放射線治療科
診療実績
診療実績データ(年別)
※2024年10月~2025年4月までリニアック1が装置更新によりリニアック2(Tomotherapy1台のみ)の治療患者数となります。
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外照射治療 |
RALS | 前立腺小線源治療 |
|---|---|---|---|
| 2020年 |
547人 |
21人 |
37人 |
| 2021年 | 479人 | 20人 | 37人 |
| 2022年 | 459人 | 26人 | 34人 |
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2023年 |
505人 | 26人 | 49人 |
| 2024年 |
511人 |
32人 | 42人 |
2024年の外照射患者511名のうち強度変調放射線治療の患者は231名、定位放射線治療患者は11名です。
また15歳未満の小児患者は25名です。
2024年外照射疾患別治療患者数(部位別)
| 脳・脊髄腫瘍 | 11人 |
|---|---|
| 頭頸部(甲状腺含む)腫瘍 | 52人 |
| 食道がん | 27人 |
| 肺がん |
77人 |
| 乳腺がん | 52人 |
| 婦人科腫瘍 | 47人 |
| 前立腺がん | 60人 |
| その他 | 82人 |
| 15歳以下の小児悪性腫瘍 | 25人 |
| 15歳以上20歳未満 | 7人 |
疾患情報・コラム
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放射線治療科放射線治療の流れ放射線治療の流れ STEP1 放射線治療科医師の診察 まず、放射線治療を専門とする医師(放射線治療医)が診察を行います。これまでの検査結果や現在の体調などを詳しくお伺いし、放射線治療が患者さんにとって最適な治療法かどうかを判断します。 この診察では、治療の目的、期待される効果、具体的なスケジュール、起こりうる副作用とその対策などについて、分かりやすく丁寧にご説明します。不安なことや疑問に思うことがあれば、どんな些細なことでも遠慮なくご質問ください。患者さんとご家族が十分に納得された上で、治療に進むことを大切にしています。 診察の前に、聞きたいことや不安な点をメモにまとめておくことをお勧めします。 医師を前にすると緊張して忘れてしまうこともあります。ご家族と一緒に診察を受け、説明を聞くのも良いでしょう。 STEP2 治療計画用画像の撮影(治療計画用CTやMRIの撮影) 治療の「設計図」を作るために、治療する部位を正確に把握するための画像を撮影します。主にCT検査を行いますが、病気の種類によってはMRIやPET-CTといった他の検査を組み合わせることもあります。 この検査では、実際に治療を受ける時と同じ姿勢をとっていただきます。正確な治療のためには、毎回同じ姿勢を保つことが非常に重要になるため、必要に応じて体に合った固定具を作成することもあります。検査は通常15分から30分程度で終了しますが、必要に応じて時間がかかる場合があります。 左の写真は、治療姿勢の一例です。 照射部位などにより、治療姿勢は異なります。 詳細については、当日スタッフが説明します。 右の写真は、吸引式固定具です。 固定具は、毎回同じ姿勢をとり、治療中に体が動く ことがないようにするために作成します。 左の写真は、頸部などの治療をする時に使用する固定具 です。 頭部などの治療の場合は、首から上だけの大きさです。 治療計画用CTについての詳しい説明は、こちらをご参照ください。 詳しくはこちら 撮影当日は、体を締め付けない、ゆったりとした服装でお越しいただくとリラックスできます。 また、この時に決めた姿勢が治療の基本姿勢になります。もし姿勢が苦しいと感じた場合は、我慢せずにすぐにスタッフにお伝えください。 STEP3 治療計画の作成 CTやMRIで撮影した画像をもとに、専門の医師(放射線治療医)が、がんに対して最も効果的で、かつ周囲の正常な組織への影響を最小限に抑えるための治療計画を立てます。 患者さん一人ひとりのお体の状態やがんの性質に合わせて、どの方向から、どのくらいの強さの放射線を、どのくらいの範囲に当てるかを精密に計算します。この過程では、医学物理士という放射線治療の専門家も協力し、コンピューターを使って最適な照射方法をシミュレーションします。この治療計画が、いわば「放射線治療の設計図」となります。 STEP4 治療計画の検証 作成した「治療計画の設計図」が、実際に安全かつ正確に実行できるかを確認する、非常に重要な工程です。 まず、医学物理士が中心となり、作成された計画が物理的にみて本当に実現可能か、そして治療装置が計画通りに寸分の狂いなく動くかを専門的なソフトウェアや測定機器を用いて厳密にチェックします。