腎臓・高血圧内科

IgA腎症

IgA腎症はもっとも多くみられる慢性腎炎です。

 

腎生検で診断され、当科では700人以上の患者さんを診療して参りました。

 

治療には、レニン・アンジオテンシン系阻害薬(血圧の薬)、扁桃摘出術ステロイドパルス療法などがあり、寛解(完治)へと導けるように努めています。

IgA腎症のくわしい解説はこちら

腎臓の糸球体についたIgA(腎生検)

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は、尿にたくさんのタンパク尿が漏れ出ることで、血の中のタンパク質が減ってしまい、手足を中心に全身がむくむ病気です。

 

タンパク尿が続くことで、腎臓の力が落ちてしまうことがあります。

 

代表的な疾患は、微少変化型ネフローゼ、膜性腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎や、全身性疾患から引き起こされるループス腎炎、糖尿病性腎臓病、アミロイドーシスなどです。

 

治療法は病気のタイプによって様々ですが、レニン・アンジオテンシン系阻害剤、ステロイド剤、免疫抑制剤などの薬が使われます。

糖尿病性腎臓病

糖尿病性腎臓病(糖尿病性腎症)は、わが国における透析導入の原因となる病気の40%以上を占め、20年程前から第1位となっています。

 

当院でも新しく透析を導入される患者さんの半分くらいがこれにあたります。

 

このため、腎臓高血圧内科では、糖尿病性腎臓病の患者さんに対して腎臓病教室を受講して頂き、その進行を抑える指導をしております。

 

また、糖尿病内科でも糖尿病透析予防指導を行い、その予防に努めています。

透析導入の原因となる病気の年次変化

多発性嚢胞腎

常染色体優性多発性嚢胞腎は、腎臓にのう胞という袋がたくさんできて、だんだん大きくなるために、腎臓の力が少しずつ落ちていく病気です。

 

これまで、効果的な治療法はありませんでしたが、20143月からサムスカ®(トルバプタン)が使えるようになりました。この薬には、のう胞が大きくなることや腎臓の力が落ちるのを抑える効果があります。

 

20151月から難病医療費助成制度の対象となり、費用負担が軽くなって、より身近な薬となりました。お薬を始める時には、水分摂取の練習や副作用のモニタリングなどのために短期間の入院が必要です。

 

当科の医師は処方をするのに必要な、eラーニングを受講しております。

 

当院では腎臓の大きさを正確に測定するための3次元画像解析システムVINCENTを導入しており、年々の変化や治療効果を評価することが可能です。

VINCENTでCTから腎臓の大きさを測定します。

ファブリー病

ファブリー病は、細胞の中にある、アガルシダーゼαという酵素の力が弱っているために、糖脂質が蓄積して、全身の臓器に障害を起こす遺伝性の病気です。

 

心臓、腎臓、皮膚、神経、眼など全身の臓器が弱る可能性があるため、早期診断、早期治療が重要になります。

 

当院の遺伝子診療部では、採血による迅速な遺伝子診断が可能です。また臨床検査部では、ファブリー病に特徴的な尿所見である、マルベリー小体の同定が可能です。

 

治療に関しては、2004年から点滴による酵素補充療法が可能となり、当院でも数人の患者さんに行っております。また最近シャペロン療法も可能になりました。

尿中マルベリー小体

透析療法(血液透析・腹膜透析)

慢性腎炎、糖尿病性腎臓病、高血圧性腎硬化症など種々の腎臓病が原因で、腎臓の力がだんだんと落ちていき、生命にかかわるような状態になった場合、透析療法で救命をする必要があります。

 

透析が必要となるのは、①尿毒素がたまったために吐き気や嘔吐が続き、食事が食べられなくなる、②全身に水がたまって心不全から呼吸が苦しくなる、③カリウムがたまって心臓が止まってしまうような不整脈を起きてくる、などの場合です。

 

実際のところは、安全のために、このような状態になる前に透析をはじめることが肝腎です。当院では、透析療法(血液透析腹膜透析)を、1年間に80人ほどの患者さんに導入しております。

 

透析療法選択の手助けとして、専門看護師による腎代替療法外来を開設して、十分な理解のもとでの透析導入に努めています。

 

血液透析の場合は、入院で内シャント術を行った後に透析を導入します。数回行って、ある程度おちついた段階で、患者さんのご自宅近くの透析施設へ外来通院して頂くことになります。

