腎臓病教室

● 5泊6日コース:週末に外泊中の食事内容を記載して、個人栄養指導の時に栄養士と改善点を相談した後、退院します。
● 3泊4日コース:週末の外泊、食事内容の記載、個人栄養指導を入院中に行わず、外来で行います。
● 入院中の講義がない時に、必要な検査を可能な範囲で行います。
★医師
● 腎臓の構造、働き、腎臓病で起こってくること、その予防法などについて、疑問点をうかがいながら、約50-70分お話をします。
● 毎回1-4人くらいの人数で、講義というような堅苦しい雰囲気も無く、みなさん、和気あいあいと学んでおられます。
● 御家族もいっしょに参加されています。
★看護師
● パンフレット、DVDなどによる学習を通じて、日常生活の改善点について相談します。
★薬剤師
● 腎臓病の方は、たくさんの薬をのんでおられることが多く、それぞれの効果について確認をします。
● 状況に応じて薬剤の減量や調整も行います。
★栄養士
● 食育SATシステムを用いて、食事の改善点について相談します。
● この内容を元に、ふだんの食事をどのように改善すればよいかを一緒に考えます。

食育SATシステムとは
□たくさんの食品サンプルの中から、普段食べていそうな食品を選んで、トレイの上におくだけで、エネルギー、たんぱく、塩分などが、瞬時にわかります。

この中から、ためしに、若い頃に時々食べていたようなメニューを選んで、

トレイの上に置いてみると、、、

画面に摂取量が出るのですが、一食で
エネルギー 1365 kcal
タンパク質 45.5 g
食塩相当量 11.6 g
これはダメでした。
各職種で患者さんの情報をまとめて、外来主治医と相談
□それぞれの患者さんについて、医師、栄養士、看護師、薬剤師がすべての指導の後にミーティングを行って、情報を共有します。この内容を各患者さんの主治医にフィードバックして、少しでも腎臓病の進行を抑えられるように、今後の外来における治療や指導へと活かします。大切なことは、患者さんができる範囲のことを、続けて頂くことです。すべてできなくてもかまいません。

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腎臓・高血圧内科IgA腎症IgA腎症:一番よくある腎炎 医師からのメッセージ 次のような場合、IgA腎症の可能性がありますので、ご来院ください。 ①尿検査で、タンパク尿、血尿が続く ②のど風邪の後、赤茶色のおしっこが続く Q&A IgA腎症って、どんな病気ですか? IgA腎症は、腎臓の中に100万個近くある糸球体という、ろか装置にIgA(免疫グロブリンA)というタンパク質がへばりついて、炎症などの悪さをする病気です。この悪さのせいで、血尿やタンパク尿などがみられるようになると、だんだんと腎臓が力を落としていきます。腎生検を受けた患者さんの30-40%くらいがこの病気で、一番よくみられる腎炎です。 IgA腎症は、いつ頃からわかってきたのですか? 1968年にフランス人のBerger先生らによって、世界で初めて報告されました。この頃は、腎不全になることの少ない、それほど悪くない病気とされていました。しかし、1990年代になって、何の治療もしないと、20年後には40%近くの患者さんが、透析を必要とする末期腎不全になることが示されました。だんだんと、油断できない病気であることがわかってきたのです。1990年以降は、早期診断や数々の治療(レニン・アンジオテンシン系阻害薬、ステロイド(パルス)療法、扁桃摘出術など)の進歩によって、悪くなる前に治せることも多くなってきました。 IgA腎症は、どんな『きっかけ』で、みつかるのですか? IgA腎症がみつかる『きっかけ』は、 ①学校や職場の健診、病院の尿検査(タンパク尿、血尿): 80% ②肉眼的血尿(赤茶色のコーラみたいな、おしっこ): 12% ③むくみや尿の減少: 8% です。 日本では、健診・検尿が広まっているので、タンパク尿や血尿だけで、自覚症状が無く腎臓がそれほど弱っていない時にみつかることが多いです。このため、腎臓が弱る前の早期にIgA腎症をみつけて治療を行うことで、透析にならないようにすることが可能になってきています。 肉眼的血尿は、風邪や、のどの炎症の後、12~72 時間後くらいに出てくるコーラみたいな、おしっこです。これがあった場合、むくんだり、おしっこが急に減ったりして、時には、腎臓がけっこう早く悪くなることがあるので、要注意です。