眼瞼下垂症
眼瞼下垂症とは
眼瞼下垂症とは、一般的に、眼を開ける筋肉や膜が弱ることで、眼があきにくくなる病気です。しかしその病気の種類はさまざまあり重症筋無力症のような内科疾患が隠れていることや、肩こり、片頭痛などの自律神経症状を引き起こしていることもあり、きちんとした診断のもとに治療を行う必要があります。
心当たりのある方、お近くでおでこに深いしわのある方がいらっしゃいましたら、当院形成外科、眼瞼外来までご相談ください。
眼を開ける仕組み
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眼瞼下垂症の種類
①腱膜がのびて緩んでいる場合(腱膜性弛緩性眼瞼下垂)
挙筋の力が伝わらないので、おでこの筋肉(前頭筋)で瞼をあげようとします。このため、おでこに『しわ』がついてしまいます。
このような方の場合、おでこを手で押さえつけると、眼を開けることができなくなります。
また、筋肉センサーであるミュラー筋が強く収縮することで、体の変調をきたし、頭痛や、肩こりなどの周辺症状が出現することがあります。
②腱膜がはずれている場合(腱膜解離性眼瞼下垂)
おでこの力を使っても、ほとんど眼を開けることができず、足元がようやく見える程度です。通常この状態になると、片方の眼でようやく見えている程度で、日常生活への支障を生じます。
③まぶたがけいれんする場合(眼瞼痙攣)
眼をあけようとすると、目の周りの筋肉(眼輪筋)がぴくぴくとして眼が開けられなくなります。
眼を開けようとする信号と、眼をつぶろうとする信号(顔面神経)がうまく協力できず、強制的に眼をつぶってしまう病気です。
脳の中で(大脳基底核)おこる機能障害とされていますが、原因としては、腫瘍による圧迫、神経疾患による症状、薬剤による副作用などさまざまなものがあり、詳しく調べる必要があります。
④皮膚がたるんで瞳孔にかかる場合(皮膚弛緩性眼瞼下垂)
通称『三角眼』とよばれる状態で、主に目尻の部分でまぶたの皮膚が垂れ下がり、外側を見たい時に、カーテンのように皮膚が覆いかぶさり、視野の妨げとなります。
背景に、腱膜性の眼瞼下垂も隠れていることが多いです。
眼瞼下垂の程度
眼瞼下垂の症状、サイン
治療方法
基本的に、眼を開ける仕組みを作り直す手術を行います。すべての術式で局所麻酔での手術となります。日帰り、または、短期入院での手術が可能です。
手術の方法によって、手術時間や、術後の腫れがでる期間などが異なります。
手術前に瞳(瞳孔)にかぶさっていた瞼は上がり、丸い瞳が見えています。また、眉毛が無理に上げる必要がなくなり、自然な位置に戻っています。
二重のラインで切開し、余った皮膚を切除する方法と、眉毛の下の皮膚を切除する方法があります。
二重ライン | 眉毛下 | |
---|---|---|
手術時間(両側) | 1.5-2.0時間 | 1.5-2.0時間 |
術後の腫れ具合と期間 | 強い・2-3週間 | 弱い・1-2週間 |
キズの見え具合 | 二重の底で見えない | 眉毛の際でめだちにくい |
外来手術 | 可(両側の場合は、短期入院をおすすめしています。) | 可 |
二重の調整 | 可 | 不可 |
緩んで伸びてしまったり、瞼板からはずれてしまった腱膜を再び、瞼板に戻す手術です。ミュラー筋の操作は、眼瞼けいれんの場合を除いて行わないようにしています。
二重ライン | 眉毛下 | |
---|---|---|
手術時間(両側) | 1.5-2.0時間 | 2-3時間 |
術後の腫れ具合と期間 | 強い・2-3週間 | 強い・2-3週間 |
キズの見え具合 | 二重の底で見えない | 二重の底で見えない |
外来手術 | 可(両側の場合は、短期入院をおすすめしています。) | 可(両側の場合は、短期入院をおすすめしています。) |
二重の調整 | 可 | 可 |
具体的な方針決定
具体的な手術法は各個人の眼瞼下垂の状況を詳しく検査し、どの部分に問題がある可能性があるかを検討の上、最適な治療法を提案しています。そのため、実際には、いくつかの治療法を同時に行うこともあります。
眼瞼下垂は、多くの人が最初は気が付かず、徐々に進行し中等度、重度になってから受診をされます。しかし、周囲を見渡せば、実は多くの人が眼瞼下垂の初期の状態にあります。知らず知らずのうちに、眼を開けるために、おでこに力をいれたり、余計な力がかかっていることがあります。眉毛の位置が少し高いなという方、おでこにしわのある方は、要注意です。
また、初期の眼瞼下垂の方で、片頭痛、肩こりがひどい方の場合、眼瞼下垂の手術を行うことでそういった症状が軽快することもよく経験されます。適切な時期に、適切な治療を行うことで、日常生活の質(Quality of Life: QOL)を改善につながればと、診療しております。
まずは、具体的な話しをきいていただき、ご理解を深めていただくことが肝要と考えています。ご遠慮なく主治医または、形成外科の外来へご相談ください。
