糖尿病・内分泌内科
科の特色
2014年(平成26年)に糖尿病センターより糖尿病・内分泌センターへと名称変更したとともに診療科を代謝内分泌内科より糖尿病内科・内分泌内科へと細分化し、専門性を高めることで各領域においてより高度な医療を提供できるようになりました。その上で糖尿病・内分泌センターとして科間の連携をとり幅広い疾患に対応しております。
外来では午前の1診は毎日初診外来として地域医療機関から直近に予約ができるようにしており地域連携を重視しております。そのほか母性外来を設けており妊娠糖尿病の数も多く診療しております。またインスリン/インクレチン注射薬治療やCSII(持続皮下インスリン注入療法)・インスリンポンプ治療も積極的に行っております。
理念・チーム医療
糖尿病治療の目標は健康な人と代わらない生活の質と寿命です。その目標に向かって、糖尿病学会専門医・会員の医師、糖尿病患者さんの日常生活・療養をサポートする専門資格である糖尿病療養指導士(看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師・理学療法士)が一丸となって糖尿病患者さんを支えます。
外来での在宅療養指導を専属の看護師(糖尿病療養指導士)がうけもち、フットケアや生活・療養指導(食事・運動・手技確認・精神面のケア)、糖尿病透析予防指導を行い、よい成績をあげております。また当日栄養指導として、外来の診察の帰りに指導が受けられるように利便性を重視しております。個人栄養指導は2020年度でのべ1702名に行いました。
また入院におきましては、2021年(令和3年)3月厚生労働省発表の全国DPC病院ランキングで、糖尿病全体で489名(全国3位)、2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く、末梢循環不全あり) で269名(全国4位)、1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く、末梢循環不全あり) で15名(全国8位)と数多くの患者さんの治療にあたっています。
公開市民糖尿病ゼミナール「ためしたカッテン」
世界糖尿病デイである11月14日の前後に、市民医学講座として公開市民糖尿病ゼミナール「ためしたカッテン」を毎年開催しています。 大阪市民の皆様に糖尿病についての知識を提供していると共に、バーチャルバイキング、血管年齢測定、フットケア実践、自己血糖測定体験などの体験型のブースも設置しております。2018年度は449人もの方々に参加いただきました。 開催日時詳細は市民医学講座のお知らせのページでお知らせします。
入院糖尿病教育コース
2021年現在、新型コロナウイルス感染予防の観点から集団での教育コースは実施しておりません。詳しくは当科外来でご相談ください。
火曜日から金曜日の4日間で、当院の医師・看護師・薬剤師・管理栄養士などが一丸となって糖尿病についての知識、食事についての講義・相談、運動の実践を行います。
また週末入院の教育コース・透析予防教育コースも行っております。
〇外来での日帰り糖尿病教育コースも行っています
持続血糖測定(CGM)/ 持続皮下インスリン投与(CSII)
当科では24時間の血糖値を測定する持続血糖測定(CGM/FGM)を導入して盛んに行っております。これは患者さんに血糖の数値だけでなく、血糖の変化(血糖変動)を確認することのできる機械であり、患者さんそれぞれの変化パターンを知ることができます。
また持続的にインスリンを体内に注入することでさらに安定した血糖値を得ることのできるインスリンポンプ(CSII、SAP)も行っております。インスリンポンプは2021年現在で90名の患者さんに使用いただいており大阪府下でも随一の数を誇ります。
母性内科外来
当院では年間約100件の妊娠糖尿病、1型・2型糖尿病合併妊娠の患者さんの内科治療にあたり、大阪府下でも有数の件数です。2001年以降、80名以上もの1型糖尿病合併妊婦さんが当院で出産されています。
より専門的な外来として母性内科を開設し、産科と連携して妊娠糖尿病や、甲状腺疾患合併の妊婦さんの管理を産後フォローアップまで長いスパンでサポートしています。地域医療連携室より予約をお取りください。
骨粗鬆症・サルコペニア外来
2019年4月より当科で骨粗鬆症・サルコペニア外来を開設しています。
サルコペニアとはからだの筋肉量が少なくなり、からだの機能や筋力が少なくなることです。サルコペニアは糖尿病を含めた多くの疾患との関連が注目されており、また骨が弱くなり骨折の危険性が高くなる骨粗しょう症も糖尿病との関連が研究されています。またレジスタンス運動は筋肉、骨強度の維持が可能であり、その重要性が強調されています。
周術期血糖管理チームDCT(Diabetes Control Team)
