小児脳神経外科
主な疾患
| 名称 | 名称 | 名称 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 脳腫瘍 | 13 | 脳動静脈奇形 | 25 | 頚髄損傷 |
| 2 | 髄芽腫 | 14 | ガレン大静脈瘤 | 26 | 頚椎損傷 |
| 3 | 胚芽腫 | 15 | 頭蓋内出血 | 27 | 水頭症 |
| 4 | 上衣腫 | 16 | 髄膜炎後水頭症 | 28 | 二分脊椎 |
| 5 | 神経膠腫 | 17 | 脳膿瘍 | 29 | クモ膜嚢胞 |
| 6 | 星細胞腫 | 18 | 硬膜下膿瘍 | 30 | 軟骨無形成症 |
| 7 | 頭蓋咽頭腫 | 19 | 頭部外傷 | 31 | 頭蓋骨縫合早期癒合症 |
| 8 | 胚腫(ジャーミノーマ) | 20 | 急性硬膜外血腫 | 32 | キアリ奇形 |
| 9 | 脊髄腫瘍 | 21 | 急性硬膜下血腫 | 33 | 脊髄空洞症 |
| 10 | 神経鞘腫 | 22 | 脳内血腫 | 34 | 脊髄動静脈奇形 |
| 11 | 神経芽細胞腫 | 23 | 陥没骨折 | 35 | 脊髄髄膜瘤 |
| 12 | もやもや病 | 24 | 環椎軸椎亜脱臼 | 36 | 脊髄脂肪腫 |
治療実績
| 2023 | 2024 | 2025 | |
|---|---|---|---|
| 外科治療 | |||
| 脳腫瘍 (開頭手術) | 18 | 21 | 23 |
| 脳腫瘍 (経鼻的内視鏡手術) | 1 | 5 | 2 |
| 脊髄腫瘍 | 5 | 6 | 7 |
| もやもや病 | 7 | 11 | 11 |
| 脳動静脈奇形 | 2 | 1 | 4 |
| 難治性てんかん | 32 | 45 | 40 |
| 水頭症 | 53 | 53 | 63 |
| くも膜嚢胞 | 2 | 4 | 3 |
| 頭蓋骨早期癒合症 | 26 | 10 | 10 |
| 2分脊椎 | 12 | 12 | 27 |
| キアリ奇形 | 4 | 4 | 8 |
| 外傷 | 7 | 10 | 15 |
| その他 | 12 | 12 | 6 |
| 合計 | 181 | 194 | 219 |
| 血管内治療 | 15 | 16 | 22 |
|---|
|
ガンマナイフ |
16 | 8 | 13 |
|---|
| 治療症例数 合計 | 212 | 218 | 254 |
|---|
疾患情報・コラム
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脳神経外科小児脳神経外科小児頭蓋内動静脈シャント疾患 (ガレン大静脈瘤,硬膜静脈洞奇形,乳幼児型硬膜動静脈瘻,脳動静脈瘻)動静脈シャント疾患とは動脈が毛細血管を介さずに静脈につながってしまった血管奇形です.詳しくは動静脈シャント疾患とはを参照して下さい. 小児の頭蓋内動静脈シャント疾患は成人と比べると非常に稀であるためより専門性が高く,その診断・治療は経験豊富な施設で受ける必要があります.ガレン大静脈瘤,硬膜静脈洞奇形,乳幼児型硬膜動静脈瘻,脳動静脈瘻,脳動静脈奇形が含まれ,病変の部位や血管構築などはそれぞれで異なっていますが,その症状は種類に関係なく発症する時期によってほぼ共通しています.例えばお母さんのお腹の中にいる時期から新生児期 (生後28日まで)までは動静脈シャントの血流が心臓に負担をかけて心不全を呈します.新生児期以降から2歳までの乳幼児期は動静脈シャントの血流が正常の脳静脈の流れを邪魔することで頭位拡大や水頭症などを呈し,乳幼児期以降は成人と同様に頭痛,けいれん,神経症状などで発症します. 以下にそれぞれの疾患について解説します. 1. ガレン大静脈瘤 ガレン大静脈瘤は脳の中心にあるガレン大静脈という部位にできた動静脈シャント疾患です.子供がお母さんのお腹の中にいる時期にできるため,動静脈シャントの血流量が多い場合には産まれる前から心不全を呈することもあります.また出産時はそれほど問題なくても,産まれてから数日の間に心不全が悪化することもあります.