なお、当院眼瞼外来を受診される場合には、当院形成外科眼瞼外来宛ての紹介状をご持参の上、地域医療連携室にてご予約をおとりください。
※写真の転写は禁止します。
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形成外科乳児の頭の変形外来 | 形成外科乳児の頭の変形外来 乳児の頭の変形の診断と治療を行なっています。 頭の変形でみつかるものには、頭蓋縫合早期癒合症・水頭症・頭蓋骨腫瘍・向きぐせによる頭の変形(斜頭、短頭)などがあります。 頭蓋縫合早期癒合症・水頭症・頭蓋骨腫瘍などは、詳細な検査の上、手術治療が必要になることがあります。 向きぐせによる頭の変形(斜頭、短頭)に対しては、その程度や時期に応じてヘルメットによる頭蓋形状誘導療法を提案いたします。この治療方法はアメリカで積極的に行われており、国内では国立成育医療研究センターで開始されています。 受診ご希望の方は紹介状(診療情報提供書)をご用意の上、地域医療連携室でご予約ください。 外来:毎週火曜日 午後2時~午後5時(午後4時まで受付) ※すべての方が治療の適応になるわけではありません。 地域医療連携室はこちら ヘルメットによる頭蓋形状誘導療法 アメリカで開発された治療法で、既に多くの報告があり、効果が有効であることが論文などで報告されています。国内では、国立成育医療研究センターで初めておこなわれ、これまで学会などでその有用性が多数報告されました。 今回、西日本の公立病院で初めて、この治療法を行うことできるようになりました。方法は、放射線を使うものでなく、侵襲は殆どありません。 LED光のスキャナーを用いて赤ちゃんの頭の形を計測し、オーダーメイドのヘルメットを作ります。開始時期は生後3ヶ月(首がすわってから)~6ヶ月くらいまでです。3~4週に1回の診察・調整を行なって、平均5ヶ月間装着していただきます。 費用(自費診療) 42万円(一連として)【消費税込(ヘルメット代含む)】 ※すべての方に効果が出るわけではありません。また、その効果は個人によって差はあります。詳しく見る
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形成外科自家培養表皮による巨大色素性母斑の治療 | 形成外科2016年12月に保険適応が認められました 自家培養表皮移植とは、従来の治療法に比べ、はるかに患者さんの負担の少ない手術です これまで巨大色素性母斑に対して行われてきた治療方法は、少しずつ切除していく方法(10回以上の手術が必要になることもあります)・組織拡張器を用いた切除方法・切除して自家皮膚移植(皮膚を取るところに大きな傷が残ります)などがあります。しかしながら、多数回にわたる手術など負担が大きいものでした。 自家培養表皮による巨大母斑の治療は、上記のとおりその負担を軽減できる新しい治療法で、当院では、積極的に治療を開始しています。 自家培養表皮による巨大母斑の治療の保険適応に当たっては、当施設は保険を獲得するための治験(保険診療を獲得するために患者様に同意を得て行う臨床治療)に深く関わってきました。 この治験は、2013年2月に関東3施設(国立成育医療研究センター・聖マリアンナ医科大学・栃木こども医療センター)と大阪市立総合医療センターの4施設で開始され、2013年11月まで行われました。当施設では4施設の中で最も多くの治験症例に対応し、全例100%生着という結果をだし、保険適応に大きく貢献しました。この治験症例の手術は、関東以外で当施設において初めて行われ、全治験症例中2例目でした。これらの経験をもとに私たちは、安全かつ適切な加療を行っています。 シート化された培養表皮 (J-TECホームページより引用) 自家培養表皮移植の実際 母斑のない正常部位から約1×2㎝の皮膚を取ります。局所麻酔が可能であれば、通院で採取は可能です この皮膚から再生医療により自家培養表皮を作成します。作成は業者に依頼し、約4週間で自家培養表皮ができあがります。 入院の上、全身麻酔下に色素性母斑の切除(皮膚の深い部分(真皮)は一部残します。よって母斑を完全に切除するわけではありません)し、培養表皮を移植します。 入院は手術した範囲、母斑の大きさや手術時年齢にもよりますが、およそ1~2週間です。 自家培養表皮はおよそ2週間で生着します。 退院後は数ヶ月移植部位の保護が必要です。 自家培養表皮移植の1例 術前 培養表皮移植時 術後1年3ヶ月 大きい色素性母斑をお持ちの方は、ご遠慮なく一度ご相談下さい。 当科受診には、原則としてかかりつけの医師からの紹介状が必要です。また、完全予約制を取っております詳しく見る
