□では、そもそもなぜ『スイカは腎臓に良い』というような話が昔から受け継がれているのでしょうか。想像の域を出ませんが、《腎臓が悪いとむくむ→むくみをとるのに尿をたくさん出す必要がある→尿を出しやすくする(利尿作用を持つ)スイカがよい》、とされたのかもしれません。確かに、スイカの90%近くは水分ですので、これだけでも尿量は増えるでしょう。さらに、スイカにはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは、ナトリウム(塩分)と一緒に水分を尿へ捨てやすくするので、さらに尿量を増やすことができるのです。確かに、このようなスイカの利尿作用は、むくみをとって血圧を下げるので腎臓に良いかもしれません。
□しかし、これは腎臓が正常に働く元気な状態であればの話です。 腎臓の力が弱い方、腎不全の方には、スイカの水分とカリウムが逆にアダになります。腎臓の力が落ちているために、水分やカリウムが尿へきちんと排泄できず、むくみや高カリウム血症を引き起こしてしまいます。つまり、スイカが毒になってしまうのです。くれぐれも、迷信にとらわれてスイカが腎臓に良いと思わないように、基本的にはなるべくスイカを食べないように、ご注意ください!
注)
腎臓が悪くても、尿細管障害が病気の中心であるために、血中のカリウムが低くなってしまう患者さんが時々おられます。このような場合は、ご自分の検査結果を参考にしながら、主治医の先生にスイカを食べても良いか、ご相談なさってください。
□ちなみに、果物、生野菜、乾物などにもカリウムは多く含まれています。
「正月にみかん、毎日5,6個食べてました」
「目にいいからと思って、干しブドウばっかり食べてた。」
「田舎から、ひじきがたくさん送られてきて、もったいないから毎日食べてました。」
すべて、患者さんから実際に伺った話で、大事には至りませんでしたが、カリウムが上昇しておりました。ご注意ください!
森川 貴
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