大阪市立総合医療センター > ご来院の皆様へ > 診療科部門一覧 > 外科系診療科 > 整形外科<完全予約制> > スポーツ整形外科・関節鏡手術
膝前十字靭帯はスポーツ活動中や転倒・事故などで受傷します。スポーツ選手とっては、選手生命を脅かす最も重大な外傷です。放置すれば、スポーツ復帰が叶わないだけでなく、二次的な半月板、軟骨損傷(変形性膝関節症)を来します。受傷前のスポーツレベルに復帰するには手術が必要です。スポーツをされない方でも、日常生活で膝崩れを自覚する場合も手術をお勧めします。手術は関節鏡を用いて行い、ハムストリング腱を用いた解剖学的二重束再建や、最近米国で注目されている、大腿四頭筋腱を用いた再建術をいち早く導入しております。術後は、4-6週で松葉杖が取れ、3-4ヶ月でジョギング、6ヶ月でジャンプ動作を行い、スポーツ完全復帰は8-10ヶ月以降で許可しております。
スポーツでの外傷や、加齢的変化による後角損傷、小児の外側円板状半月損傷が主な治療対象です。当科では可能な限り縫合を行い、半月板機能の温存に努めます。中高年の水平断裂は頻度が多いですが、変形性膝関節症や後角損傷に合併する病態では手術の対象となります。変性が強いものは骨髄血血餅を併用した縫合を行い治癒促進を図ります。半月板縫合後のリハビリは1ヶ月半の松葉杖歩行、3ヶ月以降でジョギングを開始し、6ヶ月以降にスポーツ復帰を許可しています。
「お皿が抜ける」といった症状は膝蓋骨と大腿骨をつなぐ靱帯が緩むことで生じます。初回脱臼後半数以上が反復性に移行するとの報告もあり、注意が必要です。当科では自家半腱様筋腱を用いた内側膝蓋大腿靱帯再建術を行っており、Q-angleが強いものには脛骨粗面移行術も併用しています。術後は、1ヶ月間の松葉杖歩行、3ヶ月以降でジョギングを始め、6ヶ月以降でスポーツ復帰を許可しています。
離断性骨軟骨炎は膝や肘、足関節の骨軟骨の剥離骨折です。安定期や骨端線開存例では、ドリリング(骨穿孔)法で自然治癒を促進したり、骨軟骨片を再固定します。不安定病巣の場合は膝の健常な部位から骨軟骨柱を移植し、広範囲な病変には、再生医療の自家培養軟骨移植を行います。膝や足関節では3ヶ月以降にジョギング、6ヶ月以降でスポーツ復帰を許可しています。野球肘に対する骨軟骨移植の場合は、術後4ヶ月月からキャッチボールを始め、8ヶ月でマウンドからの投球を行います。また、O脚変形を来した変形性膝関節症には高位脛骨骨切り術にてX脚に矯正し内側への荷重ストレスを減らします。
スポーツや転落などのけがにより発生します。多くは反復性に移行し、「肩が抜ける」感覚のためにスポーツ活動だけでなく日常生活でも制限を強いられます。当科では関節鏡での関節唇修復術(バンカート修復術)を行い、骨欠損の程度や競技種目・レベルによっては烏口突起移行術などの補強術を併用します。術後は3週間の装具固定を行い、3ヶ月以降に筋力トレーニング開始、6ヶ月でのスポーツ復帰を目標にしています。
中高年の方に多く、けがもしくは長年の酷使による摩耗により生じます。リハビリや投薬で痛みや腕が上がりにくいといった症状が取れない場合は関節鏡手術で断裂部を縫合します。術後は4-6週間の装具固定を行い、その後リハビリテーションにて可動域や筋力を改善させ、術後6ヶ月で運動制限なしを目標としています。
スポーツ、仕事で繰り返すしゃがみ込み動作が多いと、股関節の安定性に寄与する関節唇が損傷します。投薬やリハビリなどの保存療法を行っても痛みが取れない場合は,関節鏡を用いて関節唇の縫合と大腿骨頚部の骨隆起部切除を行います。大阪市内でこの手術を行える施設は限られています。術後は4週間装具固定を行い、3ヶ月以降ジョギング、6ヶ月以降スポーツ復帰を許可しています。
自分の組織で治す、より解剖学的、生体力学的な関節温存再建手術を目指します。 靱帯断裂に対しては、自家腱での再建術を行います。
半月板も可能な限り縫合し温存します。
軟骨損傷も軟骨移植や矯正骨切術を行い、人工関節でない、より生理的な膝を目指し、 アクティブライフを取り戻すように努めます。
術後疼痛に関しても、オピオイドカクテル療法を導入し、疼痛を最小限に抑え、早期のリハビリを可能にします。
また、最新の関節鏡カメラシステムを導入し、より低侵襲な手術が可能となり、 早期退院を目指します。