 

腹膜透析の場合は、入院で腹膜透析用のチューブを挿入して、2週間ほど御自分で透析液の入れ替えをして頂けるように練習をします。これができるようになった段階で退院となり、当院の外来に1か月に1日程度通院して頂くことになります。

血液透析

腹膜透析

腎移植

透析導入する前、または導入した後に、泌尿器科で実施しています。

 

生体腎移植は年間約20人の患者さんに行っており、5年生着率は約95%です。

腎臓・高血圧内科入院診療実績

2024年度 病棟入院実績:568例
腎臓・高血圧疾患 計402例
疾患名 例数 疾患名 例数
慢性腎臓病 144例 末期腎不全 90例
慢性糸球体腎炎 86例 ネフローゼ症候群 35例
急性腎障害 17例 遺伝性腎疾患(多発性嚢胞腎、ファブリ病) 8例
間質性腎炎 6例 電解質異常(高K血症、高Na血症、低Na血症、低K血症) 5例
高血圧症(悪性高血圧、二次性高血圧症) 2例 その他(腎移植後拒絶反応、シャント閉塞など) 9例

 

膠原病・膠原病類縁疾患 40例
疾患名 例数 疾患名 例数
全身性エリテマトーデス 11例 多発性筋炎・皮膚筋炎 8例
ANCA関連血管炎 7例 ベーチェット病 3例
関節リウマチ 3例 その他(IgG4関連疾患、サルコイドーシス、キャッスルマン病など) 8 例
感染症疾患 計84 例
疾患名 例数 疾患名 例数
肺炎、気管支肺炎、気管支炎 19例 COVID-19 14例
尿路感染症 13例 感染性胃腸炎 7例
腹膜炎、CAPD 腹膜炎 6例 蜂巣炎 5例
敗血症・菌血症 5例 憩室炎 5例
感染性腎嚢胞 3例 その他(リステリア脳炎、歯肉炎、帯状疱疹、脊椎炎、肺アスペルギルス症など) 7 例
その他 計42 例
疾患名 例数 疾患名 例数
圧迫骨折 3例 心不全 7例
重症下肢虚血 4例 脳梗塞 2例
小腸出血 2例 その他(脱水症、直腸穿孔、多発性骨髄腫、貧血、めまい症、心身症など) 24例
2024年度 腎生検実績:121 例

 

疾患名 例数 疾患名 例数
IgA腎症 42例 minor glomerular abnormality 10例
微小変化型ネフローゼ症候群 8例 糖尿病性腎症 8例
腎硬化症 8例 間質性腎炎 8例
ループス腎炎 7例 IgA 血管炎 7例
膜性腎症 6例 巣状糸球体硬化症 2例
半月体形成性糸球体腎炎 2例 アミロイドーシス 2例
薬剤性腎障害 2例 血栓性微小血管障害 2例
膜性増殖性糸球体腎炎 1例 感染関連糸球体腎炎 1例
ファブリ病 1例 肥満関連腎症 1例
サルコイドーシス 1例 急性尿細管壊死 1例
Light chain cast nephropathy 1例

 

2024年度 透析導入実績:169例
血液透析導入:130例

疾患名 例数 疾患名 例数
糖尿病性腎症 36例 腎硬化症 25例
慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群 21例 その他(遺伝性腎炎、急性腎障害、不明など) 48例
腹膜透析導入:20例
腎移植:19 例(生体腎18 例、献腎1 例―腎移植透析部にて)
2024年度 腎不全教育入院:75

業績


著書

  1. 森川貴:『腎生検の適応と禁忌』 腎と透析 2024 年97 巻増刊号:腎疾患の診断と治療・最前線I-3 東京医学社 p.13-16 2024 東京
  2. 小西啓夫 看護のギモン 編著 西口幸雄、久保健太郎:『アルブミンにラシックス®(フロセミド)を入れていいの?なぜ入れるの?』 照林社 p.216 − 217 2024 東京