逆にシャント血流量がそれほど多くない場合には,乳幼児期までに頭位拡大や水頭症で発症します. 治療は血管内治療で,動脈側から動静脈シャント部を閉塞させます.新生児期に発症するガレン大静脈瘤は血管構築が複雑なタイプ (図1A)で,そのため複数回の治療を要します.それに比べて乳幼児期に発症するものは血管構築がシンプルなタイプ (図1B)が多いので,1-2回の治療で完全閉塞が期待できます. 図1A 図1B 図1:ガレン大静脈瘤 (側面から見た図) 1A:血管構築が複雑なタイプ.多数の栄養動脈が静脈瘤の様々な箇所で動静脈シャントを形成している (☆).新生児期に心不全で発症することが多い. 1B:血管構築がシンプルなタイプ.動静脈シャント部 (☆)は1~数か所と少なく,乳幼児期に頭位拡大や水頭症で発症することが多い. ガレン大静脈瘤は基礎疾患として毛細血管奇形-動静脈奇形を伴っていることがあり,これは遺伝性疾患であるため両親への問診・診察も必要となります. 2. 硬膜静脈洞奇形 硬膜静脈洞奇形は子供がお母さんのお腹の中にいる時期に,後頭部の硬膜静脈洞 (静脈洞交会,横静脈洞)が異常拡張して動静脈シャントが形成されたものです (図2A, B).多数の栄養動脈が異常拡張した硬膜静脈洞の壁の様々な部位で動静脈シャントを形成していることが多く認められます.ガレン大静脈瘤と同様に産まれる前から産まれてから数日の間は心不全を呈し,その後の乳幼児期では頭位拡大や水頭症で発症します. 治療は血管内治療で,1-数回の治療を要します.多くの場合で動脈側からの治療が中心で,状況に応じて静脈側からの治療も行います. 図2A 図2B 図2A:後頭部の正常の硬膜静脈洞 (正面から見た図) 後頭部の硬膜静脈洞は静脈洞交会,横静脈洞,S状静脈洞などがある.頭頂部からくる上矢状洞が後頭部正中の静脈洞交会で左右の横静脈洞に分かれる.左右の横静脈洞はそれぞれS状静脈洞となり,そこから頚部の静脈へつながる. 図2B:硬膜静脈洞奇形 多数の栄養動脈が異常拡張した硬膜静脈洞の壁に様々な部位で動静脈シャントを形成している (☆). 3. 乳幼児型硬膜動静脈瘻 乳児型硬膜動静脈瘻は小児のどの年齢層でも認められますが,特に乳幼児期に多い硬膜動静脈瘻です.成人の硬膜動静脈瘻とは異なり多発性のことが多く,また経過で新たな硬膜動静脈瘻が形成されることがあることも特徴です.また病変周囲の硬膜静脈洞の閉塞を伴うことも多く,そのため動静脈シャントの異常血流が脳静脈へ逆流し,脳うっ血や脳出血を起こす危険性もあります.病態に関する詳細は成人の硬膜動静脈瘻もご参照ください. 治療は血管内治療で,動脈側と静脈側からを組み合わせて行います.血管内治療の方法は成人と大差ありませんが,成人の硬膜動静脈瘻とは異なり多発性であること,病変周囲の硬膜静脈洞の閉塞を伴うことが多いこと,また治療経過で新たな硬膜動静脈瘻が形成されることがあるなどから,治療の難易度は高く,ほとんどで複数回の治療を要します. 4. 脳動静脈瘻 脳動静脈瘻は脳動静脈奇形よりも太い動脈と静脈のレベルで動静脈シャントが形成されており,動静脈シャント部の静脈が拡張して静脈瘤となっていることが多いのが特徴です (図4A).新生児期は複雑な血管構築を呈することが多く,年齢が高くなるほど栄養動脈が1本であるシンプルな血管構築のものが多くなります.新生児期を含めて小児のどの年齢層でも認められますが,年齢が高くなるほど出血発症が多くなります. 図4A 図4A:脳動静脈瘻 太い栄養動脈が流出静脈に直接つながっている.動静脈シャント部 (☆)の静脈は拡張して静脈瘤となっていることが多い. 治療は表在性のものは外科手術も可能ですが,血管内治療が第一選択で,動脈側から動静脈シャント部を閉塞させます.閉塞させるのに使うものは液体塞栓物質 (図4B)とプラチナコイル (図4C)とがありますが,病変の血管構築に応じて使い分けます.シンプルな血管構築の場合は1回の治療で完全閉塞が期待できますが,複雑なものでは複数回の治療を要します. 