大阪市立総合医療センター,Osaka City General Hospital

TEL.06-6929-1221

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側彎症センター

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ご挨拶

私たち脊椎外科チームは、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの一般的な脊椎疾患の診療を頚椎から腰椎まで全ての領域で行っております。その中でも特に脊柱側彎症の治療に注力しております。当院は54診療科を有する総合病院であるだけでなく、小児医療センターを有し小児疾患の治療を得意としています。脊柱側彎(そくわん)症の診療は、医師だけではなく、看護師、理学療法士、栄養士、薬剤師など様々な医療スタッフの側彎症に対する専門的な知識と経験が必要です。また、当センターは高度な治療を安全に行える器機や施設を備えており、種々の併存疾患には他科の医師や麻酔科医の協力を得て積極的な手術治療を行っております。手術治療の成功には精巧な手術を提供するだけでなく術後早期に機能回復を図ることが必要です。チームとして総合的かつ長期的な視野にたった治療方針を立てております。
当センターには豊富な側彎症治療実績があります。幼児から成人まで全ての年代の脊柱変形に対する手術治療を行っており、最近の3年間で250件以上の脊柱変形矯正手術を実施し、昨年度の手術治療は91件(2019年)であり、これは全国8位、近畿地方2位です(DPC全国統計)。

スタッフ紹介

氏名 役職 所属学会 専門領域
松村 昭 整形外科副部長
センター長
日本側彎症学会評議員

SRS (アメリカ側弯症学会)メンバー

日本脊椎脊髄病学会評議員

こども~大人
並川 崇 整形外科副部長
副センター長
日本側彎症学会会員
日本脊椎脊髄病学会会員
こども~大人
星野 雅俊 整形外科副部長 日本側彎症学会会員

日本脊椎脊髄病学会評議員

大人

側弯症センターメンバー

側弯症センターメンバー

側彎症について

背骨は椎骨と呼ばれる骨が首から腰まで連なって柱のようになっており、これを脊柱と呼びます。通常の脊柱は、正面からみた場合まっすぐです。それに対して側方に曲がっている状態を脊柱側彎症と呼びます。通常は椎骨のねじれも伴います。

側弯症①

また、脊柱を側面からみると、頚椎(首の部分)は前方に,胸椎(胸の部分)は後方に、腰椎(腰の部分)は前方に彎曲しています。これらの配列が悪化することで“腰曲がり”が発生します(後彎症)。

側弯症について②
小児側彎症(こどもの側彎症)

ほとんどの側彎症は痛みなどの自覚症状を伴いません。小児側彎症は学校で行われる検診の結果、医療機関の受診を勧められて判明することが多いです。側彎症は、特に成長期に悪化することが知られています。よって発育期は注意が必要です。骨格の成熟後(成長期が終了した後)は急速に悪化することはありません。しかし、彎曲が大きければ成熟後も少しずつ悪化し将来的に大きな彎曲となり、肺、消化器などの不調、腰痛、腰曲がりによる種々の身体的・精神的苦痛の原因となる可能性があります。これらの障害が発生することを予防するため、適切なタイミングでの手術治療が勧められます。

側弯症のチェック

側弯症の簡便なチェック方法(前屈テスト)
前屈時の肋骨の高さの差、肩の高さの差、ウエストラインの左右差を見ます。

特発性側弯症

およそ80%の側彎症は“特発性側弯症”とよばれるものです。“特発性”とは,原因がわからないことを意味します。学童期の後半から思春期にかけて(小学校高学年~中高生)、成長とともに“せぼね”(脊椎・脊柱)が曲がっていく病気です。特発性側弯症の発生頻度は、装具治療の対象となる20-30°以上の側弯症は約0.3%、すなわち1000人に3人程度いることになります。手術治療が必要な側弯症(45°以上)は0.1%以下です。治療は、成長の程度・脊柱の変形の程度から判断し、(1)外来での経過観察、(2)装具治療、(3)手術治療を行う場合があります。手術は脊椎インストゥルメンテーション(脊椎内固定具)を用いた後方矯正固定術が主となります。手術を行う範囲は脊椎側弯のカーブタイプやカーブの大きさにより決定します。

