循環器内科

科の特色

 当院の特徴は、開設以来心臓カテーテル治療による虚血性心疾患の治療を中心に行っています。近年の心臓カテーテル治療の進歩はめざましく、カテーテル治療器具(いわゆるデバイス)の進歩により治療成績が向上し合併症も著しく低下しています。特に薬剤溶出性ステントの出現によりこれまでのカテーテル治療のアキレス腱でありました再狭窄も減少傾向です。近年、増加傾向である重症下肢虚血を含めた末梢動脈疾患の治療も積極的に行い、年々増加しています。さらに、予防や再発防止をめざして、入院および外来で、心臓リハビリテーションを積極的に行っています。また薬剤抵抗性の閉塞性肥大型心筋症に対して、肥大心筋を栄養している中隔枝にバルーンカテーテルを通して選択的に高濃度エタノールを注入、心筋に凝固壊死を起こすことで左室流出路狭窄を解除し、圧較差が改善する経皮的中隔心筋焼灼術 (PTSMA) 2018年から開始し、これまで13例施行し良好な成績を収めています。20198月からインペラ(IMPELLA)補助循環用ポンプカテーテルをいち早く導入しました。導入後、低心機能患者の心臓外科の術後や心原性ショックを伴った急性心筋梗塞症に使用しています。

 不整脈治療においては、201511月から発作性心房細動に対する新しい不整脈治療である心筋冷凍焼灼術 (クライオアブレーション) が、大阪府下の3施設目として開始されました。従来のアブレーションに比べ、手術時間の短縮、再発率の低下、安全性が著しく向上しています。ペースメーカ等のデバイス治療に関しましては年間150件を超えています。新しいデバイスである皮下植込み型除細動器は4例、リードレスペースメーカは5例の患者さんに植込みを施行しました。合併症もなく安全に施行できております。心室ペーシングによる心機能低下症例の軽減を目指し、房室ブロック症例にはHis束ペーシングも行っております。202010月から、心原性脳塞栓症予防の予防治療である左心耳閉鎖システム(WATCHMAN)を用いたカテーテル治療を開始しています。

 弁膜症治療については、2015122日付けで大阪府下6施設目となる重症大動脈弁狭窄症の新しい治療法である経カテーテル的大動脈弁置換術 (Transcatheter Aortic Valve Implantation: TAVI) の施設認定を取得し、20164月から循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、放射線科、臨床工学技士、看護師で構成される「TAVIチーム」が中心となって開始し、20213月までに大きな合併症なしで、259例に到達しています。本年度は、僧帽弁閉鎖不全症に対しての経皮的僧帽弁クリップ術 (Mitral Clip) と潜因性脳梗塞に対する経皮的卵円孔開存閉鎖術の開始を予定しています。

 慢性心不全の患者さんに対して、20176月から、心不全患者の再入院を、減らす試みで始まった「大阪心不全地域医療連携の会」の開催など、今後、超高齢化に伴い、近年増加している心不全患者の管理について、医療機関の枠を超えて地域全体で治療する体制が整いつつあります。

 当院のもう一つの特徴は、心臓血管外科、救急救命センターと緊密な協力下、循環器センター直通電話(ハートライン)を通じて、24時間体制で循環器救急診療に対応しています。20184月から、これまで各階に分散していた重症病棟が、新たに4階に集中治療センター(ICU, CCU, ECU, P-ICU 40床)として集約され稼働しています。

 毎週行っている多職種の症例カンファレンスでは、個々患者さんにもっとも最善な治療法を検討しています。さらに当院の総合病院としての特徴を十二分に発揮して悪性疾患や腎不全を初めとした合併症をもつ循環器疾患の治療を関連診療科と緊密に連携をとりながら積極的に取り組んでいます。

 本年も、コロナに負けない市総合を目指して、これまで同様地域医療機関との連携強化に努め、どのような心血管疾患に対しても最先端の循環器医療を身近に提供できるよう、なお一層努力したいと思っておりますのでどうぞよろしくお願いします。

  • TAVI経カテーテル大動脈弁植え込み術

    TAVIは、重症の大動脈弁狭窄症に対する治療法で、外科手術のように開胸することなく、また心臓の動きも止めることなく、カテーテルを使用して人工弁を留置します。低侵襲で、人工心肺を使用しなくて済むため、高齢で体力の低下した方やその他の合併疾患のため外科手術を断念された方などが対象となります。

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  • 冷凍アブレーション

    心房細動は高齢者に多い不整脈です。治療方法は、不整脈の原因となる心筋組織をカテーテルで焼灼します。これまでのカテーテル先端から高周波電流を流すことにより心筋組織を熱凝固させる高周波アブレーション(心筋焼灼術)に加えて、今回、液体窒素を用いた冷凍アブレーションも始めました。冷凍アブレーションは手技時間の短縮や合併症の軽減が期待されています。治療法が増えたことで、心房細動の治療の選択肢が増え、より良い治療を提供できると考えています。

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