さらに、実際に患者さんに治療を行う前に、治療装置を使って計画通りの放射線が照射されるかをダミーの測定器(ファントム)で測定し、安全性を最終確認します。このように二重、三重のチェックを行うことで、治療の精度と安全性を最高レベルに保っています。 STEP5 カンファレンス 最終的な治療方針を決定するために、放射線治療に関わる専門スタッフによる会議(カンファレンス)を開きます。 この会議には、放射線治療医、診療放射線技師、医学物理士、看護師など、様々な職種の専門家が参加します。それぞれの専門的な視点から治療計画を多角的に検討し、患者さんにとって最も安全で効果的な治療が提供できるかを確認します。チーム一丸となって患者さんの治療をサポートするための、大切なプロセスです。 あなたの治療は、一人の医師だけでなく、多くの専門家からなる「チーム」で支えられています。それぞれの専門家があなたの情報を共有し、最善の策を練っています。あなたは一人ではありません。 STEP6 治療実施 いよいよ治療の開始です。治療室に入り、治療計画の時と同じ姿勢をとっていただきます。診療放射線技師が中心となって、ミリ単位での正確な位置合わせを行います。 位置が決まったら、スタッフは隣の操作室に移動し、モニターで患者さんの様子を見守りながら放射線を照射します。実際の照射時間は数分程度で、痛みや熱さを感じることはありません。治療中は体を動かさないようにご協力をお願いします。何かあればマイクを通してすぐに会話ができますので、ご安心ください。治療は通常、土日祝日を除き、毎日(週5回)行われます。 治療の流れについての詳しい説明は、こちらをご参照ください。 詳しくはこちら 治療中は好きな音楽を心の中で思い浮かべたり、楽しいことを考えたりしてリラックスしましょう。毎日同じ時間帯に予約をとるなど、生活のリズムを作ると通院の負担が軽くなります。だるさなどを感じた日は、無理せず休息をとりましょう。 STEP7 治療終了後・経過観察 予定されたすべての治療が終了した後も、医師や看護師が患者さんの健康を継続的にサポートします。 治療終了後は、主科、必要に応じて放射線治療科に診察に来ていただき、治療の効果や副作用の状態を確認します。これを経過観察と呼びます。診察の際には、体調の変化や気になることなど、何でもお話しください。治療の効果が安定し、副作用も落ち着けば、診察の間隔は徐々に長くなっていきます。 治療が終わっても、不安がすぐになくなるわけではありません。定期的な診察は、体の状態を確認するだけでなく、心の安心を得るための大切な機会です。気になる症状があれば、次の診察まで待たずに、いつでも病院にご連絡ください。詳しく見る -
放射線治療科放射線治療装置について放射線治療装置の紹介 TrueBeam(リニアック1) 2025年4月21日(月)照射開始 高精度かつ短時間での放射線治療を可能にする最新のリニアック装置 (直線加速器)です。 〇特長 治療時間が短く、身体への負担が少ない TrueBeamでは、放射線を短時間で照射することが可能になります。そのため治療にかかる時間が短くなり、 長時間じっとしている必要がありません。これにより、患者さんの負担が軽くなります。 呼吸に合わせたやさしい治療 呼吸をすると、肺や肝臓などの内臓は動きます。 新装置では、呼吸による体の動きに合わせてピンポイントで放射線を照射することができます。これにより、腫瘍のある 場所にしっかりと放射線を照射しながら、周りの正常な組織を守ることができます。 様々な角度の画像を取得し、より正確な照射が可能 治療前や治療中に様々な角度からのX線画像やCT画像を撮影することができます。 腫瘍の正確な位置をその都度しっかりと確認しながら照射できるため、より安全で正確な治療が可能になります。 わずかな姿勢の位置補正も正確に調整が可能に TrueBeamでは、治療寝台の向きや角度を細かく調整することができます。 患者さんのわずかな姿勢の位置補正や腫瘍の位置の違いにも対応でき、正確で安全な照射をすることができます。 (寝台の動き) 赤線 体軸方向、軸に対する角度 青線 高さ方向、軸に対する角度 黄線 横方向、軸に対する角度 それぞれの方向で細かな調整が可能になります。 HyperArc機能 当院では従来、脳腫瘍に対する定位放射線治療は、ガンマナイフのみで実施可能でしたが、新しい放射線治療装置(TrueBeam)ではHyperArcというアプリケーションを用いてマスク固定にて実施することができるようになりました。HyperArcでは、転移性脳腫瘍を中心とした頭部・頭頸部病変に対するVMAT(回転型IMRT)を用いた定位放射線治療を効率的に行うことが可能です。 最新の位置照合システム「ExacTrac Dynamic」搭載 この装置は4Dサーマル・サーフェスカメラやX線を使って「正確な位置合わせ」と「リアルタイムの動きの管理」が できる最新のシステムです。 ・治療時の位置合わせの時間が短縮され、患者さんの体の負担が軽減します。 ・体表面を映す特別なカメラ(4Dサーマル・サーフェスカメラ)を使って治療中も体の動きを見守ることができます。 TomoTherapy(リニアック2) 2014年度導入 ACCURAY社製 TomoTherapy HD IGRTに対応 当院ではTomoTherapyをIMRT(強度変調放射線治療)専用の装置として使用しています。IMRTでは放射線のビームを細かく調整しながら治療していくので、治療部位に近い正常組織への線量を減らすことができ、副作用をより抑えることが出来ます。また、TomoTherapyでもIGRT(画像誘導放射線治療)を行っています。 さらにTomoTherapyでは一度に広範囲の治療ができるので、全脳全脊髄照射(Craniospinal Irradiation :CSI)も行っています。 ガンマナイフ ガンマナイフとは、コバルト60を線源とする頭部専用の定位放射線手術を行う装置です。頭蓋骨に直接フレームを固定する方法と、専用のマスクによる固定の2つの方法があります。ガンマナイフ装置でCTが撮影できることにより、マスクでの治療が可能になりました。MRIやCTの画像をもとに脳外科医により治療計画が立てられます。フレームやマスクで頭部を固定する事により、開頭しない非侵襲的な脳手術を可能にし、周囲の正常組織に対して影響をほとんど与えません。したがって、精密な手術と同様な放射線治療が可能です。 この治療は外科的手術では困難であった脳深部の治療などに対して効果を発揮します。そして外科的手術に比べて、はるかに侵襲の少ない治療法ですので、手術に耐えられない患者さんや高齢者の治療も行えます。また、照射による認知機能の低下も少なく、再発に対しても繰り返し治療を行うことが出来ます。 MRIに対応した麻酔器を使用する事で、小児に対する全身麻酔下での治療も可能です。 治療計画画面 治療用マスク 詳しくはこちら CT(SOMATOM go.Sim) 〇特長 入口部分にゆとりのある安心設計 この装置は、入口部分(ボア)がとても広く作られていて、さまざまな体勢や状態の方にも対応できます。ゆとりがあるため、圧迫感が少なく、より安全に撮影を行うことができます。 金属の影響を減らす技術「iMAR」 CT撮影を行う際、銀歯や人工関節などの金属があると、画像が見えにくくなったり、周りの組織が正しく映らなかったりすることがあります。 「iMAR(アイマー)」という新しい技術は、そういった金属の影響を減らして、できるだけ本来の姿に近い画像を作り出す技術になります。 これにより、金属近くにある体の組織もはっきり見えるようになり、正確な治療計画を立てることが可能になります。 呼吸の影響を考えた撮影技術 「呼吸同期撮影」では、呼吸状態を確認しながら撮影を行うことで、腫瘍がどのように動いているかをしっかり把握することができます。 腫瘍の動きも含めた治療計画を立てることができ、より精度の高い治療が可能になります。 高線量率イリジウム照射(密封小線源治療) 高線量率腔内照射法は密封小線源(自ら放射線を出す物質)を患部近くに滞留させて体内から放射線を照射する治療です。 治療の対象となる部位は子宮体部・子宮頚部が主となり、アプリケーターと呼ばれる直径2mm程度の管を病変部に挿入し体の内側から放射線を照射していく治療です。 患部のみに限局して放射線を照射することに優れ健常組織へ与える影響を最小限に抑えることができる特徴があります。 治療は病変部に、アプリケーターを挿入(体腔・管状器官などを利用)して放射性同位元素が通るルートを確保します。次に患部の形状やアプリケーターの位置関係を3次元的に治療計画装置を使って計算し、最適な密封小線源の滞留時間を決定します。適切な線量分布が得られると治療を開始します。 アプリケーター挿入時に違和感を伴うこともありますが、必要に応じて鎮静や麻酔を併用します。放射線照射中は何も感じることはありません。 前立腺癌に対する永久挿入療法(密封小線源治療) 125I(ヨード)密封小線源永久挿入治療(ブラキセラピー)とは手術療法や放射線外照射療法と並ぶ125I(ヨード)線源を用いた限局性前立腺癌の根治的治療方法の一つです。 上図のようなチタン製カプセル内に格納された125I(ヨード)という放射線源を、前立腺全体に放射線が分布するように経直腸超音波ガイド下にて挿入する治療方法です。 腰椎麻酔下で行われるので痛みもほとんどありません。 リスク分類によって治療線量は異なり、低リスク、中リスクの治療にはブラキセラピー単独療法で、 高リスクの場合にはブラキセラピーと外照射を組み合わせ、さらにホルモン療法を並行して行ういわゆるトリモダリティ療法にて完治を目指します。 前立腺内へ限局した高線量の照射が可能で、周辺臓器への影響が比較的少ないという特徴を有しています。また治療期間も短期間のため、早期の社会復帰が可能です。詳しく見る