他には、ご家族がIgA腎症で、ご本人もIgA腎症ということが、10%くらいあるので、一応、気にかけておく必要があります。 IgA腎症は、どんな仕組みで起こるのですか? はっきりとはわかっていませんが、考えられている仕組みはあります。 ① のどの扁桃腺や鼻の奥への感染などの刺激によって、形の変なIgAが血の中に増える。 ② このIgAに対して別のIgAやIgGなどのタンパク質が作られる ③ 形の変なIgAと、これに反応するIgGやIgAが大きなタンパク質の塊をつくる ④ この塊が腎臓の糸球体に、へばりついて炎症などの悪さをする、 というものです。 病気の起こり初めは、炎症が少しだけですので、血尿がみられる程度です。しかし、炎症がひどくなって糸球体の全体に広がると、タンパク尿も出てきます。さらに進むと、糸球体自体が働かなくなり、働ける糸球体の数が減っていき、腎臓の力がだんだんと落ちてしまいます。 わかりやすく例えますと、悪さをするタンパク質の塊は、『火だね』のようなもので、尿を作る工場を燃やして火事を起こします。火事が少しのボヤ程度であれば血尿のみで済みますが、どんどん広がるとタンパク尿が出てきます。さらに、火事が続くと工場全体が燃えてしまうように、糸球体が壊れてしまいます。 IgA腎症は、どのように診断されるのですか? IgA腎症は、腎生検でのみ診断できます。腎臓の糸球体にIgAがへばりついていることを確認する必要があるからです。また、腎生検の様子が、腎臓の弱り具合や、治療が効きやすいかどうかの参考になりますので、治療法の決定の参考になります。当院では、これまでに650人以上のIgA腎症の患者さんを、診断・治療しております。 IgA腎症は、どのように治療されるのですか? gA腎症と一口に言っても、患者さんによって病状はさまざまで、これによって、治療法は大きく変わってきます。日本腎臓学会のIgA腎症診療ガイドライン2017によりますと、腎臓の力(GFR:糸球体ろか量)とタンパク尿の量(1日当たりの)によって、図1のような治療が薦められています。それらの代表的なものについて解説します。 ★保存療法 食事療法: 減塩(一日6g以下)、タンパク制限(状態によります)、エネルギー調整(食べ過ぎない) 日常生活: 適度な運動、禁煙、適度な飲酒 (ビール350ml、日本酒1合、ワイングラス1杯程度) 。ただし、週2日は休肝日を作りましょう。毎日飲むと肝臓が弱ります。 ★薬物療法・手術 ① レニン・アンジオテンシン系阻害薬(血圧を下げる薬) この薬は、糸球体の中の圧力を下げて、仕事量を減らすことで、タンパク尿を減らしたり、腎臓の力が落ちるのを抑えたりします。薬を始めた頃に、一時的に血の検査でクレアチニンが上がったり、eGFRが下がったりすることがありますが、その後、検査が悪くならなければ、効果を発揮していると考えられます。タンパク尿が多い場合は、特に薦められます。 ② ステロイド薬 ステロイド薬は、IgAが原因で起こす炎症を抑える (火事を消す)ことで、血尿やタンパク尿を減らしたり、腎臓の力が落ちるのをおさえたりします。血尿やタンパク尿があって、腎臓の力がそれほど落ちていない患者さんほど、ステロイド治療のメリットが大きいと考えられています。逆に、腎臓の力がすでにかなり落ちてしまって、炎症がある程度終わっている場合は、あまり効かないこともあり、薬を使うかどうかを、慎重に考えなければなりません。 ③ 扁桃摘出術(+ステロイドパルス療法) 扁桃腺が病気のもとの一つ(火事の例え話の火種をつくる原因)、と考えられているので、これを取ってしまう扁桃摘出術をしばしば行います。これにステロドパルス療法を加えた治療が,1988年に仙台の堀田修先生(現:堀田修クリニック院長、IgA腎症根治治療ネットワーク代表)らよって考案され,その後、日本の多くの施設で行われています。最近の日本の研究でも、その効果が科学的に確認され、IgA腎症に対して最も必要な治療といってよいでしょう。 一方、IgA腎症になって間もない患者さんで、扁桃摘出術だけでも、血尿や蛋白尿が良くなったり、長期間の観察で腎臓が悪くなりにくかったりすることが、当院や他の施設からも報告されています。 私達は、これまでに、多くのIgA腎症の患者さんを治療している中で、扁桃摘出術やステロイドパルス療法が、有効な治療であることを実感しているので、できるだけ早く診断をつけて、治療を始めたいと考えています。 ステロイドパルス療法(仙台方式):点滴(メチルプレドニゾロン500mg)を 3日間して、飲み薬(プレドニゾロン30mg:5mg錠を6個)を 4日間します(合計で1週間)。