2010年(平成22年)より、他科で入院中の周術期血糖管理や高用量ステロイドに伴う高血糖・血糖変動の大きいハイリスク者の血糖管理を、当科を中心としたDCT(Diabetes Control Team)が行っております。糖尿病内科医が当番で血糖コントロールの指示を行い、術後感染の減少や入院期間の短縮に努めております。インスリン自己注射指導や栄養指導が必要なケースには、糖尿病療養指導士を含めた医療スタッフが指導を行っております。
DCT依頼の主な疾患は、2020年度は特に新型コロナウイルス感染症の介入依頼が153件と最も多く、その中で91件はICUでの重症対応が必要な症例でした。そのほかは悪性疾患の介入依頼が多く(図2)、周術期の血糖コントロールや化学療法時の血糖コントロールが多くを占めております。
図1 DCTの年間介入件数
図2 DCT介入となった主な疾患(2020年度)
糖尿病透析予防指導
現在、新規に透析導入となる原因疾患の第1位は糖尿病です。糖尿病腎症から透析への進行を抑えるよう、医師・看護師・管理栄養士がチームとなって皆さんを支えます。対象は糖尿病腎症2期~4期の患者さんです。
臨床研究の情報公開
糖尿病内科では、この領域における医学の発展のために臨床研究を行なっております。
以下に記載の対象者の方は、問い合わせ先に連絡することによっていつでも本研究への参加を拒否することができます。また、研究への参加を拒否されても、診療に関する不利益等を受けることは一切ありません。
2014年(平成26年)4月に新しく開設された診療科です。
内分泌内科は、ホルモンを作る臓器の病気やホルモンの過不足により異常を来す病気の患者さんを対象としています。下垂体、甲状腺、副腎、副甲状腺・骨系統、性腺に関連する病気に加え、内分泌臓器の腫瘍、電解質バランスの異常や内分泌の病気を原因とする高血圧、脂質異常症など対象は幅広く、様々な内分泌の病気に対し専門的な診療を担っています。
本院は日本内分泌学会の認定教育施設ならびに日本甲状腺学会の認定専門医施設で、地域における内分泌疾患の専門診療を担っています。スタッフは日本内分泌学会の内分泌代謝科(内科)専門医・指導医、日本甲状腺学会の認定専門医のいずれかもしくは双方の資格を持ち、豊富な経験を有しています。
診療方針
内分泌の病気は長い経過をたどるものが多く、様々な他臓器合併症や糖尿病、高血圧、脂質異常症、骨粗鬆症などの代謝合併症を合併し、生命予後や生活の質(QOL:quality of life)、日常生活動作(ADL:activities of daily living)に著しく影響を及ぼします。一方で、甲状腺クリーゼや粘液水腫性昏睡、副腎クリーゼなどの急を要する病気は早急に治療を行わないと生命の危機に直結します。ホルモンは全身に幅広く作用することから、ホルモンの過不足に伴う典型的な症状、徴候を呈する場合もあれば、何気ない症状を呈したり、電解質の異常など検査所見の異常をきっかけに発見されたり、さらには他の病気として治療されていたものが実は内分泌の病気が原因であったりなど、内分泌の病気が診断されるきっかけは様々です。そのような中、負荷検査を含めた内分泌学的検査(ホルモンの検査)ならびに超音波検査、CT、MRIや核医学検査などの画像検査を駆使することにより様々な内分泌の病気に対して的確な診断を行い、適切な治療方針を決めるように努めています。また、がんなど種々の病気に対する治療法が日々進歩していますが、それらの治療に用いられる薬剤や放射線治療がホルモンの分泌に影響を与え、治療が必要になることもあります。本院は全54診療科という全国屈指の診療科数を有し、臓器・疾患別の高度な専門医療を提供する総合病院という特長を活かし、他診療科とも連携して高水準の専門的医療を提供するよう努めています。
- 下垂体の病気で手術を必要とする患者さんは、脳神経外科と密に連携して診療にあたっています。当院には経鼻内視鏡手術を専門とする経験豊富な脳神経外科医と下垂体診療の経験豊富な内分泌内科医いずれもが診療しており、手術前・後の内分泌学的検査、手術、薬物治療、術後の診療を両診療科で一貫して行っています。
- 甲状腺、副甲状腺、副腎の病気で腫瘍など手術を必要とする患者さんは、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、泌尿器科と連携して診療にあたっています。
- 産科とも妊娠中・産後の甲状腺ホルモンをはじめとする内分泌管理のため積極的に併診を行っています。
- 小児代謝・内分泌内科との連携により、適切な時期に小児期医療から成人期医療へトランジション(移行)を進め、ホルモン補充療法などシームレスな(継ぎ目のない、途切れることのない)医療を行っています。
- 急を要する内分泌の病気(内分泌緊急疾患)も各診療科と連携し積極的かつ適切な診療を行っています。
なお、本院は地域医療支援病院であり、地域医療機関との役割分担のもと、十分な情報提供に基づく病診連携の強化・推進に努めています。症状や状態が安定した患者さんにつきましては、お近くもしくは身近なかかりつけ医(地域医療機関)の先生をご紹介させていただきます。
甲状腺疾患に対するアイソトープ治療(131I内用療法)
甲状腺疾患に対するアイソトープ治療(131I内用療法)を平成28年1月より開始しています。