大阪市立総合医療センター,Osaka City General Hospital

TEL.06-6929-1221

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PRP(多血小板血漿)治療について

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1)治療の概要
  •  PRP(多血小板血漿)療法は患者様の血液を加工し、組織の再生に関連する成分を抽出し、疾患のある部位に投与することで、“患者様自身の体がもつ修復力”を サポートし、改善に導く治療です。自分の血液を用いるため重篤な副作用なく利用できることが特徴です
2) 治療対象の疾患
  • スポーツ関連疾患(上腕骨外側上顆炎、尺側側副靭帯損傷、膝蓋腱炎、アキレス腱炎)

組織自体が持つ再生能力を超えて、組織への繰り返しの力学的な負荷が積み重なると組織が“変性”してしまい、なかなか治りにくい環境になってしまうことがあります。PRPはこれらの痛んだ組織の細胞を刺激することにより、より正常に近い環境の組織に近づけ、機能を改善することを目的としています。

また、スポーツを行っており、捻挫や肉離れ等の症状があり、少しでも早期復帰を望む方も適応となる場合があります。

 

  • 変形性膝関節症

変形性膝関節症は関節軟骨の老化、肥満や素因(遺伝子)、また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などを主因として発症します。例えば、加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、使い過ぎによりすり減り、関節が変形していきますが、同時に分子レベルでも組織修復のバランスの破綻が生じ、疼痛やさらなる関節の変形が促進されます。PRPは主にこの分子レベルでの組織修復のバランスを整える働きを示し、疼痛低減や現状以上の変形の進行を食い止めることを目的としています。

) 近年の研究

PRPの血漿や血小板には組織の修復を刺激促進する成分が含まれていることが分かっており、これらを濃縮投与することによる局所的な部位の早期治癒や疼痛の低減への関連性が統計的に示されています。しかしながら、作用メカニズムについて詳細な科学的証明はなされておらず、今なお研究の対象とされています。

プレゼンテーション1
4) 当院で用いるPRPの特徴

PRPといっても調整方法によって得られる成分が異なり、特性が異なるといわれています。

当院で用いるPRPはArthrex社製のACPダブルシリンジシステムにより精製される“白血球をほとんど含まないPRP“です。この白血球をほとんど含まないタイプのPRPは変形性膝関節症の治療に一般的に用いられる種類のものであり、信頼性の高い研究で変形性膝関節症に対して治療の安全性と有効性が統計的に示されています(Smith et al. 2016)、(Cerza et al. 2012)。

また、現状スポーツ外傷・障害(四肢の慢性腱、靱帯損傷)に対しても信頼性の高い研究で有効性・安全性が確認されております(Boesen et al. 2017)、(Vetrano et al. 2013)。

整形外科PRP2
受診の流れ
  • 本治療の適応であるかを診断するために、まず1度通常の受診をしていただきます。
  • 初診の方は紹介状が必要です。
  • 受診結果に基づき改めてPRP療法の予約を行っていただきます。
  • PRP療法当日は説明~採血~治療まで30~60分程度で終了します。
具体的な治療方法

患者様の血液(15ml)を採取し、遠心分離処理をします。遠心分離をすると血液が成分に応じて分離するので、血小板を多く含む血漿部分層をPRPとして採取し、これを患部に注射します。

治療後の一般的な流れと注意点
  • 注射後2~3日間は激しい運動をしないでください。
  • 注射時には患部の痛みが強い場合があり、また注射後1週間程度腫れや痛み、熱感が持続することがあります。
  • 日常生活動作は注射当日から可能です。
  • 注射当日、お待ちいただく時間が発生する場合があります。
  • 治療効果、効果の持続時間には個人差があります。

詳細は診察時に担当医にお問合せください。

PRP治療が受けることができない方(除外基準)
  • 出血傾向のある疾患のある方
  • 抗凝固薬を使用されている方
  • 貧血のある方
  • 重篤な感染症のある方や、感染を起こしやすい基礎疾患(がん、糖尿病、免疫不全症、膠原病、肝硬変など)をお持ちの方
  • その他主治医が不適当と判断した方
 費用

PRPは保険外診療(自由診療)となり、当院では以下の通りに価格を設定しております。疾患・症状により複数回の治療が望ましい場合もありますので、詳細は診察時に担当医にお問い合わせください。

  • スポーツ関連疾患 : 注射1回あたり 31,900円(税込)
  • 変形性膝関節症  : 注射1回あたり 49,500円(税込)
参考文献

 

  • Adam W. Anz et al. (2019). Exercise-Mobilized Platelet-Rich Plasma: Short-Term Exercise Increases Stem Cell and Platelet Concentrations in Platelet-Rich Plasma. Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery, Vol 35, No 1 (January), 2019: pp 192-200
  • Wen-Li Dai et al. (2017). Efficacy of Platelet-Rich Plasma in the Treatment of Knee Osteoarthritis: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery, Vol 33, No 3 (March), 2017: pp 659-670
  • Patrick A. Smith et al.(2016). Intra-articular Autologous Conditioned Plasma Injections Provide Safe and Efficacious Treatment for Knee Osteoarthritis An FDA-Sanctioned, Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Clinical Trial. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 44, No. 4
  • Fabio Cerza et al. (2012). Comparison between hyaluronic acid and platelet-rich plasma, intra-articular infiltration in the treatment of gonarthrosis. Am J Sports Med. 2012 Dec;40(12):2822-7
  • Anders Ploug Boesen et al.(2017). Effect of High-Volume Injection, Platelet-Rich Plasma, and Sham Treatment in Chronic Midportion Achilles Tendinopathy A Randomized Double-Blinded Prospective Study. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 45, No. 9
  • Mario Vetrano et al. (2013). Platelet-Rich Plasma Versus Focused Shock Waves in the Treatment of Jumper’s Knee in Athletes. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 41, No. 4

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