胃癌、大腸癌の早期発見!早期治療!

     

    ■胃癌、大腸癌の早期発見!早期治療!

    日本では胃癌・大腸癌は罹患率、死亡者数ともにとても多い癌です。2019年の癌死亡者数を見ると、1位の肺癌に続いて2位が大腸癌、3位が胃癌となっています。また生涯で約15人に1人が胃癌、約11人に1人が大腸癌に罹患すると言われています。しかし近年、内視鏡検査、治療技術の進歩により早期発見、早期治療ができるようになってきており、命を落とさず「治る癌」であるとも言えます。
    ・胃癌の予防、早期発見

    胃癌の原因として明確にわかっているのは「ピロリ菌感染」です。ピロリ菌は主に乳幼児期に両親などから胃に感染します。大人になって感染することはほとんどありません。感染するとピロリ菌は胃に住み続け、胃は萎縮性胃炎という状態となり、胃癌発生の素地となります。胃癌患者の98%はピロリ菌に感染しているというデータもあります。胃カメラや胃X線検査を行い萎縮性胃炎や胃潰瘍などが見つかった場合はピロリ菌検査を行い陽性であれば除菌を行うことで胃癌のリスクが低下します。しかし除菌後も萎縮性胃炎が完全に治ることはなく、胃癌発生のリスクは残ります。また近年ピロリ菌が陰性であっても全く胃癌にならないわけではありません。厚生労働省では2年に1回の検診が推奨されており、定期検診を受けていただくことで、胃癌であっても早期の段階で見つかる可能性が非常に高くなります。早期胃癌に関しては外科手術を行うことなく上述の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による内視鏡切除で治癒を目指すことができます。

    ・大腸癌の予防、早期発見

    ポリープとは粘膜から出っ張っている隆起の総称です。ポリープには腫瘍ではなく癌化する可能性のない「過形成性ポリープ」、良性腫瘍の「腺腫」、そして悪性の腫瘍である「癌」です。大腸癌の特徴はほとんどが「腺腫」から癌に育っていくことです。腺腫は5mmを超えると一部が癌化している可能性があり、大きくなるに従い癌化している可能性が高くなります。したがって5mmを超えるポリープがあった場合には切除した方が良いとされ、便潜血検査や大腸カメラなど定期的に検査を受け、進行癌へと進展する前にポリープを切除することが大腸癌の予防、早期発見のために重要と言えます。腺腫や早期大腸癌はスネアと呼ばれる金属の輪をかけて切除するポリペクトミー、内視鏡的粘膜術(EMR)と上述の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で切除します。