半月板手術 数日~7日
膝前十字靱帯再建 7~10日
肩関節脱臼 数日~7日
肩腱板断裂修復 14日前後
股関節唇修復 14日前後
➤膝関節鏡 105件
関節鏡下靱帯再建術(主に前十字靭帯再建) 44件
関節鏡下靱帯半月板縫合、部分切除、円板状半月板 27件
軟骨手術(自家培養軟骨移植含む) 8件
➤肩関節鏡 8件
関節鏡下バンカート修復術(反復性肩関節脱臼) 6例
関節鏡下腱板縫合 2例
➤足関節鏡 5件
➤肘関節鏡 2件
➤股関節鏡 1件
加齢や廃用、フォーム不良をきっかけに関節拘縮(タイトネス)や筋力低下に伴う痛みの
場合には、積極的な理学療法、運動療法を指導しています。
具体的には、理学療法による圧痛点ストレッチ
下肢、体幹の筋力訓練(ジャックナイフストレッチ)
肩関節には積極的な肩甲骨ストレッチ
山﨑 真哉(やまさき しんや) | |
2004 信州大学卒業 | 大阪市立大学整形外科入局 |
2014 学位取得(医学博士) |
勤 務 歴: | 大阪労災病院 |
大阪市立大学医学部付属病院 | |
大阪市立総合医療センター |
留 学: | 米国ニューメキシコ州Taos Orthopaedics Institute international fellow(2016) |
主な所属学会: | 日本整形外科学会 |
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS) | |
日本整形外科スポーツ医学会 | |
日本臨床スポーツ医学会 | |
国際関節鏡・膝整形外科スポーツ医学会(ISAKOS) | |
欧州スポーツ外傷・膝外科・関節鏡学会(ESSKA) |
資 格: | 日本整形外科専門医 |
日本整形外科認定スポーツ医 |
役 職: | 日本臨床スポーツ医学会代議員 |
チームドクター: | U-23セレッソ大阪 |
趣 味: | ゴルフ(競技歴20年) |
論 文(英語、筆頭のみ):
1. Cartilage Repair with Autologous Bone Marrow Mesenchymal Stem Cell Transplantation- Review of Pre-Clinical and Clinical Studies. Cartilage 2014
2. Circulating Nucleated Peripheral Blood Cells Contribute to Early-phase Meniscal Healing. Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine. 2014
3. Proposed Referential Index to Resect Femoroacetabular Cam-Type Impingement during Arthroscopy using a Cadaveric Hip Model. Arthroscopy. 2015
4. Effect of the Direct Injection of Bone Marrow Mesenchymal Stem Cells in Hyaluronic Acid and Bone Marrow Stimulation to Treat Chondral Defects in the Canine Model. Regenerative Therapy. 2015
5. Risk Factors Associated with Radiographic Degeneration after Arthroscopic Reshaping for Juvenile Discoid Lateral Meniscus. American Journal of Sports Medicine. 2017
6. Assessment of Meniscal Healing Status by Magnetic Resonance Imaging T2 Mapping after Meniscal Repair. American Journal of Sports Medicine. 2020
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