主な疾患・検査実績
主な疾患
・卵巣嚢腫(良性卵巣嚢腫)
・卵管留水腫
・卵管留血腫など
診療実績
平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | |
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子宮に対する手術 | |||||
腹腔鏡下子宮全摘出術 | 58 | 40 | 60 | 65 | 63 |
腹腔鏡下子宮筋腫核出術 | 22 | 14 | 35 | 34 | 35 |
卵巣に対する手術 | |||||
腹腔鏡下卵巣囊腫摘出術 | 66 | 83 | 77 | 97 | 72 |
腹腔鏡下卵巣卵管摘出術 | 25 | 51 | 49 | 40 | 40 |
その他の腹腔鏡手術 | 4 | 3 | 3 | 6 | 8 |
ロボット支援下腹腔鏡下手術 | 19 | ||||
合計 | 175 | 191 | 224 | 242 | 237 |
入院中と退院について
術後経過が順調な場合、術後1日目より歩行と水分摂取、食事が開始となります。血液検査で貧血の状態などの確認を行います。経過が良好なら術後2日目よりシャワーが可能になります。必要時には追加で血液検査や診察を行い、問題がなければ術後4日目の退院となります。退院1~2週間後に外来診察があります。腫瘍を摘出した場合は、この際に病理組織診断の結果の説明をします。
手術は全身麻酔で行います。当院では麻酔科医が24時間常在しています。手術の際には麻酔科医による全身管理を行います。
婦人科病棟(さくら10病棟)は、全員女性看護師が担当しています。常に女性ならではの気配り、心遣いで入院中の患者さんが安心して治療に専念できるように療養環境を整えています。また患者さん、ご家族の立場に立った良質な看護を提供しています。
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婦人科婦人科ロボット手術外来| 婦人科手術支援ロボット『ダヴィンチ』 大阪市立総合医療センター婦人科 および婦人科 徳山 治が関西初、全国8番目のロボット手術症例見学施設および手術指導医として認定されました。 ロボット手術(ダヴィンチ手術)を実施するには、定められたトレーニングを受ける事が必須となっています。その一つにダヴィンチ製造販売元であるIntutive Surgical社による認定を受けた施設で、認定を受けた手術指導医によるロボット手術の指導を受け認定書を授与される事が必須となっています。 この手術症例見学施設および手術指導医は『手術経験が豊富で、高度な技術を有し、安全性に優れた施設および医師』が認定されます。 大阪市立総合医療センター婦人科 および 婦人科 徳山 治が関西初、全国8番目のロボット手術症例見学施設および手術指導医として認定されました。 徳山医師から川西医師への認定書授与および認定書 『婦人科ロボット手術外来について』 2018年4月1日より婦人科ロボット手術外来(担当:徳山 治)を開始しています。 担当医は、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医・技術審査委員、日本婦人科腫瘍学会専門医、ロボット手術認定医、日本ロボット外科学会専門医で、良性腫瘍から悪性腫瘍に対する低侵襲医療に、豊富な経験と知識を備えており、患者さんに安心して手術に臨んでいただけると思っております。 世界では婦人科が最もロボット支援下手術を実施しております。 日本も数年後には、婦人科が最もロボット支援下手術を実施していると思われます。今後も『痛みの少ない、小さな傷で、早期の術後回復』をモットーに、多くの患者さんにロボット支援下手術を提供できるように、取り組んでいきます。 適応疾患 ・良性疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症などの子宮全摘出術) ・早期子宮体癌 ・子宮頸癌 ・今後性器脱に対する手術を実施予定です。 子宮筋腫について ①性成熟期女性に多くみられ、30歳以上の約30%にみられます ②症状:過多月経、月経困難症、圧迫症状、疼痛 ③診断:超音波検査やMRI検査 ④治療:薬物療法、手術療法として筋腫核出術、子宮全摘出術など 手術希望またはロボット手術に関する相談希望の方へ 木曜日または金曜日の腹腔鏡外科または婦人科ロボット手術外来(共に担当:徳山 治)を受診してください。 外来担当医(木曜日と金曜日) 徳山 治 『手術件数』および『手術実施医』 『当院でのロボット支援下手術件数』 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 良性子宮腫瘍 14 63 116 135 子宮体癌 1 3 5 21 9 子宮頸癌 1 2 0 0 0 計 2 19 68 137 144 『婦人科でのロボット手術実施医』 氏名 役職 取得年月日 資格 徳山 治 婦人科副部長 2017年2月20日 日本ロボット外科学会専門医(国内B級) ロボット手術指導医(メンター) 村上 誠 婦人科医師 2019年4月19日 川西 勝 婦人科医師 2020年1月17日 『ダヴィンチXi とその特徴』 3Dの高画質および拡大視野を持ち、鉗子は7つの関節機能をもっているため、腹腔鏡下手術の欠点を克服しています。詳しく見る
