婦人科
科の特色
当センターの理念のひとつである「高度先進医療の提供」の具体化に向け、とくに婦人科悪性腫瘍に対する診療を中心に専門分野ごとの診療を行っています。 また、積極的に低侵襲治療である腹腔鏡手術(とくにロボット支援手術)に取り組んでいます。
入院診療
- 良性疾患・早期悪性腫瘍に対しては、短期の入院で行える身体に負担の少ない手術(ロボット支援手術を含む腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術、ループ型電気メスによる子宮頸部切除術などの低侵襲手術)に積極的に取り組んでいます。
- 進行・再発悪性腫瘍に対しては、原則「婦人科腫瘍治療ガイドライン」に基づき、手術療法・化学療法・放射線療法を最大限に活用し治療効果の改善に努めています。また、悪性腫瘍の手術に際してはリンパ節郭清術が必要になる場合も多いですが、それに伴う下肢リンパ浮腫の予防・治療など、QOL改善をめざした取り組みも行っています(研修を受けた専門看護師が担当していますが、対応できる症例の数に限度がありますので、現在は当科でリンパ節郭清術を受けられた患者さんに限定させていただいています)。
- 年間約500~600件の手術を行っており、そのうち約100件が悪性腫瘍に対するものです。また、腹腔鏡下手術は約300件で、うち半数がロボット支援手術(子宮全摘出術)です。なお、2021年はCOVID19対応による手術件数調整のため、年間手術件数は521件でした。
外来診療
初診外来以外に、次に示す専門外来を設置し、より質の高い効率的な診療を行っています。
- 腫瘍外来:婦人科癌術後の定期検診を行っています。「外来化学療法室」を積極的に活用し、患者さんの背景・ニーズに合わせたきめの細かい医療の提供が可能です。また、前述の当科でリンパ節郭清術を受けられた患者さんのリンパ浮腫軽減を目的として、専門看護師による「リンパ浮腫外来」も開設しています(ただし、施術には時間を要し、専門看護師の数が限られている関係上、現在は当科でリンパ節郭清術を受けられた患者さんのみに対象を限定させていただいていますのでご了承ください)。
- 異形成外来:子宮頸がん検診で異常を指摘された症例に対し、診断確定(コルポスコープ下ねらい生検)と定期検診を行っています。治療(病巣の円錐切除術)が必要とされた場合、短期の入院(局所麻酔の場合は1泊2日)で行っています。
- 婦人科腹腔鏡外科外来・婦人科ロボット手術外来:短期の入院で行える身体に負担の少ない手術である腹腔鏡手術およびロボット支援手術を希望される方の外来です。病状や合併症によっては腹腔鏡手術が行えない場合があり、その判断を行います。適応となった場合は、術前の準備、術後検診を行っています。
- 子宮筋腫外来:これまで手術療法が適用されていた比較的大きな子宮筋腫で、保存的管理(手術以外の治療)を希望される患者さんを対象とする専門外来です。子宮筋腫を保存的に管理する際には、子宮筋腫によく似た悪性腫瘍である「子宮肉腫」ではないことを確認しておくことが重要ですが、MRl・PET/CTなどの画像診断や、独自に開発した「経子宮頸管的針生検」の診断結果を根拠に、不要な手術を少しでも回避するよう努めています。
- セカンド・オピニオン外来(予約制):婦人科癌の診療に関するセカンド・オピニオンについては、患者・ご家族の皆さんに充分ご理解・ご納得いただけるよう、通常の外来とは切り離して別に時間を充分とって行っています。あらかじめ現在かかっている医療施設の診療情報をご提供いただき、それを事前に専門医(日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医)が充分検討したうえで、懇切・丁寧に対応させていただきます。
- 不妊症外来:現在不妊専門医師が不在のため不妊症診療は行っていません。
診療方針
- 人は病気になると不安になります。その不安を取り除き患者さんに納得して検査、治療をしていただけるように医師、看護師を含めたスタッフ一同、診療に取り組んでおります。そのため不安や疑問がありましたら気軽に担当医にご相談ください。
- 検査、治療の際には婦人科医だけでなく他科の協力が不可欠なこともあります。当院では内科、外科、泌尿器科など多くの専門科があり協力しながら治療にあたっております。とくにがん診療に対しては婦人科医のみでなく、放射線診断医、放射線治療医、緩和医療医、リンパ浮腫セラピストナース、がん認定看護師、などとチームを構成し診療にあたっております。