自家培養表皮による巨大色素性母斑の治療
2016年12月に保険適応が認められました
自家培養表皮移植とは、従来の治療法に比べ、はるかに患者さんの負担の少ない手術です
これまで巨大色素性母斑に対して行われてきた治療方法は、少しずつ切除していく方法(10回以上の手術が必要になることもあります)・組織拡張器を用いた切除方法・切除して自家皮膚移植(皮膚を取るところに大きな傷が残ります)などがあります。しかしながら、多数回にわたる手術など負担が大きいものでした。
自家培養表皮による巨大母斑の治療は、上記のとおりその負担を軽減できる新しい治療法で、当院では、積極的に治療を開始しています。
自家培養表皮による巨大母斑の治療の保険適応に当たっては、当施設は保険を獲得するための治験(保険診療を獲得するために患者様に同意を得て行う臨床治療)に深く関わってきました。
この治験は、2013年2月に関東3施設(国立成育医療研究センター・聖マリアンナ医科大学・栃木こども医療センター)と大阪市立総合医療センターの4施設で開始され、2013年11月まで行われました。当施設では4施設の中で最も多くの治験症例に対応し、全例100%生着という結果をだし、保険適応に大きく貢献しました。この治験症例の手術は、関東以外で当施設において初めて行われ、全治験症例中2例目でした。これらの経験をもとに私たちは、安全かつ適切な加療を行っています。
シート化された培養表皮
(J-TECホームページより引用)
自家培養表皮移植の実際
- 母斑のない正常部位から約1×2㎝の皮膚を取ります。局所麻酔が可能であれば、通院で採取は可能です
- この皮膚から再生医療により自家培養表皮を作成します。作成は業者に依頼し、約4週間で自家培養表皮ができあがります。
- 入院の上、全身麻酔下に色素性母斑の切除(皮膚の深い部分(真皮)は一部残します。よって母斑を完全に切除するわけではありません)し、培養表皮を移植します。
- 入院は手術した範囲、母斑の大きさや手術時年齢にもよりますが、およそ1~2週間です。
- 自家培養表皮はおよそ2週間で生着します。
- 退院後は数ヶ月移植部位の保護が必要です。
自家培養表皮移植の1例
術前
培養表皮移植時
術後1年3ヶ月
大きい色素性母斑をお持ちの方は、ご遠慮なく一度ご相談下さい。
当科受診には、原則としてかかりつけの医師からの紹介状が必要です。また、完全予約制を取っております
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