大阪市立総合医療センター,Osaka City General Hospital

TEL.06-6929-1221

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整形外科<完全予約制>

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脊椎外科の紹介

当科では開院以来、脊椎・脊髄疾患に対しての外科的治療に積極的に取り組んでまいりました。
最近の10年間で2,500件以上の脊椎手術を実施し、昨年度の実績においても年間約300件の脊椎手術を行っております。当脊椎外科グループでは、これまでに実施した脊椎手術の長期成績に基づいて手術計画を立て、可能な限り低侵襲な方法(正常組織を可能な限り温存する方法)での手術を選択するよう心がけています。特に、手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を駆使した低侵襲脊椎手術を、全国に先駆け実践してまいりました。低侵襲脊椎手術では治療困難な疾患・病態に対しては、脊椎インストゥルメンテーション(脊椎内固定具)を使用した脊柱再建手術(脊椎固定手術)も行っております。当科では頚椎から腰椎まで全ての脊椎疾患の治療を行っておりますが、特に脊柱変形(側弯症、後弯症)の治療に力を入れております。乳幼児から成人まで全ての年代の脊柱変形に対する手術治療を行っており、最近の3年間で250件以上の脊柱変形矯正手術を実施し、昨年度は年間約100件の脊柱変形矯正手術を行っております。

患者さんの病態によっては、電気生理検査(神経伝導速度検査・筋電図検査)を使用した正確な確定診断・病態把握を行っております。また手術においても電気生理検査を用いた脊髄機能モニタリングを併用し、手術による神経損傷を未然に防ぐ対策を行っております。

担当医師
  • 並川 崇
  • 松村 昭
  • 星野 雅俊

主な疾患の説明および手術治療

頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)

頚椎(首の骨)の加齢に伴う変化(退行性変化)により、頚椎の中を走行している太い神経(脊髄)が圧迫される病気です。

脊髄が障害されることによって、手足のしびれや痛み、運動麻痺が出現します。症状が進行し手の巧緻障害(箸がうまく使えない、書字がうまくできない)、歩行障害、排尿・排便障害が出現した場合には手術による治療が必要になります。

頚椎後縦靱帯骨化症(けいついこうじゅうじんたいこっかしょう)

頚椎(首の骨)の中にある柔らかい靱帯成分(後縦靱帯)が骨に変化し大きくなり、頚椎の中を走行している太い神経(脊髄)を圧迫する病気です。

脊髄が障害されることによって、手足のしびれや痛み、運動麻痺が出現します。症状が進行し手の巧緻障害(箸がうまく使えない、書字がうまくできない)、歩行障害、排尿・排便障害が出現した場合には手術による治療が必要になります。厚生労働省の特定疾患として認められており、医療費の公費負担を受けることができる場合があります。

頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ)

頚椎(首の骨)は椎間板という軟骨組織(クッションの役割をします)で連結されています。

その椎間板の中にある髄核という組織が外に飛び出し神経を圧迫することがあります。これを椎間板ヘルニアと呼びます。椎間板ヘルニアが神経(脊髄・神経根)を押さえると四肢のしびれ・疼痛、感覚障害が出現し、筋力が低下することがあります。多くの場合は保存的治療(投薬、コルセット)で治癒します。保存的治療によっても疼痛が軽減しない場合、筋力低下が進行した場合、排尿・排便障害や手の巧緻障害(箸がうまく使えない、書字がうまくできない)が出現した場合、椎間板ヘルニアを取り除く手術が必要になります。

頚椎椎弓形成術(けいついついきゅうけいせいじゅつ)

頚椎の神経(脊髄・神経根)の圧迫を後方から除圧する術式です。

術前
術後
頚椎前方固定術(けいついぜんぽうこていじゅつ)

頚椎の神経(脊髄・神経根)の圧迫を前方から除圧する術式です。当科では、より安全な手術を行うため、神経(脊髄)周囲の操作には手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いています。

胸椎黄色帯骨化症(きょうついおうしょくじんたいこっかしょう)

胸椎(背中の骨)の中にある柔らかい靱帯成分(黄色靱帯)が骨に変化し大きくなり、胸椎の中を走行している太い神経(脊髄)を圧迫する病気です。

脊髄が障害されることによって、下肢のしびれや痛み、運動麻痺が出現します。症状が進行し歩行障害、排尿・排便障害が出現した場合には手術による治療が必要になります。手術は、手術用顕微鏡(マイクロスコープ)や脊椎インストゥルメンテーション(脊椎内固定具)を使用する最先端技術を駆使した手術を行っております。

腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)
  • 腰椎(腰の骨)は椎間板という組織で連結されています。その椎間板の中にある髄核という組織が外に飛び出し神経を圧迫することがあります。これを椎間板ヘルニアと呼びます。椎間板ヘルニアが神経を押さえると腰や下肢に痛みが出現し、筋力が低下することがあります。
    多くの場合は保存的治療(投薬、注射、コルセット)で治癒します。
    保存的治療にても疼痛が軽減しない場合、筋力低下が著しい場合、排尿・排便障害が出現した場合は、椎間板ヘルニアを取り除く手術が必要になります。
    当科では顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた手術を行っております。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

