルセットなどを使用することがあります。
骨粗鬆症のひどい方では背骨の一部に偽関節という変形が遺残して強い痛みが生じることがあります。その場合、手術などで痛みの改善を図ることがあります。 - ⑤全身の節々が痛い、特に手がこわばって痛い
-
全身の関節が痛い、特に朝の手のこわばりが長時間継続される方は関節リウマチの可能性が考えられます。関節リウマチとは関節の軟骨が破壊されていく疾患です。治療しないままで放置しておくと関節が破壊されて痛みと使いにくさが増していきます。破壊された関節は残念ながら元に戻す方法はなく、そのため早期発見して関節破壊を予防する必要があります。
診断には採血などの検査を必要とします。治療は内服や注射で関節リウマチをコントロールします。関節破壊が著明な方の場合は、上述したように元に戻すことができないため手術によって人工の関節に置き換えたり、変形を矯正したりすることがあります。 - ⑥骨折
-
転倒や交通事故などによる外傷で身体の様々な骨が折れることがあります。御高齢の方では手関節・股関節での骨折が非常に多いです。変形がほとんどなければギブスなどで関節を固定して治療を行いますが、変形が強い場合では手術を行う必要性があります。特に股関節の骨折では歩くことが困難になり寝たきりになる可能性が高くなるため、手術を早期に行う必要が非常に高いです。
治療内容
当院では2019年秋より人工股関節置換術において先進技術であるナビゲーションシステムを導入いたしました。
変形性股関節症、中高年男性に多い大腿骨頭壊死症、高齢女性に多い急速破壊型股関節症や大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折、関節リウマチなどで股関節の変形や破壊が高度な場合、痛みの強い関節を金属やセラミックなどの人工物に置き換える手術を人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty、以下THA)といいます(図1)。骨盤側と大腿側にそれぞれ人工のインプラント(図2)を設置しますが、その際適切な位置や角度で設置することが非常に重要で、手術後の人工関節の耐久性や術後合併症の一つである脱臼発生にも大きくかかわってきます。
ナビゲーションシステムは、インプラントを術前の計画通り正確に設置するための助けとなるシステムです。具体的には、手術前に股関節のCTを撮影して立体モデルを含めた三次元で関節を観察し、患者様ごとの適切なインプラント設置位置を計画しておきます(図3)。手術中は、股関節表面の位置情報を登録して術前のCT画像上の関節とマッチング(一致)させます。次いで手術器械の位置情報を読み込むことによって、コンピューター画面上にインプラントの位置をリアルタイムに表示することができ、術前計画に沿った設置が可能となります(図4)。
従来のTHAと比べ正確な設置が可能となり、合併症の少ない手術が提供できると考えております。股関節痛で悩まれている方はぜひ一度受診してみてください。
2021年より3Dモデルガイド下脊椎固定術を導入致しました
腰椎固定術を必要とする方を対象として、患者さん専用の手術支援機器を作成して行う、3Dモデルガイド下脊椎固定術を導入致しました。術前に撮影した腰椎CTデータを元に、正確で安全なインプラント挿入ができるガイドを作成し、実際の手術で使用します。筋肉へのダメージが少ない低侵襲、低被爆の腰椎固定術が可能となり、退院や職場への復帰時期が早くなります。
2021年秋より全脊椎内視鏡下手術を導入致しました
腰椎椎間板ヘルニア摘出術を必要とする方を対象として、全脊椎内視鏡下手術(Full endoscopic spine surgery; FESS)を導入致しました。FESSは約1cmの創で手術が可能で、内径8mmの筒の中で全ての手術操作を行います。背筋へのダメージや術後の創部痛が少なく、また生理食塩水の還流下に手術を行うため創部感染リスクが低いと考えられます。従来の脊椎内視鏡手術(MED)とはコンセプトが全く異なる術式です。
症例によっては局所麻酔下でも手術は可能ですが、動かずにうつ伏せを維持して頂くことは難しいため、当院では全身麻酔下に手術を行うことが多いです。
スタッフ紹介
役職 | 氏名 | 専門分野 | 認定・資格等 |
---|---|---|---|
部長 | 坂和 明 | 整形外科一般 関節外科(人工膝・股関節) 関節リウマチ |
日本整形外科学会専門医 日本リウマチ学会専門医 日本リウマチ財団登録医 身体障害者福祉法第15条による「肢体不自由」指定医 |
副部長兼中央臨床検査部長 | 榎原 恒之 | 整形外科一般 膝人工関節 |
日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会認定スポーツ医 |
リハビリテーション科部長 兼副部長 |
青野 勝成 | 骨軟部腫瘍外科 小児骨軟部腫瘍外科 外傷外科 |
日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会認定骨・軟部腫瘍医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 |
医長 | 林 和憲 | 整形外科一般 脊椎外科(低侵襲脊椎手術) |
日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医 日本脊椎脊髄病学会指導医 脊椎脊髄外科専門医機構認定専門医 AOSpine short-term clinical fellowship 修了 (Ganga hospital,インド) Qualite de chirurgien faisant founction d'interne (Bordeaux University,フランス) |
医長 | 窪田 穣 | 整形外科一般 手外科 |
日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会認定スポーツ医 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医 日本整形外科学会認定リウマチ医 |
医長 | 伴 祥高 | 一般整形・外傷 転移性骨腫瘍 骨・軟部腫瘍 |
日本整形外科学会専門医 日本がん治療認定医 大阪公立大学博士(医学) 身体障害者福祉法第15条による「肢体不自由」指定医 |
主な診療実績(2022年度)
領域 | 術式 | 症例数 | |
---|---|---|---|
関節外科 | 人工関節置換術 | 39 | |
股関節 | 19 | ||
膝関節 | 20 | ||
人工骨頭挿入術(股関節) | 11 | ||
関節鏡手術 | 2 | ||
その他 | 6 | ||
合計 | 58 | ||
脊椎外科 | 頸椎椎弓形成術 | 8 | |
頸椎前方固定・後方固定 | 3 | ||
胸椎手術 | 3 | ||
腰椎手術 | 65 | ||
前方固定術 | 6 | ||
後方椎体間固定術 | 19 | ||
後方内視鏡手術 | 18 | ||
椎弓形成術 | - | ||
後方除圧・ヘルニア手術 | 22 | ||
椎体形成術 | 6 | ||
その他 | 10 | ||
合計 | 95 | ||
末梢神経 | 手根管開放術 | 10. | |
肘部菅症候群 | 1 | ||
腱鞘切開 | 29 | ||
腱剥離術 | 4 | ||
神経・その他 | 3 | ||
合計 | 47 | ||
骨折手術 | 観血的手術 | 59 | |
大腿・膝・下腿・足 | 21 | ||
鎖骨・上腕骨・前腕 | 38 | ||
抜釘術 | 19 | ||
経皮的鋼線刺入術・その他 | 4 | ||
合計 | 82 | ||
その他 | 四肢切断 |
2 |
|
上肢腱縫合術 | 2 | ||
アキレス腱縫合術 | 3 | ||
四肢軟部腫瘍摘出術 | 13 | ||
その他 | 0 | ||
合計 | 22 | ||
合計 | 304 |
研究業績
受診される方へ病院からのお願い
以前に困っている症状で受診されていた病院・診療所があれば、そこからの紹介状があると診療で役立ちます。出来れば持っていただけると助かります。また日ごろから使用している内服薬やお薬手帳があれば持参していただけると紹介状と同様に診療に役立ちます。そちらも併せて持っていただけると助かります。