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形成外科顔面骨骨折 | 形成外科顔面骨折とは 顔の骨折は、骨折の部位により治療方針が異なります。当院で対応している骨折は①陳旧性鼻骨骨折・鼻篩骨骨折、②頬骨骨折・頬骨弓骨折、③眼窩内骨折、④上顎骨骨折、⑤前頭骨骨折に分類されます。これらが複数組み合わさる場合もあります。また顔面・頭蓋(ずがい、とうがい)は多くの骨の組み合わせからなるため、骨折の部位・症状によって眼科・耳鼻咽喉科・脳神経外科・歯科と協力して治療を行うことがあります。診断は症状と検査(レントゲン写真CT・MRI)を組み合わせて行います。また、当院では、複雑な骨折では3次元実体モデルを術前に作成し、治療に反映させています。 陳旧性鼻骨骨折・鼻篩骨骨折 当施設では、新鮮な鼻骨骨折については耳鼻咽喉科が対応しています。しかし、骨折後2週間以上経過をしていたり、変形が残った場合には、鼻骨の骨切り術や骨移植を行う必要が生じるために形成外科で手術を行っています。 頬骨骨折・頬骨弓骨折 転倒や打撲により顔面を強打した場合によく見られる骨折です。症状としては、口が開きにくくなったり、顔面の感覚の異常、奥歯が浮いた感じ、物を噛むと痛みを感じたり、時に物がだぶって見えたりすることなどが生じます。眼球や視力に影響が無い場合は、1週間くらい待って腫れが落ち着いてから手術を行うことが多いです。症状が軽かったり、骨折による骨のずれが少ない場合には手術をせずに経過を見ることもあります。手術は、ずれた骨片を元の位置にもどし、吸収性もしくは金属のプレートやワイヤーなどで固定します。固定に使用したプレートは、後に除去する必要は必ずしもありません。頬骨弓単独の場合は、元の位置に戻すだけの手術で済み、プレートなどで固定の必要はありません。 頬骨骨折・頬骨弓骨折 転倒や打撲により顔面を強打した場合によく見られる骨折です。症状としては、口が開きにくくなったり、顔面の感覚の異常、奥歯が浮いた感じ、物を噛むと痛みを感じたり、時に物がだぶって見えたりすることなどが生じます。眼球や視力に影響が無い場合は、1週間くらい待って腫れが落ち着いてから手術を行うことが多いです。症状が軽かったり、骨折による骨のずれが少ない場合には手術をせずに経過を見ることもあります。手術は、ずれた骨片を元の位置にもどし、吸収性もしくは金属のプレートやワイヤーなどで固定します。固定に使用したプレートは、後に除去する必要は必ずしもありません。頬骨弓単独の場合は、元の位置に戻すだけの手術で済み、プレートなどで固定の必要はありません。 眼窩内骨折 ブローアウト骨折とも呼ばれます。眼の周囲にある薄い骨の骨折で「眼を殴られた」等、眼球に衝撃が加わることで起こります。物がだぶって見える(複視)、目がへこむ(眼球陥凹)、頬や歯茎のしびれといった症状が現れます。症状とCTやMRIで診断を行います。手術するかどうかは眼球陥凹の有無と複視の程度で判断します。眼球陥凹が高度である場合は原則的に手術の対象になります。複視は腫れが引くに従って改善する場合も多いので、数週間様子を見て改善されない場合に手術を行います。例外的に骨折部に眼を動かす筋肉が挟み込まれてしまった場合は緊急手術になります。手術は、下まぶたや口内を切開して骨折線を確認し、落ち込んだ眼の周りの組織を元の場所に戻します。眼窩内の骨の欠損が大きい場合は再び眼窩内容が落ち込まないように、自分の骨や軟骨を移植して、眼窩周囲の骨を作り直します。入院期間は1週間前後です。複視は、手術直後に改善することは少なく、数週間~数か月かかります。 上顎骨骨折 顔の真ん中の骨の骨折でかなり強い力で起こります。多くの場合、上アゴを左右に横断するように骨折線が生じます。かみ合わせのずれ(咬合不全)、口が開けにくい(開口障害)、顔面の平坦化が主な症状です。症状とレントゲン写真とCTで診断を行います。手術するかどうかは症状の程度で決まります。治療の主な目的は元のかみ合わせに戻すことです。骨やかみ合わせのずれが少ない場合は手術を行わず、上アゴと下アゴをゴムやワイヤーで固定する顎間固定を行って数週間待ちます。ずれが大きい場合は手術の対象になります。手術は口内を切開してずれた骨を整復し、プレートで固定します。術後も骨がくっつくまで3週間前後、顎間固定を行います。顎間固定中は口を開けられませんが、しゃべることは可能です。その間、手術だけでかみ合わせが十分に戻らない場合は、歯科矯正を行うこともあります。 前頭骨骨折 前頭骨は、額の部分を作る骨で、鼻の上方や眉毛の部分には骨の中に空洞(前頭洞)が存在します。この空洞を含めた額を、強くぶつけた場合に生じる骨折が、前頭骨骨折です。診断は、症状とレントゲン・CTにより行います。変形が軽度で頭蓋内に問題が無ければ、手術の必要はありません。しかし、大きく陥凹したり、頭蓋内側の骨も折れて、感染の危険性がある場合は手術の適応となります。手術は、傷跡を額につけたくない場合は頭髪の中に切開線をおいて行います。この際、髪の毛をすべて剃ったりするようなことはせず、術後も髪の毛で隠せるように工夫しています。 ※写真の転写は禁止いたします。詳しく見る