静脈奇形

静脈奇形は静脈レベルの脈管奇形で,脈管奇形の中で最も多く認められます.病変部には静脈がブドウの房状に認められ,その静脈壁の筋肉は弱いため異常に拡張してしまいます.発生部位は頭頚部と四肢がそれぞれ約40%,体幹部が約20%となります.ほとんどは単発性 (孤発性)で患者さん個人レベルのものとなりますが,多発性の場合は遺伝性,すなわち子供さんへ遺伝する可能性も考慮しなくてはいけません.病変が皮膚の表面の近くにある場合には外観上,静脈の色調 (青~紫色)を呈し,姿勢によって病変部の腫脹が確認できます (図1A, B).頭頚部では啼泣時などでも病変部の腫脹を認めます.腫脹しても内部の血流は静脈なので触ると軟らかく (それほど固くはなく),また拍動は認めません.一方,病変が皮膚の表面から深い場合には表皮の色調変化や腫脹を認めないこともあります

   図1A

   図1B

図1:頬部の静脈奇形
1A:病変が皮膚の表面から近くにあれば,外観上も静脈の色調を認めている.病変が皮膚の表面から深いものは表皮の色調変化は認めない.
1B:顔を傾けて病変を下にすると病変内の静脈がうっ滞して,腫脹が増悪する.

症状は疼痛や腫脹した際の不快感や見た目の問題となりますが,目の奥 (眼窩内)やのど (咽頭部)にできた病変は,視力や呼吸に影響を及ぼすこともあります.また病変内の血流がうっ滞して血液が固まる (血栓化)ことで,急激に腫脹し,強い痛みを認めることもあります.四肢や体幹部で広範囲の静脈奇形を認める場合は体の中の血液を固める因子が病変内で消費されて病変内で凝固異常をきたしていることがあり,そのような患者さんでは外傷や妊娠などによって全身の凝固異常に移行して重症化することがあるため注意が必要です.典型的には出生時から2歳までの乳幼児期までに皮下の膨らみとして気づかれることが多いですが,皮膚の表面から深い病変では学童期以降に疼痛をきっかけに見つかることもあります.

治療には内科的治療,硬化療法,外科手術があります.内科的治療が第一選択で,静脈奇形に対する分子標的薬,疼痛に対する鎮痛薬,血栓化予防のための血をサラサラにする薬 (抗血栓薬)などがあり,部位によっては弾性ストッキングを用いた圧迫療法を選択することもあります.硬化療法は内科的治療の次に考慮され,病変部に直接針を刺し,血管を閉塞させる薬 (硬化剤)を注入します (図2)外科手術は美容的・機能的問題もあり選択されることは少なく,病変が小範囲で限局している場合に限られます.限局した病変に対する外科手術を除いて,病変が完全に消失することはありません.したがって普段の生活の中で静脈奇形によって困ることが少なくなるように,内科的治療や硬化療法を行っていきます

   図2

図2:静脈奇形に対する硬化療法
エコーで病変を確認しながら,皮膚の表面から針を刺す.
針先が病変内にあるのを確認した後に,硬化剤を注入する.

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