先天性側彎症

生まれた時から椎骨(背骨)の形態異常があり、この形態異常により側弯変形を来している疾患です。椎骨の形態異常の種類やカーブの大きさを考慮し治療方法を選択します。幼児期から学童期に手術治療が必要となる場合もあります。

先天性側弯症
症候性側彎症

側彎症の原因となる疾患が基礎にある場合です。原因疾患として、神経線維腫症、マルファン症候群、脊髄空洞症などがあります。

症候性側弯症
小児側彎症の治療
定期的経過観察

脊柱の彎曲が軽い場合(20-30°未満)、骨格が成熟するまで定期的に経過観察を行います。1年に2〜3回受診していただき、レントゲン写真を確認します。進行があれば適切なタイミングで次の段階の治療に移行します。

装具治療

脊柱の彎曲が中等度の場合(20-30°以上)、これ以上側彎が進行しないよう装具治療を行います。装具治療は彎曲が急速に悪化する成長期に行います。骨格が成熟した時点で彎曲が中等度で治まれば、装具治療終了となります。当センターではこども達が装具治療を継続していけるように独自の装具を作成しております。

装具治療
手術治療

脊柱の彎曲が大きな場合、骨格成熟後も彎曲が悪化することが知られています。進行は少しずつではありますが、数十年の経過でさらに大きな彎曲となり、肺、消化器などの不調、腰痛、腰曲がりによる種々の身体的・精神的苦痛の原因となる可能性があります、これらの障害が発生することを予防するため、適切なタイミングでの手術治療が勧められます。入院期間は概ね2週間程度で、術後約5-6か月間運動を制限してもらっています。術後は装具不要です。

側弯症手術
早期発症側弯症に対する手術治療

10歳以下で発症する側弯症です。コルセット治療が基本ですが、骨成熟までに非常に大きな弯曲にいたるこども達がいます。その際には成長温存矯正手術(Growing rod)を行っています。

早期発症側弯症手術
成人脊柱変形(大人の側彎症、腰曲がり)

骨粗鬆症性変化や椎間板や椎間関節の変性など加齢の変化により脊椎の配列がゆがんで体幹バランスが不良になった(いわゆる越曲がり)状態を成人脊柱変形といいます。成人脊柱変形は小児側彎と違い、腰痛、下肢痛といった日常生活を制限する症状を来すことがしばしばあります。強い腰痛による立位保持困難や歩行障害が出現し、悪化すると消化器症状(逆流性食道炎)まで引き起こす場合もあります。これらの症状については薬物療法、運動療法、歩行補助具の使用などである程度の緩和が期待できます。しかし、つらい症状が続く場合は手術治療を検討します。成人脊柱変形の手術は大がかりになる場合が多いため、その手術適応、手術方法は患者さんの全身状態を含めた色々な要素を詳細に検討してその適否を決定します。
治療方法は投薬・注射・コルセットなどの保存的治療を行います。保存的治療で症状が改善しない場合には脊柱変形矯正手術の適応となります。手術治療の場合、入院期間は概ね3-4週間程度で、術後約5-6か月間は装具を装着し運動を制限してもらっています。

後側弯症手術
骨粗鬆症椎体骨折手術2
チーム治療

側弯症の手術治療成功には精巧な手術を提供するだけでなく術後早期に機能回復を図ることが必要です。当センターでは、先進的な術後回復プログラムであるEnhanced Recovery After Surgery(ERAS)、つまり「術後の回復を高める・強化する」プロトコールを作成しております。「術後早期回復プログラム(ERAS)」は、慣習的な方法で術前・術後の管理をするのではなく、医療技術や知識をエビデンス(科学的根拠)に基づいて活用することで、患者の術後回復力を強化し、患者の術後を改善する方法として多職種(看護師、理学療法士、栄養士、薬剤士、ソーシャルワーカーなど)との連携によって実践しています(チーム医療)。精度が高く治療効果が大きい手術を提供するだけでなく、こうしたプログラムの実施により、手術前後の身体の負担を最小限にし、より早期の回復と退院が可能となっています。

ERASプロトコール

ERASプロトコール
側弯症センターチーム医療

● 当センターへの受診

初めて受診される患者さんは紹介状が必要です。まずはお近くのクリニックを受診いただき、側弯症などの脊柱変形が認められれば紹介状をもらって当院地域医療連携室を通じて予約をしていただきます。
外来受診可能日:火、水、木の午前中です。

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