当院のご案内病院長挨拶
はじめに
大阪市立十三市民病院
病院長 倉井修
大阪市立十三市民病院は平成14年5月に阪急十三駅近くの十三東地区から阪急神崎川駅が最寄りの野中北地区に建て替え・移転となり、現在に至っています。大阪市内では淀川以北で唯一の公的病院であり、平成22年に旧大阪市立北市民病院から結核病棟を移設し、平成29年にHCUを開設するなど医療機能の充実に努め、19診療科を備える263床の総合病院として地域に密着した急性期医療を担ってきました。令和2年5月からの約3年間は「コロナ専門病院」として多くの新型コロナ感染患者の入院治療に対応してきましたが、令和5年5月からは「コロナ専門病院」の看板を外し、現在は救急・がん・感染症を3つの柱として一般診療の拡大に力を注いでいます。
紹介患者の受け入れについて
当院は令和7年3月から紹介受診重点医療機関の指定を受けました。外来診療時間内における地域の先生方からの紹介患者だけでなく、予約無しでの当日外来受診も受け入れていますので、是非ともご紹介いただければと考えています。更に、糖尿病・内分泌内科、消化器内科、産婦人科と小児科では午後初診外来を行っていますので、ご利用ください。病状が安定すれば逆紹介させていただきます。また、上下部消化管内視鏡検査、単純/造影CT・MRI検査、超音波検査(腹部, 心臓, 頸動脈)、骨塩定量検査、呼吸機能検査は地域医療連携室を介した直接予約が可能です。
大阪市立十三市民病院のアピールポイント
#1. 救急への対応
平成30年より開始した内科2次救急は、令和元年度には救急車が年間1000台以上搬送される状況でした。しかし、当院が「コロナ専門病院」となった令和2年5月から一旦中止していましたが、令和5年5月から「コロナ専門病院」の看板を外し、内科2次救急を再開し、HCUも再稼働して、一般診療を拡大しました。その結果、令和6年度は救急車搬送件数が年間1000件を超えました。今後も、地域に密着した急性期病院であり続けるために先生方からの緊急診療要請や入院要請に十分応えていきたいと考えています。
#2. 大阪府がん診療拠点病院
令和2年4月に大阪府がん診療拠点病院の指定を受け、大阪市北部地域のがん診療の充実をめざし、コロナ禍以降も、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、子宮がん、膀胱がんなど様々な癌腫の診断と専門的治療を行っています。そして、昨年度より「緩和ケア内科」を標榜し、今年度から「緩和ケア病棟」をオープンしました。「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」をモットーに、がんの終末期医療に対応しています。緩和ケア医と緩和ケア認定看護師が中心となって、がん患者およびご家族からの個別相談に応じ、穏やかな日常生活を過ごすために生じてくる問題には緩和ケアチームと連携して対応しています。がん相談支援センターが主催する「がん患者サロン」や「ふれあい広場」もご利用いただければありがたいと思います。
また、コロナ禍で中止していたがん検診については、肺がん・子宮頸がん・胃がん・大腸がん・前立腺がんおよび乳がん検診(マンモグラフィのみ(女性技師撮影)・視触診なし)を再開しています。がん検診は大阪市がん検診事業をご利用可能です。
#3. 感染症医療
元々は大阪市内で唯一結核病床を有する病院でしたが、令和2年春より新型コロナの重点医療機関として多くの新型コロナ感染患者の入院治療に対応してきました。そして、「コロナ専門病院」の看板が外れた令和5年10月に結核診療を再開しました。今後も公的病院として、結核患者および新型コロナを含めた新興・再興感染症患者の入院治療を社会の需要に応じて行っていきます。
#4. 低侵襲治療を積極的に導入
外科・消化器外科では多くの進行がん患者と胆嚢結石・鼠径ヘルニアおよび虫垂炎の患者に腹腔鏡手術を積極的に取り入れ、消化器内科では肝がんに対する経皮的ラジオ波焼灼療法を行っています。また、整形外科, 泌尿器科や婦人科でも鏡視下手術を導入しています。
#5. 内視鏡センター
患者の希望により鎮静下での内視鏡検査が主となっています。内視鏡センターでは上部・下部消化管内視鏡・胆膵内視鏡および超音波内視鏡による検査および治療を行っており、特に早期の胃がんや大腸がんには内視鏡的粘膜剥離術による完治を目指した治療を行っています。
#6. 「赤ちゃんにやさしい病院」
コロナ禍で休止になっていた分娩は令和4年6月より再開しています。現在はかかりつけ先生方との連携が十分可能なセミオープンシステムで対応しています。また、当院は「赤ちゃんにやさしい病院」に認定されていて、母子同室、母乳育児支援に尽力しています。そして、産後ケアを必要とする出産後1年を経過しないお母さんと乳児に対して、心身のケアや育児サポートを行い、産後も安心して子育てができる支援体制を確保する産後ケア事業に参画しています。
#7. チーム医療
当院には多職種による医療チームが現在16チーム存在し、それぞれが活発に活動しています。例えば、感染対策チーム主導の厳密な院内感染防止対策の実施、糖尿病ケアチームによる病院内における糖尿病患者への係わりや世界糖尿病デーに合わせた地域住民体験型イベントである糖尿病フェスタの開催などです。個々の医療チームには、認定看護師など分野ごとに様々な資格を持ったスタッフがいて、医療のタスクシェア/タスクシフトが実践されています。活動内容の詳細は、この冊子の医療チーム紹介をご覧いただければと思います。
#8. 災害医療
当院は市町村災害医療センターの指定を受けているため、現在、院内で災害対策を推進しています。そして、淀川区役所・淀川区医師会・歯科医師会・薬剤師会および淀川区内の医療従事者と密に連携して、自然その他災害時に対応ができるように努めています。
患者無料送迎バスについて
平成29年7月から運行を開始した患者無料送迎バスは、現在、「阪急三国駅」方面、「JR加島駅」方面、「JR塚本駅」方面および「阪急十三駅」方面の4ルートがありますが、乗車時間の短縮と便数の増加によるご利用者の利便性改善を目的として、令和6年5月より4つの駅と当院との直行便に変更しました。停車位置および発着時間の変更など詳しい内容につきましては、ホームページおよびLINEに掲載しています。地域の先生方が患者さんを紹介していただく際や患者さんが通院される際の交通手段の一つになれば何よりです。
おわりに
新興・再興感染症と結核を含め、様々なニーズに貢献しうる急性期総合病院であり続けるために、今まで以上に診療内容を充実させ、地域の先生方との連携をさらに深めて、患者満足度を向上できるよう、職員一同努力してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。