大阪市立総合医療センター,Osaka City General Hospital

TEL.06-6929-1221

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腎臓・高血圧内科

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IgA腎症

IgA腎症はもっとも多くみられる慢性腎炎です。

 

腎生検で診断され、当科では700人以上の患者さんを診療して参りました。

 

治療には、レニン・アンジオテンシン系阻害薬(血圧の薬)、扁桃摘出術ステロイドパルス療法などがあり、寛解(完治)へと導けるように努めています。

IgA腎症のくわしい解説はこちら

腎臓の糸球体についたIgA(腎生検)

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は、尿にたくさんのタンパク尿が漏れ出ることで、血の中のタンパク質が減ってしまい、手足を中心に全身がむくむ病気です。

 

タンパク尿が続くことで、腎臓の力が落ちてしまうことがあります。

 

代表的な疾患は、微少変化型ネフローゼ、膜性腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎や、全身性疾患から引き起こされるループス腎炎、糖尿病性腎臓病、アミロイドーシスなどです。

 

治療法は病気のタイプによって様々ですが、レニン・アンジオテンシン系阻害剤、ステロイド剤、免疫抑制剤などの薬が使われます。

糖尿病性腎臓病

糖尿病性腎臓病(糖尿病性腎症)は、わが国における透析導入の原因となる病気の40%以上を占め、20年程前から第1位となっています。

 

当院でも新しく透析を導入される患者さんの半分くらいがこれにあたります。

 

このため、腎臓高血圧内科では、糖尿病性腎臓病の患者さんに対して腎臓病教室を受講して頂き、その進行を抑える指導をしております。

 

また、糖尿病内科でも糖尿病透析予防指導を行い、その予防に努めています。

透析導入の原因となる病気の年次変化

多発性嚢胞腎

常染色体優性多発性嚢胞腎は、腎臓にのう胞という袋がたくさんできて、だんだん大きくなるために、腎臓の力が少しずつ落ちていく病気です。

 

これまで、効果的な治療法はありませんでしたが、20143月からサムスカ®(トルバプタン)が使えるようになりました。この薬には、のう胞が大きくなることや腎臓の力が落ちるのを抑える効果があります。

 

20151月から難病医療費助成制度の対象となり、費用負担が軽くなって、より身近な薬となりました。お薬を始める時には、水分摂取の練習や副作用のモニタリングなどのために短期間の入院が必要です。

 

当科の医師は処方をするのに必要な、eラーニングを受講しております。

 

当院では腎臓の大きさを正確に測定するための3次元画像解析システムVINCENTを導入しており、年々の変化や治療効果を評価することが可能です。

VINCENTでCTから腎臓の大きさを測定します。

ファブリー病

ファブリー病は、細胞の中にある、アガルシダーゼαという酵素の力が弱っているために、糖脂質が蓄積して、全身の臓器に障害を起こす遺伝性の病気です。

 

心臓、腎臓、皮膚、神経、眼など全身の臓器が弱る可能性があるため、早期診断、早期治療が重要になります。

 

当院の遺伝子診療部では、採血による迅速な遺伝子診断が可能です。また臨床検査部では、ファブリー病に特徴的な尿所見である、マルベリー小体の同定が可能です。

 

治療に関しては、2004年から点滴による酵素補充療法が可能となり、当院でも数人の患者さんに行っております。また最近シャペロン療法も可能になりました。

尿中マルベリー小体

透析療法(血液透析・腹膜透析)

慢性腎炎、糖尿病性腎臓病、高血圧性腎硬化症など種々の腎臓病が原因で、腎臓の力がだんだんと落ちていき、生命にかかわるような状態になった場合、透析療法で救命をする必要があります。

 

透析が必要となるのは、①尿毒素がたまったために吐き気や嘔吐が続き、食事が食べられなくなる、②全身に水がたまって心不全から呼吸が苦しくなる、③カリウムがたまって心臓が止まってしまうような不整脈を起きてくる、などの場合です。

 

実際のところは、安全のために、このような状態になる前に透析をはじめることが肝腎です。当院では、透析療法(血液透析腹膜透析)を、1年間に80人ほどの患者さんに導入しております。

 

透析療法選択の手助けとして、専門看護師による腎代替療法外来を開設して、十分な理解のもとでの透析導入に努めています。

 

血液透析の場合は、入院で内シャント術を行った後に透析を導入します。数回行って、ある程度おちついた段階で、患者さんのご自宅近くの透析施設へ外来通院して頂くことになります。

 

腹膜透析の場合は、入院で腹膜透析用のチューブを挿入して、2週間ほど御自分で透析液の入れ替えをして頂けるように練習をします。これができるようになった段階で退院となり、当院の外来に1か月に1日程度通院して頂くことになります。

