外来化学療法室
外来化学療法とは
抗がん薬を投与する薬物療法は、手術療法、放射線療法と並ぶ有効ながんの治療方法です。近年、抗がん薬の副作用を和らげる薬が進歩し、がん薬物療法を外来(通院)でも受けていただけるようになってきました。このように、外来で受けるがん薬物療法を外来化学療法と呼びます。
がん治療の進歩は目覚ましく、画期的な治療法が次々と開発されています。がん細胞を攻撃する従来の抗がん薬以外にも、がん細胞が持っている特定の分子だけに作用する「分子標的治療薬」や、がんが免疫作用をすり抜ける仕組みを阻害する「免疫チェックポイント阻害薬」などの新しい薬物が開発され、ますます治療の選択肢が増加しています。当院ではこれらの薬剤も、外来化学療法室で治療することができます。
どの薬剤を使用するのが最も効果が高いかは様々な要因が関連しますので、主治医とよく相談して決めていただきます。
当院の特長
総合医療センターは46の診療科を有し、がんに対しても国から「高度型地域がん診療連携拠点病院」および「小児がん拠点病院」の両方の指定を受けています。2021年度の治療件数は年間14,410件で、小児から成人まで幅広い年齢層の患者さんに専門性の高い治療を提供しています。
この特長を活かし、当院の外来化学療法室では、がんの治療を専門とする腫瘍内科を中心とした各診療科医師、薬剤師、看護師等のチームで、皆様の治療をサポートいたします。
サポート体制
外来化学療法室内にはがん化学療法看護認定看護師3名を含む専門性の高い看護師15名が在籍し、日常生活の過ごし方や副作用の対処法など、さまざまなご相談に対応し、安全で安心できる治療、看護の提供に努めています。
がん薬物療法に精通した薬剤師(がん専門薬剤師、外来がん治療認定薬剤師)も在籍しており、投与する抗がん薬の投与量や点滴の方法が正しく予定されているか確認したうえで、外来化学療法室に設置している安全キャビネットで抗がん薬の調製を行い、安全ながん薬物療法の提供に努めております。さらに、分かりやすく薬剤の情報提供や丁寧な副作用の聞き取りにも取り組み、安心な治療環境の提供にも努めています。
チームによる医療
がん薬物療法の適正使用を目的としたレジメン委員会や免疫チェックポイント阻害薬適正使用委員会などがん薬物療法関連の各種委員会を通して、外来化学療法室を利用する診療科や副作用のサポートを行う診療科と連携しています。
体調のことや生活のことなど、治療を受けるうえで様々な気がかりがあると思います。皆様に安心して治療を受けていただけるよう当院では経口抗がん剤を含めたすべてのがん薬物療法を受ける患者さんに対して、総合病院であるメリットを活かし、様々な職種や医療チームと連携しながら、皆様の療養生活をしっかりとサポートしてまいります。
副作用
がんの治療に使われる薬は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響をあたえるため、どうしても副作用が現れます。副作用は個人差があり、病状や薬の種類や量などでも異なりますが、血液中の白血球や血小板の減少、貧血、吐き気や食欲低下、脱毛、体のだるさなどがもっともよくみられます。また、免疫チェックポイント阻害薬においては、一般的には副作用が少ないといわれていますが、免疫が活性することによる副作用(下痢や肺炎、ホルモンの異常など)がおこることがあります。
副作用は早めに対応することによって軽減することができますし、症状が重くなるのを防ぐことができます。自覚症状のない副作用を早期に発見するために、定期的に検査を行っています。
治療中に気になる症状があれば、どうぞ主治医、看護師、薬剤師にご相談ください。