腰椎部で脊柱管(神経の通り道)が狭くなった状態を腰部脊柱管狭窄と呼びます。

脊柱管が狭くなると、その中を走っている神経が圧迫されて、坐骨神経痛と呼ばれる下肢の神経痛やしびれ、麻痺(脱力)が発生します。時には、両臀部のしびれや、股間のほてり、残尿感、便秘などの症状が発生します。長距離を続けて歩くことができなくなり、歩行と休息を繰りかえす間欠跛行という状態になります。治療方法は投薬・注射などの保存的治療を行います。神経症状が改善しない場合には神経の除圧術が必要になります。

腰椎変性すべり症、腰椎分離・分離すべり症(ようついへんせいすべりしょう、ようついぶんり・すべりしょう)

椎間板や椎間関節の変性など加齢の変化により脊椎が不安定になり、前後方向へずれている状態を腰椎すべり症といいます。

すべり症の症状としては、腰痛や坐骨神経痛と呼ばれる下肢の神経痛やしびれ、麻痺(脱力)が発生します。時には、両臀部のしびれや、股間のほてり、残尿感、便秘などの症状が発生します。長距離を続けて歩くことができなくなり、歩行と休息を繰りかえす間欠性跛行という状態になります。また、通常の腰部脊柱管狭窄症の病態に加え、強い腰痛等が出現する場合があります。治療方法は投薬・注射などの保存的治療を行います。神経症状が改善しない場合には神経の除圧術が必要になります。不安定が強い場合には除圧術に加え、固定術が必要となります。

腰椎変性側弯症(ようついへんせいそくわんしょう)

椎間板や椎間関節の変性など加齢の変化により脊椎が不安定になり、脊椎の配列がゆがんでいる状態を変性側弯症といいます。

変性側弯症の症状としては、腰痛や坐骨神経痛と呼ばれる下肢の神経痛やしびれ、麻痺(脱力)が発生します。時には、両臀部のしびれや、股間のほてり、残尿感、便秘などの症状が発生します。長距離を続けて歩くことができなくなり、歩行と休息を繰りかえす間欠性跛行という状態になります。通常の腰部脊柱管狭窄症の病態に加え、強い腰痛等が出現する場合があります。治療方法は投薬・注射などの保存的治療を行います。神経症状が改善しない場合には神経の除圧術が必要になります。不安定が強い場合には除圧術に加え、固定術が必要となります。

腰椎後方除圧術(ようついこうほうじょあつじゅつ)
  • 術前/術後
  • 腰椎の神経(硬膜管・神経根)の圧迫を取り除き除圧する術式です。
    当科では、より安全な手術を行うため、神経周囲の操作には手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いています。また、特殊な技術を用いた片側進入両側除圧(へんそくしんにゅうりょうそくじょあつ)をいう術式を行っています。これは、片側からアプローチのみで、両側の神経の除圧を可能にする低侵襲脊椎手術です。これにより、非アプローチ側の正常組織をほぼ温存することができます。
腰椎除圧・固定術(ようついじょあつ・こていじゅつ)
  • 第5腰椎分離すべり症
    術前/術後
  • 神経(硬膜管・神経根)の圧迫を取り除いた後に腰椎の不安定性が生じる場合があり、術後の安定性を得るために腰椎を固定する手術です。
    当科では、脊椎インストゥルメンテーション(脊椎内固定具)を使用した脊柱再建・固定手術を行っております。脊椎インストゥルメンテーションを併用した脊柱固定手術を行うことで、より確実に手術後の固定性が獲得でき、安定した臨床成績が得られます。
骨粗鬆性椎体骨折(脊椎圧迫骨折)

骨粗鬆症性椎体骨折は、文字通り骨粗鬆症により発生する脊椎の骨折です。
急性期、また慢性期の痛みが問題となることは当然ですが、時に脊柱管・椎間孔狭窄による神経障害を引き起こします。また、呼吸器や消化器障害が出現し、精神障害も出現すると言われております。その結果、骨折をきっかけにQOLが著しく低下し、さらには、生命予後の低下を来します。そして、椎体骨折についてですが、発生率については、本邦における研究で10年間の累積発生率は60代女性で14%、70代女性では22%にもなると報告されています。椎体骨折有病率については、70代でおよそ20%、80代ではおよそ40%にもなると報告されております。

治療方法

根本的な解決策は骨粗鬆症の予防と治療です。当科では近隣のクリニックの先生方と連携し、骨粗鬆症の薬物治療を行っております。 ただ、治療を行っていても脊椎圧迫骨折が発生することがあります。ます安静、体幹固定装具による外固定など保存的治療を行います。しかし、椎体偽関節や遅発性後弯変形が強い愁訴の原因となった場合には手術治療が選択されることもあります。

椎体形成術
  • 術前/術後
  • BalloonKyphoplasty、略してBKPという手技を当科では採用しております。これは、骨折椎体にBalloonを挿入しふくらませて、セメントを充填するスペースを作り、その後、PMMAセメントを充填する手技です。手術は全身麻酔で行いますが、経皮的な小侵襲手術です。
脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)
  • 頚椎脊髄腫瘍(神経鞘腫)術前/術後
  • 脊髄およびその枝にできる腫瘍です。
    整形外科では脊髄外に発生した腫瘍(髄外腫瘍)を治療の対象としています。一般的に神経鞘腫、髄膜腫などを治療しています。腫瘍の増大とともに脊髄あるいはその枝が圧迫され、耐え難い疼痛、運動麻痺、排尿障害が出現します。脊髄が障害されてしまうと回復は困難であり早期発見・早期治療が必要となります。

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