血液透析

腹膜透析

腎移植

透析導入する前、または導入した後に、泌尿器科で実施しています。

 

生体腎移植は年間約20人の患者さんに行っており、5年生着率は約95%です。

腎臓・高血圧内科入院診療実績

2021年度 病棟入院実績:565例
腎臓・高血圧疾患 計411例
疾患名 例数 疾患名 例数
慢性腎臓病 158例 慢性糸球体腎炎 79例
慢性腎臓病 G5D(導入など) 71例 ネフローゼ症候群 34例
腎移植後拒絶反応など 20例 急性腎障害 11例
高血圧症(悪性高血圧、原発性アルドステロン症など) 10例 遺伝性腎疾患(多発性嚢胞腎、ファブリ病、アルポート症候群)  7例
電解質異常(高K血症、高Na血症、低Na血症、低K血症) 7例 急速進行性糸球体腎炎 5例
間質性腎炎 4例 その他(透析困難症、シャント狭窄など) 5例

 

膠原病・膠原病類縁疾患 37例
疾患名 例数 疾患名 例数
ANCA関連血管炎 10例 多発性筋炎・皮膚筋炎 8例
ベーチェット病 4例 IgG4関連疾患 3例
アミロイドーシス 3例 全身性エリテマトーデス 2例
その他(関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、RS3PE、大動脈炎症候群など) 7例
感染症疾患 計66例
疾患名 例数 疾患名 例数
肺炎、気管支肺炎 18例 尿路感染症 23例
蜂窩織炎 2例 COVID-19 3例
感染性腸炎 5例 敗血症 3例
膿瘍(臀部、腎、腸腰筋) 3例 その他(CAPD腹膜炎、結核性胸膜炎、肺アスペルギルス症など) 9例
その他 計51例
疾患名 例数 疾患名 例数
うっ血性心不全 8例 脳梗塞 2例
胸膜炎、胸水貯留 5例 間質性肺炎 3例
多発性骨髄腫 2例 その他(横紋筋融解症、圧迫骨折、めまい、末梢神経障害性疼痛など) 31例
2021年度 腎生検実績:114例

 

疾患名 例数 疾患名 例数
IgA腎症 31例 minor glomerular abnormality(thin basement membrane disease含む) 15例
ループス腎炎 3例 糖尿病性腎症 5例
急速進行性糸球体腎炎(顕微鏡的多発血管炎・抗GBM抗体型腎炎など) 13例 間質性腎炎 3例
膜性腎症 7例 悪性腎硬化症・良性腎硬化症 5例
アミロイドーシス 2例 微小変化型ネフローゼ症候群 9例
IgA血管炎 3例 巣状糸球体硬化症 4例
急性尿細管壊死 3例 感染後糸球体腎炎 1例
肥満関連腎症 1例 骨髄腫腎 1例
血栓性微小血管障害 2例 IgG4関連腎臓病 2例
遺伝性腎炎 2例 メサンギウム増殖性腎炎 2例

 

2021年度 透析導入実績:135例
血液透析導入:113例

疾患名 例数 疾患名 例数
糖尿病性腎症 44例 腎硬化症 30例
慢性糸球体腎炎 17例 その他(多発性嚢胞腎、薬剤性腎疾患など) 22例
腹膜透析導入:22例
2021年度 腎教室:82件 (糖尿病性腎臓病、慢性腎炎、腎硬化症など)

業績


著書

    1. 森川貴 シリーズGノート、逃げない内科診療「専門外なので・・・」から「全身を診る!」へ検尿異常~それは、腎臓からのSOSかも!~ P131−132 羊土社、東京2021
    2. 山﨑大輔 腎臓専門医講座(腎臓専門医のための模擬テスト) 腎臓内科 第13巻第4号 P559-563ページ 科学評論社 東京2021
    3. 小西啓夫 病気の見取り図(監修西口幸雄) 急性糸球体腎炎 P166−167 照林社 東京2022
    4. 小西啓夫 病気の見取り図(監修西口幸雄) ネフローゼ症候群 P168−169 照林社 東京2022
    5. 小西啓夫 病気の見取り図(監修西口幸雄) 糖尿病性腎症 P170−171 照林社 東京2022
    6. 小西啓夫 病気の見取り図(監修西口幸雄) 腎盂腎炎 P172−173 照林社 東京2022