図4B 図4C 図4B:脳動静脈瘻に対する血管内治療 (液体塞栓物質を用いるもの) 太ももから細いカテーテル (マイクロカテーテル)をできる限り栄養動脈の奥 (動静脈シャント部の近く)まで誘導し,そこから血管を閉塞させる液体 (液体塞栓物質)を注入する. 図4C:脳動静脈瘻に対する血管内治療 (プラチナコイルを用いるもの) 太ももから細いカテーテル (マイクロカテーテル)を栄養動脈まで進め,最終的に動静脈シャント部を超えて静脈瘤内まで誘導する.そこから栄養動脈にかけてプラチナコイルを留置する. 脳動静脈瘻は基礎疾患として遺伝性疾患であるオスラー病や毛細血管奇形-動静脈奇形を伴っていることがあるため,両親への問診・診察も必要となります. 5. 脳動静脈奇形 脳動静脈奇形の多くは成人で発症し,小児の脳静脈奇形の割合は全体の20%以下です.小児でも新生児期や乳幼児期に発症することは稀で,ほとんどが3歳以降に発症します.成人よりも脳出血で発症することが多く,また病変 (ナイダス)が大きいことが多いのも特徴です. 治療に関しては成人と大きな違いはありませんので,成人の脳動静脈奇形を参照して下さい.詳しく見る -
脳神経外科小児脳神経・言語療法内科小児脳神経外科小児脳梗塞脳梗塞は高齢者に起こる印象があるかもしれませんが,小児でも起こりえます.頻度は成人の脳梗塞よりも低く,年間発症率は成人では10万人当たり約100人あるのに対して,小児では2~13人程度です.症状は成人と同様に運動麻痺,言語障害などの神経症状となりますが,乳幼児や年少児では痙攣や活力低下,行動異常などで発症することも多く,そのため脳梗塞と気づかれず,診断まで時間を要してしまうこともあります.成人では動脈硬化や心臓の不整脈が原因となることが多いのに対して,小児では成人とは異なる原因がたくさんあり,逆に原因が特定できないことも少なくありません.代表的な原因として感染症を契機とした脳梗塞があります.これは風邪や胃腸炎といった普段よく遭遇するウイルス感染の数日~数週間後に脳動脈が狭くなって脳梗塞を発症するものです.他にウイリス動脈輪閉塞症 (もやもや病)や先天性心疾患が原因となる脳梗塞 (心臓から血の塊が脳動脈へ飛んでいく)などもあります. 小児,成人に関係なく脳梗塞による神経症状は後遺症として,その後の人生に影響を及ぼします.したがってその診断は1分1秒でも早くつけ,脳梗塞の悪化を防ぐために治療を開始する必要があります.治療は当科と小児脳神経内科とが協力してあたっており,基本的には点滴・内服による内科的治療になります.成人では脳の太い動脈の閉塞による脳梗塞で,発症24時間以内であれば血管内手術によって閉塞した部位を再開通させる治療 (血栓回収療法)が行われていますが,当院では小児でも対応することができます.詳しく見る -
脳神経外科小児脳神経外科小児脳動脈瘤小児の脳動脈瘤は稀ですが,くも膜下出血の原因となる疾患として無視できません.成人を含めた動脈瘤全体の1~5%程度を占め,成人の動脈瘤の多くは袋状に膨らんだ嚢状動脈瘤 (図A)ですが,小児ではその割合は40~50%程度,動脈全体が膨らんだ解離性 (紡錘状)動脈瘤 (図B)の割合が高くなります.また小児脳動脈瘤の20~50%は大きさが10mm以上の大型または25mm以上の巨大動脈瘤であることも特徴です.特に巨大動脈瘤ではくも膜下出血以外に脳が圧迫されることで運動麻痺や言語障害などの神経症状で発症することもあります. 図A 図B 図A:嚢状動脈瘤 動脈瘤は正常の脳動脈から袋状に突出している.動脈瘤の根元 (頚部)からは正常の動脈枝を認めることがある. 図B:解離性 (紡錘状)動脈瘤 動脈瘤は脳動脈の一部が全体的に膨らんだ形状となっている. 動脈瘤がなぜできるのかは成人も小児でも分かっていませんが,小児では約1/3に全身性の基礎疾患が認められるため,小児で脳動脈瘤が見つかった際にはそれらの基礎疾患が隠れていないか調べる必要があります. 治療は動脈瘤の部位・大きさなどから外科手術と血管内治療の選択となりますが,これらは成人と概ね変わりないので,詳しくは成人の脳動脈瘤を参照して下さい.詳しく見る
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