感染管理対策
体制・スタッフ構成
職種 | 人数 | 資格等 |
---|---|---|
医師 | 1名 | 総合内科専門医・指導医 感染症専門医・指導医 Infection Control Doctor (ICD) 抗菌化学療法認定医・指導医 日本臨床微生物学会認定医 Certified in Prevention Control(CIC) |
看護師 | 3名 | 感染症管理認定看護師 1名 |
薬剤師 | 1名 | 抗菌化学療法認定薬剤師 1名 |
事務職員 | 1名 |
ICT(感染制御チーム)
医師 | 11名 |
看護師 | 4名 |
薬剤師 | 2名 |
臨床検査技師 | 2名 |
院内感染防止対策室の取り組み(院内感染防止体制)
当センターでは、患者さんが感染症にり患し、本来の疾患の治療に影響が出ること、及び職員が患者さんに使用した針を誤って自身に刺し感染症に罹患する事象を防止し、安全な医療を提供するための取り組みを行っています。
- 開設時より管理者を中心とした、院内感染防止対策委員会を開催
- 院内各部門に感染制御リンクスタッフを任命し配置
- 2002年、他職種で構成されるICT(感染制御チーム)を結成
- 2010年、医療安全管理部内に院内感染防止対策室を設置し、専従職員を配置
- 2007年、ICT医師・薬剤師を中心に薬剤耐性菌に対する抗菌薬適正使用の取り組みを開始
- 2016年、AST(抗菌薬適正使用支援チーム)を結成。2018年から専従職員を配置
2020年以降は新型コロナウイルス感染症に対する現場指導、マニュアルの作成、近隣施設へのクラスター対応支援
など、感染予防対策に取り組んでいます。
詳細は、大阪市立総合医療センター院内感染対策指針をご覧ください。
サポートチーム
ICT(Infection Control Team)…感染制御チーム
院内感染対策の実動部隊として、感染対策に関する情報収集・監視・支援の役割を担っています。
構成員は、感染対策及び診療に相当の知識を有する医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師及び事務職員で構成され、様々な感染症から患者さん、ご家族、職員を守るために活動しています。
活動内容
・院内感染対策マニュアルの作成及び改訂
・マニュアルの遵守状況の評価、対応の評価(ラウンド)
― 感染状況の変化に応じマニュアルを改訂し、院内ラウンド等により遵守状況を評価しています。
また、ピクトグラム(絵文字)を用いて視覚的に感染対策を補助する手段を用意する等、 様々な形で院内感染対策に取り組んでいます。
・感染管理に関する全職員研修の開催
・感染制御リンクスタッフ部会との連携、サポート
― 各部署より選出されたリンクスタッフとの連携を行うとともに、職員の感染対策への意識の向上に努めています。
・各種サーベイランスの実施
・各種ワクチン接種プログラムの推進
・職業感染防止対策(針刺し切創・血液体液曝露)の推進
・疫学調査など保健所との連携
・地域の医療機関との連携
― 地域の医療機関との感染対策に関する相互評価や連携カンファレンスを通して、地域の感染防止対策も積極的に行っています。(感染対策向上加算1取得)
診療報酬制度における感染対策の連携
厚生労働省令和4年度診療報酬改定資料より抜粋
AST(Antimicrobial Stewardship Team) …抗菌薬適正使用支援チーム
病院で処方された抗菌薬は医師や薬剤師の指示を守らず途中で服用を止めると抗菌薬が効きにくい細菌である、薬剤耐性菌が発生するリスクが高まります。
薬剤耐性菌が感染症をおこすと、抗菌薬が効きにくい状態となり、これまで発症しても適切に治療すれば軽症で回復できた感染症の治療が難しくなり、重症化や命にかかわる可能性も高まります。当センターでは、薬剤耐性菌の問題に対し、それを防ぐためにAST(抗菌薬適正使用支援チーム)を配備し対応しています。
「抗菌薬適正使用支援チーム」は、院内感染防止対策委員会のもと、抗菌薬適正使用の実動部隊として配備されたチームで、抗菌薬使用に関する監視・介入・支援・教育を担っています。
医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師等から構成される多職種連携チームです。
・具体的には以下のような活動を通して、患者さんの安全・安心な医療を支えています。
-抗菌薬の使用に配慮が必要な症例に対し、抗菌薬使用方法の確認及び医師等へのアドバイス
-感染症の症例に対する相談に対応
-検査体制の整備
-抗菌薬や耐性菌に関する各種指標を算出・評価。適切な治療及び耐性菌発生抑制
-抗菌薬使用状況・血液培養複数セット提出率・耐性菌発生率の把握・評価
-抗МRSA薬・広域抗菌薬を対象に、届出制・許可制を実施、適正使用を監視
-最新の情報を職員に提供。研修等による教育・啓発
-抗菌薬適正使用マニュアルやアンチバイオグラムの更新
-採用抗菌薬について定期的な見直し
-他の医療機関からの抗菌薬適正使用に関する相談等に対応
(大阪市立総合医療センター院内感染対策指針より抜粋)
このような活動を通して、患者さんの安全・安心な治療を支えています。
感染管理用語集・リンク集
