大阪市立総合医療センター,Osaka City General Hospital

TEL.06-6929-1221

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消化器外科

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科の特色

 当院では消化器センターとして消化器外科、消化器内科、肝胆膵外科、肝臓内科の4診療科が緊密に連携して、様々な消化器疾患の治療にあたっています。

 消化器外科では、食道から大腸までの消化管疾患を主に取り扱っており、年間手術件数は、約630件(平成30年度)ですが、消化器がんに対する手術が多数を占めており、地域がん診療連携拠点病院*に指定されています。

 消化器がんに対しては、消化器内科や腫瘍内科、放射線腫瘍科専門医も交えたCancer boardにて患者さん各々の状態に応じた個別化治療を行っています。また、当院は、すべての領域において専門医が在籍しており、初期治療、再発時治療、緩和治療など、患者さんの状態に応じた治療をその領域の専門医が行っています。
 
地域がん診療連携拠点病院:がん診療の質の向上及び連携協力体制の構築に関し中心的な役割を担う国が指定する病院。

内視鏡手術(腹腔鏡下・胸腔鏡下手術)について

 消化器の手術において、従来は20から30cmの大きな切開をおく開腹手術・開胸手術が標準で,当院でも進行度によってはこの方法でおこなっています。しかし、近年はおなかを大きく切らず、小さな穴を開けて、テレビカメラを差し込み画面に映し出しながら手術をおこなう内視鏡手術(腹腔鏡下・胸腔鏡下手術)という方法が普及しつつあります。この方法は開腹・開胸手術より多少時間がかかりますが、創が小さくて痛みが小さいということのみならず、出血が少ないことや、拡大視(大写しにできる)効果で精密な手術ができるというメリットがあります。

 ただし、内視鏡手術は開腹・開胸手術に比べ手術難度が高くなり、これらを行うには熟練を要します。がんの進行度や部位によっては必ずしも内視鏡手術が優れているというデータがないものもあります。当科では食道、胃、大腸の各分野において日本内視鏡外科学会が、内視鏡手術の指導医として承認した内視鏡外科技術認定医が6名在籍しており、これらの医師を中心に内視鏡手術を行っています。2018年の1年間で食道は80%胃は84%大腸は90%の症例で内視鏡手術をおこないました。
 

内視鏡手術の風景

ロボット手術(ダヴィンチ手術)

 2017年より胃癌、食道癌、直腸癌に対するロボット支援手術を保険診療で開始しています。ロボット手術は、関節のあるエンドリストを使用し3Dカメラから送られてくる高解像の画像を見ながら遠隔で手術操作を行います。従来の内視鏡手術より、直感的でストレスなく繊細な手術が可能となります。ロボット手術を保険診療で施行するには、施設基準、術者基準をクリアしなければならないが、当院では、それらの条件をすべて満たしており、6名の術者が、すべての領域で、保険診療としてロボット手術を実施しています。20199月までに食道癌14、胃癌107、直腸癌11にダヴィンチ手術を行いました。術後成績は良好で、国内外にその良好な成績を報告しています。
 

 
 手術支援ロボット “ダヴィンチ”
 
          

高度肥満に対する減量手術

 2018年よりBMI(体重kg÷身長m÷身長m)が35以上の高度肥満患者に対し胃を楔状に形成するスリーブ胃切除を開始しました。今後、本邦でも、食事の欧米化などが原因で、肥満患者が増加していくことが予想されています。高度肥満患者は、重度の糖尿病、高血圧などを合併することが多く、内科的治療に抵抗性です。そのような高度肥満患者に対してスリーブ胃切除を行うことで、減量とともに並存疾患の改善も期待されます。当科では、現在までに5例のスリーブ胃切除を指導医のもとに安全に施行し、20197月から腹腔鏡下胃スリーブ切除の保険診療施設に認定され、健康保険下に本手術が施行可能となりました。
 
          

主な対象疾患

 消化器外科では食道から肛門までの消化管(ただし十二指腸の一部に関しては肝胆膵外科が担当しています)に対する手術を専門的におこなっています。特に多いのは「がん」に対する手術です。がんの手術といっても早期がんから進行がんまでさまざまな病態があり、その進行度に応じて適切な治療をおこなっています。当科では、臓器専門性を掲げて治療を行っています。上部消化管疾患(食道・胃)は、久保 尚士、玉森 豊、櫻井 克宣が、下部消化管(小腸・大腸)は、前田 清、日月 亜紀子、西居 孝文、青松 直撥が担当しています。
 

 

上部消化管疾患に対する手術(担当:久保尚士、玉森 豊、櫻井克宣)
1)食道がんに対する手術(担当:久保 尚士、櫻井 克宣、玉森  豊)

 食道がんは消化管の中で手術が最も難しいがんと言われています。最近は、発生部位や進行度によっては内視鏡治療や化学放射線療法が第一選択の治療になることが増えてきましたが、依然、手術が治療の柱になっています。手術は、胸部の食道癌であっても、頚部、胸部、腹部のリンパ節に転移しやすいため、この3つの領域のリンパ節郭清と食道亜全摘を行い、胃を利用して消化管を作成し、頚部の食道と吻合します。手術難易度が高いため、日本食道学会が認定した外科専門医の指導のもとに、安全かつ根治性が高い手術を施行しています。当院は、日本食道学会が認定する食道がん手術の認定施設1つです。

