小児整形外科
科の特色
小児整形外科は、新生児から青年期にいたる小児の運動器に関係する疾患を対象とした治療に加えて、将来における関節症発症などによる機能障害の予防にも焦点をおいています。小児整形外科を受診する患児の診療に加えて、小児医療センター内の他科との連携により運動器疾患に関する問題に対応しています。また、成人整形外科の各領域の専門スタッフが小児にも対応して治療にあたっています。種々の合併症を有する患児の手術については、小児医療センター内各科の協力を得て、積極的な手術的治療を行っており、チームとして総合的かつ長期的な視野にたった治療方針をたてられるのが当科の特色です。整形外科だけでなく産科や小児科の地域の医療機関や各検診機関からの紹介も多く、地域と連携しつつ、専門的な医療をおこなっております。
診断法・治療法は低侵襲を原則としています。
先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)やその他の股関節の異常を検診で指摘された乳児に対しては、超音波法を用いて検査を行い、放射線被曝の軽減を計っています。また脱臼患肢の愛護的な整復をめざして、牽引治療や関節鏡を用いた低侵襲手術も行っています。ペルテス病に対しては装具による保存療法を基本として、X線像やMRIから得られた病状に応じて手術的治療を行っています。大腿骨頭すべり症に対しても画像診断の情報から、すべりの重症度に応じて最も効果的な手術療法を選択し治療しています。先天性内反足や筋性斜頚の患児の紹介も多く、病状に応じて非手術的治療や手術的治療を行っており、良好な成績をおさめています。先天性内反足は標準治療であるPonseti法により治療しています。先天性および後天性の(外傷後を含む)四肢の変形に対しては、エイトプレートを用いた骨端線成長抑制法や創外固定器を用いた仮骨延長術により治療し、O脚・X脚や外反扁平足に対しては、手術治療に加えて装具治療などの保存的治療も行っています。骨形成不全症や軟骨無形成症をはじめとした骨系続疾患に対しては、小児内科医との協力が不可欠であり、相互協力のもと治療方針をたてています。
母指多指症や合指症、裂手症など上肢の先天性疾患に対しては、整容的にも機能的にもすぐれた再建手術が必要ですので、豊富な経験と高度な技術をもつ、手の外科・マイクロサージャリーの整形外科専門スタッフが治療を行っています。
側弯症や椎間板ヘルニア、脊椎分離症をはじめとした脊椎疾患に対しては整形外科、脊椎外科の専門スタッフが装具等による保存的治療や手術治療を行っています。
骨軟部腫瘍を専門とするスタッフにより小児の骨軟部腫瘍に対する専門的な治療もおこなっています。