・院内感染
医療施設において患者が原疾患とは別に新たにり患した感染症および医療従事者等が医療施設内において感染した感染症のことである。院内感染は、人から人へ直接、又は医療器具等を媒介して発生する。
・サーベイランス
サーベイランスは、注意深く監視するという意味です。
感染症・薬剤耐性菌の分野では、監視することで感染症の動向を把握し、対策の効果を判定します。サーベイランスによって情報を収集し、検証、分析を経て解釈を行います。解釈結果を対象者に迅速にフィードバックして対策に活かしていくことを目的としています。
・感染管理認定看護師
感染対策における高度な専門知識や実践力をもつと認定された看護師で、医療関連感染サーベイランスの実践、施設の状況の評価、感染予防・管理システムの構築などを行う。
・薬剤耐性菌
従来の抗菌薬が効きにくい「薬剤耐性」を持つ細菌。
・アンチバイオグラム
アンチバイオグラムとは国、地域、病院あるいは病棟ごとに分離された各種細菌に対する抗菌薬感受性データを集計し、それぞれの菌種における各種抗菌薬についての感受性率を表またはグラフで表したものです。 地域あるいは病院により薬剤感受性率は異なり、多くの医療機関で作成され、臨床に提供されています。
・血液培養複数セット提出
血液は通常無菌状態で保たれていますが、感染が起こった場所から血液内へ病原菌が進入すると、病原菌が全身に広がり、菌血症や敗血症という重篤な感染症となります。それを防ぐためには、感染症に罹患したら、速やかに病原菌を特定し治療に効果的な抗菌薬を選択する必要があります。
感染源からの分泌物(痰や尿など)を調べ病原菌の特定する検査を「培養検査」といい、血液内の病原菌の有無を調べることを「血液培養検査」といいます。
病原菌にも様々な種類がありますが、大きく好気性菌と嫌気性菌に分けることが出来ます。
好気性菌は生きるために酸素が必要な菌、逆に嫌気性菌は酸素が不要な菌で、二つの菌は生きる環境が異なります。そこで、血液培養検査を行う場合は、それぞれの菌が発育するのに適した2種類のボトルを使用します(1セット)。
病原菌は血流中に常時存在するわけではなく、1セットの検査では原因菌を検出できる確率(検出感度)が限られてしまいます。一方、血液培養検査を2セット施行した場合の検出感度は、1セットの場合と比べて約20%近く上昇した(73.2%→93.9%)という研究報告があります。
以上から、血液培養検査では2セット以上(複数セット)採取することが世界的なスタンダードとなっており、実施率をモニタリングすることは、感染症治療を行ううえで非常に重要です。
・疫学調査
病気の発生原因・対策を推論するために、疾病を集団として調査する方法。疫学調査は、患者発見のために各種検査を利用することによる調査で、この調査によって病気あるいは症例と、考えられる原因との間の因果関係を明らかにし、治療の方法の確率に役立てる方法です。
疫学調査は、その症例を発見して治療することが直接の目的ではなく、その疾患の拡大状況や拡大の要因について調査することを目的とします。
・感染対策向上加算
診療報酬(保険診療の際に医療行為等の対価として算定される報酬)において医療機関の感染対策に関して評価され、算定・請求することができる項目。
当センターは感染対策向上加算1を算定しており、同じく感染対策向上加算を算定している病院との間で感染対策に関して相互に訪問して評価しています。また向上加算2及び3を算定している病院とは当センター主催の合同カンファレンスを実施し、感染対策の情報提供や新興感染症への対策訓練などを行っています。
あわせて、各病院からの感染対策に関する相談に助言・指導を行っています。各病院に赴いての助言、指導に関しては、指導強化加算という診療報酬の項目で評価され、算定・請求しています。
・抗МRSA薬
黄色ブドウ球菌はもともと私たちの鼻の中や皮膚に住んでいる細菌です。しかしときに膿胸や感染性心内膜炎といった重症な感染症の原因になることがあります。
МRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌のことで、私たちが普段よく使用する抗菌薬が効きにくい(耐性となった)細菌です。抗МRSA薬はその細菌に効果があるお薬です。しかし、安易に使用するとさらなる耐性を持った細菌の発生に繋がる恐れがあり、使用には注意が必要なため、届出制や許可制を行っています。
・広域抗菌薬
抗菌薬は特定の細菌に対して使用しますが、幅広い種類の細菌に効く抗菌薬も存在しており、これを「広域抗菌薬」といいます。
広域抗菌薬は便利な薬ですが、過剰な使用は患者さんの体内に元々いる常在菌をやっつけてしまい、薬剤耐性菌のみが生き残る環境をつくりだしてしまいます。そのため広域抗菌薬に関しても適正に使用されているかどうか監視をしています。
出典
・大阪市立総合医療センター医療安全業務指針
・大阪市立総合医療センター院内感染対策指針
・政府広報オンライン (gov-online.go.jp)
・厚生労働省新型インフルエンザ対策関連用語集 (mhlw.go.jp)
医療安全管理・感染管理関連リンク集
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