 また、食道がん手術は、頸部、胸部、腹部にメスが入りますので、術後の疼痛が問題となります。痛みを和らげるために、創が小さい胸腔鏡、腹腔鏡手術を積極的に導入しています。最近では、手術支援ロボット“ダヴィンチ”を使用した手術を行い、小さい創から繊細で、安全な手術を行っています。詳しくはこちらをご参照ください。手術後は、高度な術後管理が必要なため、集中治療センター(ICU)に入室し、集中治療の専門医が、術後管理を行います。当院では2018年度から、従来のICUスペース、ベッド数を増加させたスーパーICUが稼動しました。並存疾患が多い患者さんや、高齢で臓器予備能が悪い患者さん、高度な侵襲を伴う術後の患者さんには、スーパーICUに入室し、全身状態が安定してから一般病棟へ移動します。

 当院では、消化器内科・腫瘍内科・放射線腫瘍科・耳鼻咽喉科・形成外科・呼吸器外科と協力し一人ひとりの病態に応じて適切な治療をおこなっています。この手術は術後の嚥下機能に影響を及ぼすため、リハビリテーション科・口腔外科との協力のもと術後早期の社会復帰をめざしています。手術や病気の内容はこちらを参照してください。当院は、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)と呼ばれる標準治療の確立を目的とした研究を行うグループの関連施設の1つに指定されています。
 
  
ダヴィンチ手術後1年の創部      ダヴィンチ手術時のカメラ映像

2)胃がんに対する手術(担当:玉森 豊、久保 尚士、櫻井 克宣)

 胃がんは日本人の罹患率がもっとも高いがんの一つです。早期がんであれば胃カメラによる治療(内視鏡下粘膜剥離術)で治療可能な場合もありますが、多くの場合は胃の一部もしくは全部とまわりのリンパ節を手術で切除する治療が選択されます。進行がんの場合は、手術前または後に抗がん剤治療を併用して治療効果を高めることをおこなっています。また、近年、患者さんの手術の負担を軽減してより安全で精度の高い手術を行うために、手術支援ロボット“ダヴィンチ”を使用しています。20197月現在、100名の患者さんにダヴィンチを使用した胃切除術を行いました。胃癌手術の60をダヴィンチ手術が占めています。術時の平均出血量は20mlで、全員に大きな合併症を認めず、平均11日で退院されました。当院でロボット手術を行う医師は、韓国や国内の有名な施設で研修を行っており、安心して手術を受けて頂くことができます。詳しくはこちらを参照して下さい。
 
  

ダヴィンチ手術後1年の創部  ダヴィンチ手術時のカメラ映像
 

ダヴィンチ操作中の術者
 
胃切除後再建法について
胃切除後は胃の機能の一部または全部が失われることになりますので、安全で後遺症をおこしにくい再建法を個々に応じて選択します。これらは開腹手術でも腹腔鏡手術(ロボット支援下を含む)でも同じです。

 

3)がん以外の疾患

  食道や胃の粘膜下腫瘍(GISTなど)、食道裂孔ヘルニアなどについても積極的に腹腔鏡手術を取り入れて、治療を行っています。

 

幽門側胃切除後再建法

噴門側胃切除後再建法

胃全摘後再建法

下部消化管疾患に対する手術(担当:前田 清、日月 亜紀子、西居 孝文、青松 直撥)

 下部消化管とは小腸および大腸をさします。 大腸はその部位によって、虫垂、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸S状部、上部直腸、下部直腸、肛門管に分かれます。手術症例では大腸がんが多数を占めています。

下部消化管図
 

1)大腸がん(担当:前田 清、日月 亜紀子、西居 孝文、青松 直撥)

 大腸がんも胃がんとならんで罹患率がもっとも高いがんの一つです。当院の大腸がんに対する年間手術症例数は174例です(2018年度)。このうち90%を腹腔鏡下大腸切除術で行っています。

 また、肛門に近い部位にできた直腸がんの場合、人工肛門になる可能性が高くなりますが、当科ではこのような症例に対して、内肛門括約筋切除術(ISR)を含めた肛門 温存手術を積極的に施行しております。ISRは「究極の肛門温存手術」と言われることもありますが、これまで永久人工肛門を造設せざるを得なかった直腸 がんの患者さんが永久人工肛門を回避できるようになった優れた術式です。

 この手術でも肛門温存が困難な場合、症例によっては手術前に抗癌剤治療や放射線療法を組み合わせた治療を行い、がんを縮小させることにより肛門温存できることもあります。

 ただ、これらの手術後は排便回数増加や便失禁などの症状がでることもありますので、患者さんの年齢、術前の肛門機能、術後のライフスタイルなどを十分に考慮する必要があり、患者さんと相談して術式、治療方針を 決めていくことが大事であると考えております。
 
内括約筋切除術(ISR

内括約筋切除術(ISR)

 進行がんの場合、術後に排尿障害や性機能障害などの後遺症が残ることがありますが、当院では腹腔鏡手術の利点である拡大視効果により、神経を可能な限り温存し、これらの機能を温存する手術につとめています。また、最近は、より安全で合併症の少ない手術を行うために手術支援ロボット“ダヴィンチ”を使用した直腸癌手術を積極的に行っています。直腸癌においては、狭い骨盤内で、関節を持ったエンドリスト(ダヴィンチの手)で手術が繊細に行えることで、骨盤神経への影響を最小限にして、腫瘍の完全切除が可能となります。従来の腹腔鏡手術より、術後の排尿障害、性機能障害を減少させることが期待されます。詳しくはこちらをご参照ください。

2)がん以外の疾患

 下部消化管では難治性腸疾患であるクローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患についても消化器内科の専門医と密に連携し、内科治療から手術までシームレスな治療を行っています。
 その他、肛門疾患(痔核、痔ろうなど)、そけいヘルニアの手術も積極的におこなっています。

 

救急疾患について

 救命救急センター・初期急病診療部と連携し、消化管穿孔や腸閉そく、急性虫垂炎、外傷性腹膜炎などに対しても迅速に対応し、必要な場合は緊急手術も行っています。

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