大阪市立総合医療センター,Osaka City General Hospital

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腎臓よもやま話1 腎不全と金魚の水槽

腎臓よもやま
腎不全と金魚の水槽


はじめに

腎臓の大切な働きの一つとして、生き物にとって毒になる窒素(N)化合物を、尿として体の外に捨てるというものがあります。この窒素化合物は、食べ物の中に含まれるタンパク質から作られます。私たちヒトでは、主に尿素という窒素化合物(他には尿酸、クレアチニン、インドキシル硫酸など)となり、体外に排泄されます。

このため、腎臓の力がほとんど無くなってしまった状態「末期腎不全」になると、尿素を中心とした窒素化合物が体内にたくさん貯まってしまう尿毒症となって、最終的には命を落としてしまうことになるのです。

さて、この「末期腎不全」の状況と結構似ているなぁと感じたことが、最近身近な出来事の中にありました。それは、夏祭りの露店でゲットしてきた金魚を飼育し始めた時の事で、これについて少しお話ししたいと思います。

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数日間で金魚の元気がなくなって...

昨年の夏祭り、露店の金魚すくいで数匹の金魚をもらってきました。娘が動物を飼育する責任感と生命の大切さを学べたらいいなと思い、早速、金魚飼育セット(水槽、エアポンプ、簡単な濾過フィルター、カルキ抜き、金魚のエサ等入り)を近所のホームセンターで購入して、飼育を始めました。

ところが、初めの数日間こそ金魚たちは水槽の中を元気に泳ぎ回っていたのですが、徐々に元気を無くしていき、日を追う毎に、一匹また一匹と死んでいくではありませんか。これでは、生命の大切さを教えるどころでは無く、金魚すらろくに飼育できないだめな父親の烙印を押されてしまいます(まあ押されているのですが)。娘もせっかくもらってきた金魚が次々に死んでいく姿を見て、悲壮な様子です

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原因は窒素化合物

そこで、その原因が何なのか、いろいろと調べてみました。すると、驚くべき事実にぶち当たりました。新しく水槽で金魚を飼い始めた時に、金魚の生死をわけるものとして、窒素化合物(アンモニアや亜硝酸)がとても重要であるというのです。

どういうことか言いますと、金魚を含めた魚類は、エサの中のたんぱく質をアンモニア(毒)という窒素化合物で体外に捨てます。これが金魚の水槽内にどんどん溜まっていきますが、しばらくすると、アンモニアを分解するバクテリアが水槽内に繁殖してきて、亜硝酸(毒)に変えていきます。しかし、今度は亜硝酸が溜まってきます。そこで、次に亜硝酸を硝酸塩(無毒)に分解するバクテリアも繁殖してくるのですが、飼い始めの3~4週間ではこれらのバクテリアが十分に繁殖しておらず、窒素化合物を分解する速さよりも、蓄積する速さの方が勝ってしまうのです。

このため、金魚を飼い始めて日が浅い水槽では、窒素化合物が大量に溜まってしまう、ヒトの体に例えるなら「末期腎不全」の状態となって、金魚の生命を奪ってしまうのです。我が家の金魚たちも、これが原因で死んでいったのでしょう。

図1
腎臓の重要さを再認識

このように、ヒトの体でも金魚の水槽でも、窒素化合物をきちんと処理することが生命にとって、とても大切であることがわかります。腎臓が生命を維持するということに関して、いかに重要な役割を担っているかを、金魚を飼育することで再確認させられました。

ちなみに、飼い始めた頃の高濃度窒素化合物状態を一匹だけが何とか乗りきり、生き残りました。その金魚は、それから約半年が過ぎた現在、後に金魚屋さんで買ってきた他の金魚達と一緒に水槽内を元気に泳いでおります。

 

 

 

 

生き残った和金

                          森川 貴

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