「ダヴィンチ」手術に用いられる内視鏡は2眼のハイビジョンカメラで遠近感のある立体画像が得られます。つまり3画像で体内の臓器などが浮き上がって鮮明に視認することができます。また高解像度で鮮明、約10倍に拡大できます。外科医の手の役割をする3本のロボットアームに接続される鉗子や鋏は、人間の手以上の可動域をもち、従来の手術では不可能であった複雑な動きが可能です。手振れ防止機能が備わっており、人間の手よりずっと小さく、先が細い鉗子を用いて従来よりはるかに細かな作業でも正確に操作ができる特徴を有します(図3)。
心臓の手術は従来、胸骨を縦に切る、胸骨正中切開から行われてきました。心臓全体が一望でき、安定した成績が得られる方法です。一方で近年、ミックス(MICS: Minimally Invasive Cardiac Surgery)という言葉が浸透してきました。私たちは、肋骨の隙間から、内視鏡下に行う心臓手術を行っています。症例によっては、胸骨の一部のみを切開する方法も検討します。
◆僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症
◆心房細動に対するMaze手術や左心耳閉鎖術
◆大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症
◆心臓腫瘍(左房粘液腫、乳頭状繊維弾性腫、ランブル疣贅など)
◆一部の胸部大動脈瘤
■ 従来から行われている胸骨正中切開
■ 内視鏡下僧帽弁形成術
肋骨の間から内視鏡を挿入して
手術を行います
僧帽弁形成術
(Loop technique)
手術創
冠動脈バイパス術においても、小切開左開胸による手術に取り組んでいます。低侵襲CABGでは出血が少なく、創部の感染のリスクを低下させる可能性が示唆されており、術後早期の社会復帰が期待できます。さらに、2020年より、ロボットを用いて内胸動脈を剥離しています。
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