これを3回、つまり3週間続けて行います。その後、飲み薬(プレドニゾロン30mg:5mg錠を6個)を一日おきに、2ヶ月間飲み、5mg錠を1個ずつ、2ヶ月毎に減らしていきます。だいたい1年間で治療が終了します。この治療経過中に血尿やタンパク尿が良くなれば、早めに減らしたり、やめたりすることもできます。 ④ B-SPOT療法・EAT(鼻咽頭擦過療法) 扁桃摘出術を施行した後にも、腎炎がくすぶる場合には、鼻咽頭の炎症が原因の可能性もあり、専門的に行っている耳鼻咽喉科の先生へ紹介させて頂きます。 ⑤ 免疫抑制薬 ステロイド薬に加えて免疫抑制剤を一緒に服用して頂くことがあります。 ⑥ 抗血小板薬 ジピリダモール(ペルサンチン®)、塩酸ジラゼプ(コメリアン®)などで、活性化した血小板が腎臓を弱らせるのを抑えようとするものです。1980 年代に日本でタンパク尿を減らす可能性のあることが報告され、慢性糸球体腎炎やIgA腎症に保険適応があります。 ⑦ n—3 系脂肪酸(魚油) 動脈硬化や血栓の防止に有効とされます。 図1)成人IgA腎症の腎機能障害の進行抑制を目的とした治療介入の適応:IgA腎症診療ガイドライン2017 p.83を一部改変 腎臓の力(GFR)と蛋白尿の量(1日あたり何gか)によって治療法をみたものです。実際の診療では、これらに加えて腎生検の様子や年齢も併せて、治療法を慎重に決めます。 注1:その他の治療:扁桃摘出術(+ステロイドパルス併用療法)、免疫抑制薬、抗血小板薬、n-3 系脂肪酸(魚油) 注2:その他の治療:保存療法を行います。必要に応じて、高血圧、食塩摂取、脂質異常症、耐糖能異常、肥満、喫煙、貧血、骨やミネラル、代謝性アシドーシスなどの管理を参照にします。 イラスト: 『かわいいフリー素材集 いらすとや』 さん 参考文献: ① IgA腎症診療ガイドライン2017 ② Hospitalist 腎疾患2 vol.6 No.1 2018 p.160-p.168 『IgA腎症と感染後糸球体腎炎:最もコモンな腎炎と古くて新しい腎炎』 森川貴詳しく見る
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腎臓・高血圧内科腎生検の解説腎生検 腎臓病の診断と治療に 大切な検査 腎臓の一部を細い針を使って採取して、顕微鏡で観察することで、腎臓病の診断や治療を決めるために行います。 腎生検の適応 次のような場合、腎生検を受けて頂く必要があるかもしれませんので、ご来院ください。 ❶ タンパク尿や血尿が続く ❷ たくさんのタンパク尿がある (ネフローゼ症候群) ❸ 原因不明または急に、腎臓が悪くなった ❹ 全身性の病気(膠原病など)をお持ちの患者さんで、腎臓が悪くなった 注)腎臓組織の観察から得られるメリットと、合併症(出血など)のデメリットを天秤にかけて、患者さんと十分に相談しながら、 行うかどうかを決めています。①~④があるからといって、必ず行うわけではありません。 Q&A 腎生検は、何のためにするのですか?(目的) ●腎臓の一部(長さ15mm×幅1mmくらいを約3本)を採取して、顕微鏡で観察します。 ●腎臓病の種類や程度を診断して、今後の病気の進み具合を予想したり、治療方針を決定します。 何人くらい、されていますか? どんな腎臓病が多いですか? 腎生検で診断された疾患の頻度(%) 当院約20年間 その他:アミロイドーシス、骨髄腫腎、フィブリラリー腎症、強皮症腎、血栓性血小板減少性紫斑病、血栓性微小血管障害コレステロール塞栓症、肥満関連腎症、基底膜菲薄症、アルポート症候群、ファブリー病、ミトコンドリア脳筋症、C3腎症、腎サルコイドーシス、IgG4関連腎炎、IgM陽性形質細胞を伴う尿細管間質性腎炎、急性尿細管壊死、妊娠高血圧腎症など どんな感じで行われますか?(方法) 日程: 毎週(火)(木)の午前中(一日最大4人くらい) 場所: 病棟の検査室(14階すみれ病棟) 体勢: ベッド上、うつぶせ 装置: 超音波 麻酔: 局所麻酔 検査時間: 約30分(準備とかたづけ:約20分、採取:約10分) 検査後の安静: あおむけで約6時間(徐々に楽にしていきます)。 18時頃の夕食で座位、21時頃の消灯以降でトイレに歩いて行けます。 合併症はありますか? ●あおむけの安静により、腰痛が起こることがあります。 ●腎臓のはしっこに出血をします。当院では、20年間で約2500人の患者さんに腎生検を行い、輸血5人(元々貧血の人、血小板の少ない人、かなりむくみの強い人などを含む)、血管内カテーテルによる止血は0人です。 ●これまでの報告よりも、かなり安全に行えている実績はありますが、常に安全第一、出血が最小限になるように努めています。 検査結果は、いつ頃わかりますか? ●院内で標本作成をしておりますので、たいていの場合、検査翌日に結果説明を行っています。 ●この時に、今後の治療方針をお話し、治療が必要な場合、継続して行うこともできます。 (電子顕微鏡の結果は、だいたい6週間後になります。) 検査後に気を付けることは? ●3週間くらいは、激しい運動をしたり、重いものを持ったりすることを避けてください。 ページトップへ詳しく見る
