大阪市立総合医療センター,Osaka City General Hospital

TEL.06-6929-1221

TEL. 06-6929-1221

疾患概説 不整脈内科

不整脈内科で行う治療について

●カテーテルアブレーション

 足の付け根などからカテーテルを心臓に挿入し、不整脈の原因となる心筋組織を焼灼することによって頻脈性不整脈を根治する治療です。近年、この分野の著しく進歩を遂げており、頻脈性不整脈のほぼ全てが治療対象になります。以前は抗不整脈薬を服用し続けないといけなかった患者さんも、この治療により薬物療法を中止することが可能になります。
また、当院では現在のアブレーション治療において必要不可欠となっている3Dマッピングシステム(CARTO、ENSITE、RHYTHMIA)も完備し、最新のアブレーションを行うことが可能です。
対象となる疾患:心房細動・心房粗動・心房頻拍・発作性上室性頻拍/WPW症候群・心室頻拍

 頻脈性不整脈に対するアブレーション治療の中でも多くを占めるのが “心房細動“ という不整脈です。心房細動は動悸・息切れなどの生活の支障となるような症状をもたらすだけではなく、たとえ無症状でも脳梗塞や心不全などを引き起こす可能性がある不整脈です。詳しくは下記のリンク 『心房細動とは』 をご覧ください。以前は、不整脈を抑えるお薬などで様子をみることも多かったですが、アブレーション治療の目覚ましい進歩により有効性・安全性が向上し、近年では積極的にアブレーション治療で根治を目指すことが増えています。当院では、組織を焼灼することで治療を行う高周波アブレーションに加えて、冷凍凝固により治療するクライオバルーンによる治療も行っています。クライオバルーンによる治療は高周波アブレーションと比べて成績は同等ですが、手術時間が1時間程度と短時間で施行が可能です。ただ、高周波アブレーション、冷凍凝固アブレーションのどちらを選択するのかについては、患者さんの心臓の形態や不整脈の状況により決定しますのでご了承ください。また、心房細動のアブレーション治療は患者さんの苦痛がないように静脈麻酔薬を用いて手術を行っています。
 一般的に発症早期の発作性心房細動では治療成績が良く、心房細動の持続期間が長くなるにつれ治療効果が低下しますので心房細動は早期発見、早期治療が大切です。
 通常、心房細動アブレーションの入院期間は3泊4日で、入院費用は高額医療制度を申請していただくと10万円程度となります。

参考)日本不整脈学会ホームページより
心房細動とは:http://new.jhrs.or.jp/contents_jhrs/atrial_fibrillation_mp4/m01j.html
心房細動アブレーション治療:http://new.jhrs.or.jp/contents_jhrs/atrial_fibrillation_mp4/m03j.html

不整脈
不整脈2

不整脈デバイス治療について

●ペースメーカ

 ペースメーカは脈が遅くなる徐脈に対する治療法です。一時的に心臓(心室)が停止してめまいや失神をきたす場合や、持続的に脈が遅いために息切れや浮腫などの心不全症状がみられる場合に適応となります。
 通常、左胸にペースメーカ本体を、リード(電線)を右心房と右心室に留置し、遅くなった心臓の動きを補助します。電池はおおよそ10年ですので、電池が消耗した場合には電池交換が必要となります。
 以前は、MRIの撮影はできませんでしたが、現在は条件付きではありますが、撮影可能となっております。 

不整脈3

※刺激伝導系ペーシングについて:ペースメーカ植込を行った患者さんの中で、その後に心機能が低下してしまう患者さんがおられます。心室の刺激が必要となる患者さんの10-15%程度でこの現象は起きると報告されています。このような現象を防ぐために本来の心臓に備わっている心臓内の伝線(刺激伝導系)を直接刺激することを目指した刺激伝導系ペーシングが現在注目されています。この刺激伝導系ペーシングは通常のペースメーカ適応となる患者さんのみではなく、心不全治療として行われる両室ペーシングが適応となる患者さんに対してもその有効性が報告されています。当院では、この刺激伝導系ペーシングを積極的に行っており、従来のペーシング手法と比べてより良好な成績が得られております。
 
 

 -リードレスペースメーカ
平成29年よりリードレスペースメーカの植込みが可能となりました。リードやペースメーカポケットによる合併症がなくなるという大きなメリットがあります。すべての徐脈性不整脈に適応となるわけではありませんが、病状に応じて使い分けています。

不整脈4
植込型除細動器

植込み型除細動器は、心室細動・心室頻拍という突然死の原因となる心室性不整脈を起こした患者さんやこれらの不整脈を起こす危険性の高い患者さんに対して行う治療法です。
従来はペースメーカ機能を併せ持つ経静脈植込み型除細動器のみでしたが、平成28年からは皮下植込み型除細動器も可能となりました。皮下植込み型除細動器は徐脈のためのペーシングが不要な場合に適応となります。患者様の病状に応じて使い分けています。

不整脈5
両室ペースメーカ・両室ペーシング機能付き植込み型除細動器

 左心室の機能(心ポンプ作用)の低下した患者さんの中には心臓内の電気の流れに異常をきたしている患者さんがおられます。これを是正し、左心室の機能を回復させるために行うのが心臓再同期療法(両室ペーシング)といわれる治療法です。通常のペースメーカは右心房と右心室にリード(電線)を留置しますが、両室ペースメーカではさらに左心室側にもリードを追加します。致死性不整脈のリスクが高い場合には植込み型除細動器と合わせて行う場合もあります(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)。

huseimyaku5

両室ペースメーカ

huseimyaku6

両室ペーシング機能付き植込み型除細動器

植込み型心臓モニター

植込み型心臓モニターは原因が同定できない失神に対して心臓が原因かどうかを調べるため、もしくは原因不明の脳梗塞に対して心房細動が潜んでいるかどうかを調べるために行う診断のための植込みデバイスです。

huseimyaku7
huseimyaku8
経皮的左心耳閉鎖術

 心房細動に起因する心原性脳梗塞の予防として、ほぼ必須である抗凝固薬の有用性はよく知られています。しかし、その副作用である出血のリスクも考慮しなければならず、出血リスクの高い患者さんの場合、抗凝固薬の投与を行うかどうか、判断が難しいのが現状だと思います。
 左房内血栓の90%以上が左心耳内に形成されることが知られており、その左心耳を閉鎖することにより、抗凝固薬の中止を可能とするのが左心耳閉鎖デバイス(Watchman)です。
 WATCHMANは、脳梗塞のリスクが高く、かつ、抗凝固薬による出血のリスクも高い患者さんが適応となります。

huseimyaku9

 左心耳閉鎖デバイス(Watchman)は全身麻酔下にカテーテルを用いて行います。下大静脈から心房中隔を経由し左房にアプローチし、経食道心エコーガイドで留置します。手技時間は約1時間程度です。数か月後には内皮化され、抗凝固薬の中止、抗血小板薬への変更が可能となります。 

PAGE TOP