論文

  1. Kadosawa K, Morikawa T, Konishi Y. Zebra bodies without Fabry disease or hydroxychloroquine. Clin Exp Nephrol. 2021;25:94-96. doi: 10.1007/s10157-020-01965-x
  2. Ubara Y, Kawaguchi T, Nagasawa T, Miura K, Katsuno T, Morikawa T, Ishikawa E, Ogura M, Matsumura H, Kurayama R, et al. Correction to: Kidney biopsy guidebook 2020 in Japan. Clin Exp Nephrol. 2021;25:1161. doi: 10.1007/s10157-021-02120-w
  3. Ubara Y, Kawaguchi T, Nagasawa T, Miura K, Katsuno T, Morikawa T, Ishikawa E, Ogura M, Matsumura H, Kurayama R, et al. Kidney biopsy guidebook 2020 in Japan. Clin Exp Nephrol. 2021;25:325-364. doi: 10.1007/s10157-020-01986-6
  4. Zhang A, Nakano D, Morisawa N, Kitada K, Kittikulsuth W, Rahman A, Morikawa T, Konishi Y, Nishiyama A. Effects of molidustat, a hypoxia-inducible factor prolyl hydroxylase inhibitor, on sodium dynamics in hypertensive subtotally nephrectomized rats. J Pharmacol Sci. 2021;146:98-104. doi: 10.1016/j.jphs.2021.03.007

学会発表

  1. 森川貴 高血圧療養指導士セミナー3、『慢性腎臓病(CKD)~チーム医療による、その克服の重要性を含めて』 第9回臨床高血圧フォーラム 2021515日 大阪
  2. 森川貴 『腎血管性高血圧の診断と治療~腎動脈超音波が診断に有用であった自験例の検討も交えて』 第9回臨床高血圧フォーラム 2021515日 大阪
  3. 小林 正忠(楽天株式会社 CWO)、中村 敏子、吉田 守美子、荒川 仁香、人見 浩史、山﨑 大輔 『企業におけるダイバーシティ推進の取り組み』第9回臨床高血圧フォーラム、2021515日大阪
  4. 山崎大輔、森川貴、小西啓夫、鈴木仁、鈴木祐介、西山成 『IgA腎症モデルマウスに対するSGLT2阻害薬の蛋白尿・腎機能に対する影響』第9回臨床高血圧フォーラム 2021515日 大阪
  5. 柴田幹子、濱田真宏、長辻克史、山崎大輔、北林千津子、森川貴、小西啓夫 『腎生検で診断されたIgA腎症患者における高血圧発症に関与する因子についての検討』 第9回臨床高血圧フォーラム 2021515日 大阪
  6. 長辻克史、山崎大輔、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫 『透析を離脱し得た血栓性微小血管症を合併した悪性高血圧症の2例』第9回臨床高血圧フォーラム 2021515日 大阪
  7. 山崎大輔、北田研人、森澤紀彦、藤澤良秀、中野大介、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫、イエンス ティッチェ、西山成 『腎除神経は高食塩摂取マウスの体内Na含有量に影響を与えない』 第64回日本腎臓学会学術総会 2021618日 横浜
  8. 長辻克史、田中志歩、松木葵、門澤啓太、坂田侑子、山崎大輔、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫 『ペムブロリズマブ投与中にANCA陰性の壊死性半月体形成性糸球体腎炎を来した1例』 第51回日本腎臓学会 西部学術大会、20211015日 福井
  9. 向井文香、長辻克史、松木葵、門澤啓太、坂田侑子、山崎大輔、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫 『抗糸球体基底膜腎炎により透析導入に至ったが救命し得た1例』 第234回日本内科学会近畿地方会、2021124日 京都
  10. 浅井利大、山﨑大輔、濱田真宏 『腎移植後、巣状糸球体硬化症(FSGS)再発とBKウイルス腎症(BKVN)を合併した一例』 第39回日本アフェレシス学会関西地方会、2022213日 大阪
  11. 山﨑大輔、福家顕宏、浅井利大、田中志歩、松木葵、門澤啓太、坂田侑子、長辻克史、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫 『新型コロナウイルス感染症に関連する急性腎障害に対してネクロプシーを施行した1例』 第1回インターベンショナルネフロロジー学会、2022221日オンライン
  12. 濱田真宏、山崎大輔、浅井利大 『巣状分節性糸球体硬化症の再発とBKウイルス腎症を合併した一例』 第55回日本臨床腎移植学会 2022224日 東京
  13. 丸田剛史、松木葵、門澤啓太、坂田侑子、長辻克史、山崎大輔、濱田真宏、北林千津子、森川貴、小西啓夫 『COVID-19ワクチン接種後の血尿を契機に明らかとなったIgA腎症の1例』 第235回日本内科学会近畿地方会、2022312日 大阪
  14. Failure to confirm a SGLT2 inhibitor-induced hematopoietic effect in non-diabetic rats withrenal anemia. Yamazaki D, Konishi Y, Morikawa T, Nishiyama A. International Society of  Hypertension. Glasgow. Apr. 2021

学生実習

京都大学医学部腎臓内科の学生実習担当科です。

 

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腎臓内科に興味のある医学生さんの見学を受け付けております。

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(期日後の場合、申し訳ありませんが次の掲載をお待ちください。)

 

研修医・内科専攻医

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