内視鏡による消化器がんの手術;内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
内視鏡を用いてお腹を切らずに行う治療は経験豊富なスタッフのもと、最新の治療機材も導入しながら安全で質の高い内視鏡治療を提供します。また、ほとんどの内視鏡治療は静脈麻酔や鎮痛剤を用いて行います。
ここでは当科で行なっている内視鏡検査・治療の一部をご紹介いたします。
・内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
対象疾患:早期食道癌、早期胃癌、早期十二指腸癌、早期大腸癌
適応となるのは癌が消化管壁の表面にとどまり、リンパ節転移の可能性が非常に低い病変です。そのような早期癌に対しては、治療前に内視鏡検査やその他画像検査などで癌のサイズ、進行度を精密に評価した上でESDを行います。当院では年間約250件のESDを行っております。
治療方法
治療は静脈麻酔下(食道ESD、十二指腸ESDは全身麻酔下)で行います。治療時間は病変の大きさや場所によって異なりますが、15分〜2時間程度です。当院では術後症例や治療後再発症例などの治療困難例も数多く行なっています。術後は問題なければ2日後より食事を再開します。入院期間は1週間程度です。治療後は定期的に内視鏡検査での再発チェックを行います。
- 色素散布や拡大内視鏡観察等で病変の範囲を確認する(写真1,2)
- 青い色素を混ぜた生理食塩水やヒアルロン酸を粘膜下層に注入し、病変周囲を切開する(写真3)
- 注入液で青く、分厚くなった粘膜下層を1.5-2mmの電気メスで剥離していく(写真4)
- 剥離終了後、残存した血管を焼灼し、病変を回収する(写真5)
- 回収した検体は広げて固定し、病理検査に提出し分化度や深さを診断する(写真6)
早期胃がん
ESD前 | |
写真1 | 写真2 |
ESD中 | |
ESD後 | |
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