大阪市立総合医療センター,Osaka City General Hospital

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腎臓よもやま話3 スイカ腎臓に悪いんですか?

腎臓よもやま
スイカタイトル2


夏によくある 患者さんとの会話

患者さん:

『ええ!?スイカ、腎臓に悪いんですか!?スイカは腎臓に良いって、昔から云うから、たくさん食べてました!』

医師:

『実は、悪いんです。正確に言うと、スイカは腎臓の力が落ちている人には、良くないんですよ。スイカには、カリウムというミネラルがたくさん入っています。腎臓の力が落ちていると、それがおしっこに出せなくなって、体に貯まり、心臓なんかに悪さをするんですよ。』

患者さん:

『知りませんでした。。。』

スイカ写真

スイカが腎臓に良い? という迷信

夏になると毎年、腎臓病教室で繰り返される患者さんとの、この会話。原因は、いまだに『スイカは腎臓に良い』という迷信が、多くの方々に信じられているからです。このため、スイカの季節になると、腎臓病の患者さんが『腎臓を良くしよう』と、スイカをたくさん食べられて、高カリウム血症(血の中にカリウムがたくさん貯まった状態)になって、しばしば来院されます。高カリウム血症になると、いろいろと悪いことが体に起こります。特に心臓。動悸や脈が飛ぶ事を感じる不整脈だけでなく、心停止を起こして死に至るような恐ろしいケースもあり、とても注意が必要です。

カリウムきけん


基本的には 食べない方が無難

 

では、そもそもなぜ『スイカは腎臓に良い』というような話が昔から受け継がれているのでしょうか。想像の域を出ませんが、《腎臓が悪いとむくむ→むくみをとるのに尿をたくさん出す必要がある→尿を出しやすくする(利尿作用を持つ)スイカがよい》、とされたのかもしれません。確かに、スイカの90%近くは水分ですので、これだけでも尿量は増えるでしょう。さらに、スイカにはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは、ナトリウム(塩分)と一緒に水分を尿へ捨てやすくするので、さらに尿量を増やすことができるのです。確かに、このようなスイカの利尿作用は、むくみをとって血圧を下げるので腎臓に良いかもしれません。

しかし、これは腎臓が正常に働く元気な状態であればの話です。 腎臓の力が弱い方、腎不全の方には、スイカの水分とカリウムが逆にアダになります。腎臓の力が落ちているために、水分やカリウムが尿へきちんと排泄できず、むくみや高カリウム血症を引き起こしてしまいます。つまり、スイカが毒になってしまうのです。くれぐれも、迷信にとらわれてスイカが腎臓に良いと思わないように、基本的にはなるべくスイカを食べないように、ご注意ください!

 

注)

腎臓が悪くても、尿細管障害が病気の中心であるために、血中のカリウムが低くなってしまう患者さんが時々おられます。このような場合は、ご自分の検査結果を参考にしながら、主治医の先生にスイカを食べても良いか、ご相談なさってください。

 

スイカ以外にも、カリウムの多い食べ物があります。

ちなみに、果物、生野菜、乾物などにもカリウムは多く含まれています。

「正月にみかん、毎日5,6個食べてました」

「目にいいからと思って、干しブドウばっかり食べてた。」

「田舎から、ひじきがたくさん送られてきて、もったいないから毎日食べてました。」

 

すべて、患者さんから実際に伺った話で、大事には至りませんでしたが、カリウムが上昇しておりました。ご注意ください!

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                          森川 貴

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