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婦人科適用となる病気 | 婦人科子宮筋腫 子宮筋腫は女性の30%程度にみられる良性の疾患です。子宮筋腫は発生する部位により漿膜下筋腫、筋層内筋腫、粘膜下筋腫に分類されます。これらの筋腫により症状を伴った場合に治療の対象となります。子宮筋腫があるというだけで手術になるわけではありません。 症状 過多月経:筋腫により月経量が多くなることです。これによって貧血になることもあります。 腹部膨満感:子宮筋腫を含む子宮の大きさが直径15cm程度になってくるとお腹が張ったりすることがあります。 周辺の臓器への圧迫:子宮の前には膀胱があり、大きさによっては頻尿や尿閉を認めることがあります。子宮の横には尿管という腎臓から膀胱へ尿を運ぶ管があり、これらの通過障害による水腎症(腎盃と呼ばれるところに尿がたまり腎臓が腫れる)などをおこすことがあります。 腸骨静脈(骨盤内の太い静脈)を圧迫することにより、深部静脈血栓症をおこすことがあります。 不妊症:子宮筋腫の存在している部位によっては原因の1つになります。 治療 子宮筋腫に対する腹腔鏡手術について 腹腔鏡下子宮筋腫核出術:挙児希望のある方・子宮を残したい方 腹腔鏡下子宮全摘出術:挙児希望のない方 腹腔鏡下子宮筋腫核出術 1.子宮に血管収縮剤投与 2.体内にて子宮筋腫摘出 3.子宮筋腫を回収袋に収納 4.子宮を体内にて縫合後 5.臍部より子宮筋腫を回収 卵巣嚢腫 若年から高齢の方まで幅広い年齢層にみられます。漿液性•粘液性嚢胞腺腫(卵巣に水や粘液がたまる)、卵巣成熟奇形種(卵巣に脂肪や髪の毛、歯などが生じる)、卵巣チョコレート嚢胞(卵巣内に血液がたまる:子宮内膜症の一種)などがあります。卵巣が捻れたり、破裂した場合には緊急手術が必要となることが多いです。一般的には5~7 cm前後になると手術が必要となります。卵巣はお腹のなかにある臓器のため良性か悪性かは最終的には手術後の病理組織検査によって診断されます。 症状 腹部膨満感:卵巣の大きさは通常2~3cmですが、卵巣が10cmや20cm程度に大きくなることがあります。それによってお腹が張った感じやスカート、ズボンが閉まりにくいなどの症状を認めることがあります。 月経不順:順調であった月経周期に異常を認めることがあります。 下腹部痛:卵巣が大きくなることにより下腹部痛を認めることがあります。 治療 腹腔鏡手術について ・腹腔鏡下卵巣囊腫摘出術 : 挙児希望のある方、卵巣を残したい方、月経のある方 ・腹腔鏡下卵巣、卵管摘出術 : 挙児希望のない方 早期子宮体がん 子宮体がんは子宮の奥にできるがんで、年々増加傾向にあります。診断は子宮内膜細胞診や子宮内膜組織診で診断します。治療は手術が第一選択となることが多いです。 症状 ・出血が最もみられる症状です:特に閉経後に少量ずつ長く続く出血がある場合は注意が必要です。 ・褐色のおりものなども子宮体がんの症状のことがあり注意が必要です。 ・下腹痛や骨盤領域の痛みなどの症状を感じる場合には病気によることもあります。 治療 腹腔鏡下子宮体がん根治術 従来、子宮体がんに対する手術はすべて開腹手術で行われていました。平成26年4月から早期子宮体がんについては、腹腔鏡手術が保険適用となり、当院でも施設認定を取得しております(ただし病気の進行程度や全身状態によっては腹腔鏡手術が不可能な場合があります)。 手術方法 腹腔鏡にて子宮摘出 腹腔鏡にてリンパ節摘出 子宮頸がん 子宮頸がんは、子宮の入り口にできるがんです。ヒトパピローマウイルスが関連しているといわれています。診断は子宮頸部細胞診、子宮頸部組織診で診断します。治療は手術が第一選択となることが多いです。 症状 ・初期の子宮頸がんの時は、症状がないことがあります。・性行為の際に出血した場合には、病気の部分と接触することによる出血の事があり注意が必要です。 ・普段と違うおりものが多くなる場合、月経血の量の増加や月経期間の延長の際には病気による事もあります。 治療 腹腔鏡下子宮頸がん手術 従来、子宮頸がんに対する手術はすべて開腹手術で行われていました。平成30年4月から子宮頸がんについて、腹腔鏡下手術が保険適用となり、当院でも施設認定を取得しております(ただし病気の進行程度や全身状態によっては腹腔鏡手術が不可能な場合があります)。 手術方法 腹腔鏡にて子宮摘出 腹腔鏡にてリンパ節摘出 子宮内膜症 生殖可能年齢の約15%に子宮内膜症がみられます。原因は不明ですが、月経時の血液が卵管から腹腔内に流れ、卵巣、卵管、腸に付着し子宮内膜症がおこると考えられています。 子宮内膜症とは、子宮内膜が卵巣、直腸、ダクラス窩(子宮後面と直腸全面にできるくぼみのような場所)にできる病気です。 症状 月経困難症:月経中に1日に何度も痛み止めが必要になります。 性交時痛、排便時痛:ダクラス窩に子宮内膜症が存在すると強い痛みを伴うことがあります。 卵巣チョコレート嚢腫:子宮内膜症が卵巣内で増殖し卵巣内で出血をおこします。大きくなれば囊腫が破裂することがあります。癌化する可能性もあります。 治療 鎮痛剤で経過観察をすることが多いです。ただし内服が多くなる場合には他の治療法が必要となります。 ピルの内服により疼痛が減ることがあります。最近では子宮内膜症の部分に直接働く薬剤もあります。詳しく見る