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腎臓・高血圧内科腎臓よもやま話4 紅茶で腎不全になる?アイスティー腎症って何?健康に良いとされる紅茶ですが、場合によっては腎不全の原因に、、、 □ □皆さんは紅茶を良く飲まれますか?アールグレイ、ダージリンティー、セイロンティー・・・ 色んな種類があって香りも様々で、選ぶのが楽しくなりますよね。 さらに、紅茶は健康に良いと言われています。カテキンやポリフェノールといった抗酸化物質は特に有名で、生活習慣病の予防や老化の抑制に繋がるとされています。 美味しくて、健康に良いと向かうところ敵なし・・・に見える紅茶ですが、実は飲みすぎると、腎臓がどんどん悪くなって、腎不全や透析になってしまうことがあるのです。 これは、どうしてなのでしょうか? 原因は、シュウ酸 □ □それは紅茶に含まれるシュウ酸という物質が原因です。シュウ酸の多くは、腎臓を通って、おしっこの中へ捨てられます。このため、紅茶を飲みすぎてシュウ酸をたくさん摂ってしまうと、人によっては、腎臓にどんどんシュウ酸の結晶が貯まってしまう腎臓病、シュウ酸腎症(別名:アイスティー腎症)になることがあるのです。さらに、もともと腎臓が悪いと、よりいっそう腎臓から十分にシュウ酸を捨てることが出来ません。このような状態でたくさん紅茶を飲み続けると、どんどん腎臓が悪くなって、腎不全や透析になってしまう危険があるのです。 他にもシュウ酸を多く含む食品は、、、 □このシュウ酸ですが、紅茶以外にも、ホウレン草、サツマイモ、タケノコ、チョコレート、ナッツ類、スターフルーツ等にもたくさん含まれているため、食べる時に注意が必要です。こうなってくると、『あぁ、紅茶もホウレン草もタケノコも良くないんだ・・・もう食べたら駄目なんだ・・・。』と悲観的に思われるかもしれません。 しかし、決してそうではありません。紅茶には、初めに述べたような良いところだって沢山あります。他の食べ物にも良いところも、悪いところもあるんです。 □つまり、紅茶を飲み過ぎて、チョコレートを食べ過ぎて・・・、これではシュウ酸がどんどん体の中にたくさん貯まって、病気が起こりやすくなってしまうわけです。お酒も飲み過ぎると体に悪いですが、ほどほどに摂れば、むしろ健康に良いとされています。どんなものでも“適度な量”で、味わい、楽しむことが大切になってくるのです。 胃腸に持病がある方や、胃腸の手術を受けられた方は要注意 □ □補足ですが、もともと胃腸の持病がある人や、胃腸の手術を受けられた方は要注意です。 摂取したシュウ酸の一部は腸の中でカルシウムとくっついて、便中に捨てられます。だから、シュウ酸を含む食品をたくさん食べても、腸の中にカルシウムがしっかりあれば、シュウ酸が腸からたくさん吸収されることにはなりません。しかし、胃腸の持病がある方や、手術で胃腸の切除をした方は、脂肪の吸収が悪くなっていて、この脂肪がカルシウムとくっついてしまいます。このため、シュウ酸がカルシウムとくっつけなくなって、便中に捨てられなくなり、腸から吸収されるシュウ酸の量が増えてしまうのです。このような理由で、胃腸に持病がある人や、胃腸の手術を受けられた人は、特に、シュウ酸を多く含む食品を摂りすぎないようにする必要があります。 すべての食品をバランスよく □以上、紅茶を飲みすぎると、腎不全になってしまうかもしれない訳をざっと解説しました。最後に繰り返しになりますが、「あぁ怖いな、もう紅茶なんて飲みたくない。」なんてことは思わないでください。食べ物は良い点、悪い点があります。全てほどほどに、バランス良くが、大切なのです。 では皆さん、今日も紅茶を、ほどほどに楽しんでくださいね! 山崎 大輔 Copyright © 大阪市立総合医療センター 腎臓・高血圧 内科. All Rights Reserved. ページトップへ詳しく見る