放射線治療装置について
放射線治療装置の紹介
目次
TrueBeam(リニアック1)
2025年4月21日(月)照射開始

高精度かつ短時間での放射線治療を可能にする最新のリニアック装置
(直線加速器)です。
〇特長
治療時間が短く、身体への負担が少ない
TrueBeamでは、放射線を短時間で照射することが可能になります。そのため治療にかかる時間が短くなり、 長時間じっとしている必要がありません。これにより、患者さんの負担が軽くなります。
呼吸に合わせたやさしい治療
呼吸をすると、肺や肝臓などの内臓は動きます。 新装置では、呼吸による体の動きに合わせてピンポイントで放射線を照射することができます。これにより、腫瘍のある 場所にしっかりと放射線を照射しながら、周りの正常な組織を守ることができます。
様々な角度の画像を取得し、より正確な照射が可能
治療前や治療中に様々な角度からのX線画像やCT画像を撮影することができます。 腫瘍の正確な位置をその都度しっかりと確認しながら照射できるため、より安全で正確な治療が可能になります。
わずかな姿勢の位置補正も正確に調整が可能に
TrueBeamでは、治療寝台の向きや角度を細かく調整することができます。 患者さんのわずかな姿勢の位置補正や腫瘍の位置の違いにも対応でき、正確で安全な照射をすることができます。

(寝台の動き)
- 赤線 体軸方向、軸に対する角度
- 青線 高さ方向、軸に対する角度
- 黄線 横方向、軸に対する角度
それぞれの方向で細かな調整が可能になります。
HyperArc機能
当院では従来、脳腫瘍に対する定位放射線治療は、ガンマナイフのみで実施可能でしたが、新しい放射線治療装置(TrueBeam)ではHyperArcというアプリケーションを用いてマスク固定にて実施することができるようになりました。HyperArcでは、転移性脳腫瘍を中心とした頭部・頭頸部病変に対するVMAT(回転型IMRT)を用いた定位放射線治療を効率的に行うことが可能です。

最新の位置照合システム「ExacTrac Dynamic」搭載

この装置は4Dサーマル・サーフェスカメラやX線を使って「正確な位置合わせ」と「リアルタイムの動きの管理」が できる最新のシステムです。
・治療時の位置合わせの時間が短縮され、患者さんの体の負担が軽減します。
・体表面を映す特別なカメラ(4Dサーマル・サーフェスカメラ)を使って治療中も体の動きを見守ることができます。



TomoTherapy(リニアック2)

2014年度導入 ACCURAY社製 TomoTherapy HD

IGRTに対応
当院ではTomoTherapyをIMRT(強度変調放射線治療)専用の装置として使用しています。IMRTでは放射線のビームを細かく調整しながら治療していくので、治療部位に近い正常組織への線量を減らすことができ、副作用をより抑えることが出来ます。また、TomoTherapyでもIGRT(画像誘導放射線治療)を行っています。
さらにTomoTherapyでは一度に広範囲の治療ができるので、全脳全脊髄照射(Craniospinal Irradiation :CSI)も行っています。

ガンマナイフ

ガンマナイフとは、コバルト60を線源とする頭部専用の定位放射線手術を行う装置です。頭蓋骨に直接フレームを固定する方法と、専用のマスクによる固定の2つの方法があります。ガンマナイフ装置でCTが撮影できることにより、マスクでの治療が可能になりました。MRIやCTの画像をもとに脳外科医により治療計画が立てられます。フレームやマスクで頭部を固定する事により、開頭しない非侵襲的な脳手術を可能にし、周囲の正常組織に対して影響をほとんど与えません。したがって、精密な手術と同様な放射線治療が可能です。
この治療は外科的手術では困難であった脳深部の治療などに対して効果を発揮します。そして外科的手術に比べて、はるかに侵襲の少ない治療法ですので、手術に耐えられない患者さんや高齢者の治療も行えます。また、照射による認知機能の低下も少なく、再発に対しても繰り返し治療を行うことが出来ます。
MRIに対応した麻酔器を使用する事で、小児に対する全身麻酔下での治療も可能です。

治療計画画面

治療用マスク
CT(SOMATOM go.Sim)

〇特長
入口部分にゆとりのある安心設計

この装置は、入口部分(ボア)がとても広く作られていて、さまざまな体勢や状態の方にも対応できます。ゆとりがあるため、圧迫感が少なく、より安全に撮影を行うことができます。
金属の影響を減らす技術「iMAR」

CT撮影を行う際、銀歯や人工関節などの金属があると、画像が見えにくくなったり、周りの組織が正しく映らなかったりすることがあります。
「iMAR(アイマー)」という新しい技術は、そういった金属の影響を減らして、できるだけ本来の姿に近い画像を作り出す技術になります。
これにより、金属近くにある体の組織もはっきり見えるようになり、正確な治療計画を立てることが可能になります。
呼吸の影響を考えた撮影技術
「呼吸同期撮影」では、呼吸状態を確認しながら撮影を行うことで、腫瘍がどのように動いているかをしっかり把握することができます。
腫瘍の動きも含めた治療計画を立てることができ、より精度の高い治療が可能になります。
高線量率イリジウム照射(密封小線源治療)


高線量率腔内照射法は密封小線源(自ら放射線を出す物質)を患部近くに滞留させて体内から放射線を照射する治療です。
治療の対象となる部位は子宮体部・子宮頚部が主となり、アプリケーターと呼ばれる直径2mm程度の管を病変部に挿入し体の内側から放射線を照射していく治療です。
患部のみに限局して放射線を照射することに優れ健常組織へ与える影響を最小限に抑えることができる特徴があります。
治療は病変部に、アプリケーターを挿入(体腔・管状器官などを利用)して放射性同位元素が通るルートを確保します。次に患部の形状やアプリケーターの位置関係を3次元的に治療計画装置を使って計算し、最適な密封小線源の滞留時間を決定します。適切な線量分布が得られると治療を開始します。
アプリケーター挿入時に違和感を伴うこともありますが、必要に応じて鎮静や麻酔を併用します。放射線照射中は何も感じることはありません。

前立腺癌に対する永久挿入療法(密封小線源治療)


125I(ヨード)密封小線源永久挿入治療(ブラキセラピー)とは手術療法や放射線外照射療法と並ぶ125I(ヨード)線源を用いた限局性前立腺癌の根治的治療方法の一つです。
上図のようなチタン製カプセル内に格納された125I(ヨード)という放射線源を、前立腺全体に放射線が分布するように経直腸超音波ガイド下にて挿入する治療方法です。
腰椎麻酔下で行われるので痛みもほとんどありません。
リスク分類によって治療線量は異なり、低リスク、中リスクの治療にはブラキセラピー単独療法で、
高リスクの場合にはブラキセラピーと外照射を組み合わせ、さらにホルモン療法を並行して行ういわゆるトリモダリティ療法にて完治を目指します。
前立腺内へ限局した高線量の照射が可能で、周辺臓器への影響が比較的少ないという特徴を有しています。また治療期間も短期間のため、早期の社会復帰が可能です。