論文

  1. Daisuke Yamazaki, Yoshio Konishi, Kento Kitada:『Effects of renal denervation on the kidney: albuminuria, proteinuria,and renal function』 Hypertens Res , 2024 47(10):2659-2664. doi: 10.1038/s41440-024-01709-4
  2. Katsushi Nagatsuji, Takashi Morikawa, Natsuki Ide, Ryuichi Kunishige, Shiho Takahata, Aoi Matsuki, Keita Kadosawa, Yuko Sakata, Daisuke Yamazaki, Mikiko Shibata, Masahiro Hamada, Chizuko Kitabayashi, Akira Nishiyama, Yoshio Konishi:『Adverse reactions and effects on renal function of COVID-19 vaccines in patients with IgA nephropathy』 Clinical and Experimental Nephrology, 2024 28(11):1168–1177.doi.org/10.1007/s10157-024-02521-7
  3.  井手菜月、山﨑大輔、丁奎光、髙畑志歩、松木葵、井上侑子、門澤啓太、長辻克史、濱田真宏、北林千津子、森川貴、浅井利大、高濱誠、小西啓夫:『移植腎機能廃絶後に導入した腹膜透析により横隔膜交通症を発症した1 例』 日本透析医学会誌 58(2):113-119 2025

学会発表

  1. 井手菜月、長辻克史、安井望未、髙畑志歩、松木葵、山﨑大輔、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫 麻岡大裕、飯田康、中河秀憲、白野倫徳、竹内隆将、鶴岡歩、林下浩士:『熱帯熱マラリアによる急性腎障害を呈した一例』 第69 回日本透析医学会学術集会・総会 2024 年6 月7 日 横浜
  2. 井手菜月、中河秀憲、白野倫徳:『咽後膿瘍と初期診断された成人多系統炎症症候群(MIS-A: Multisystem Inflammatory Syndrome in Adults)の1 例』 第98 回日本感染症学会学術講演会 第72 回日本化学療法学会総会 合同学会 2024 年6 月27 日 神戸
  3. 山﨑大輔、北田研人、森澤紀彦、松本葵、長辻克史、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫、西山成:『腎除神経の体液保持作⽤とその意義』 第67 回日本腎臓学会学術総会 2024 年6 月28 日 横浜
  4. 山本里佳子、松木葵、國重龍一、長辻克史、山﨑大輔、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫:『紅麹コレステヘルプ内服歴のある腎機能障害2 例』 第245 回日本内科学会近畿地方会 2024 年8 月31 日 京都
  5. 坂口結美、長辻克史、森川貴、隅清隆、國重龍一、松木葵、門澤啓太、井上侑子、山﨑大輔、濱田真宏、北林千津子、小西啓夫:『トラネキサム酸により意識障害を来した維持透析患者の1 例』 第54 回日本腎臓学会西部学術大会 2024 年10 月5 日 姫路
  6. 木戸口慧、北田研人、菅野直希、山﨑大輔、森川貴、小西啓夫、西山成、横尾隆:『肝細胞がんラットにおけるアンジオテンシンAT1 受容体の役割の検討』 第46 回日本高血圧学会総会 2024 年10 月12 日 福岡
  7. 山﨑大輔:『D & I から高血圧診療を全国民に シンポジウム40 多様性が生む高血圧医療の未来:高血圧学会ダイバーシティ推進委員会の10 年間の成果とこれから』 第46 回日本高血圧学会総会 2024 年10 月14 日 福岡
  8. 林真佑、松木葵、安井望未、國重龍一、長辻克史、山﨑大輔、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫:『血漿交換とアバコパンで加療を行った顕微鏡的多発血管炎の1 例』 第246 回日本内科学会近畿地方会 2024 年12 月14 日 大阪
  9. 植野雄斗、長辻克史、隅清隆、國重龍一、松木葵、山﨑大輔、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫:『二次性血栓性微小血管症と非典型溶血性尿毒症症候群の鑑別に苦慮した1 例』 第246 回日本内科学会近畿地方会 2024 年12 月14 日 大阪
  10.  濱田真宏:『腎移植の気になること-応用編-』 第102 回大阪透析研究会 2025 年3 月2 日 大阪

学生実習

京都大学医学部腎臓内科の学生実習担当科です。

 

大阪市立大学医学部の学生実習担当病院です。

 

腎臓内科に興味のある医学生さんの見学を受け付けております。

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(期日後の場合、申し訳ありませんが次の掲載をお待ちください。)

 

研修医・内科専攻医

腎臓内科に興味のある先生方を広く受け入れております。

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