放射線治療の流れ

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大阪市立総合医療センター
診療科・部門

放射線治療の流れ

STEP1
STEP2
STEP3
STEP4
STEP5
STEP6
STEP7
STEP1 放射線治療科医師の診察

 まず、放射線治療を専門とする医師(放射線治療医)が診察を行います。これまでの検査結果や現在の体調などを詳しくお伺いし、放射線治療が患者さんにとって最適な治療法かどうかを判断します。 この診察では、治療の目的、期待される効果、具体的なスケジュール、起こりうる副作用とその対策などについて、分かりやすく丁寧にご説明します。不安なことや疑問に思うことがあれば、どんな些細なことでも遠慮なくご質問ください。患者さんとご家族が十分に納得された上で、治療に進むことを大切にしています。

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 診察の前に、聞きたいことや不安な点をメモにまとめておくことをお勧めします。

医師を前にすると緊張して忘れてしまうこともあります。ご家族と一緒に診察を受け、説明を聞くのも良いでしょう。

STEP2 治療計画用画像の撮影(治療計画用CTMRIの撮影)

 治療の「設計図」を作るために、治療する部位を正確に把握するための画像を撮影します。主にCT検査を行いますが、病気の種類によってはMRIやPET-CTといった他の検査を組み合わせることもあります。 この検査では、実際に治療を受ける時と同じ姿勢をとっていただきます。正確な治療のためには、毎回同じ姿勢を保つことが非常に重要になるため、必要に応じて体に合った固定具を作成することもあります。検査は通常15分から30分程度で終了しますが、必要に応じて時間がかかる場合があります。

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  左の写真は、治療姿勢の一例です。

  照射部位などにより、治療姿勢は異なります。

  詳細については、当日スタッフが説明します。

 

 

 

 

  右の写真は、吸引式固定具です。

  固定具は、毎回同じ姿勢をとり、治療中に体が動く

  ことがないようにするために作成します。

 

 

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 左の写真は、頸部などの治療をする時に使用する固定具

 です。

 

 

 

 

頭部などの治療の場合は、首から上だけの大きさです。

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治療計画用CTについての詳しい説明は、こちらをご参照ください。

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 撮影当日は、体を締め付けない、ゆったりとした服装でお越しいただくとリラックスできます。

また、この時に決めた姿勢が治療の基本姿勢になります。もし姿勢が苦しいと感じた場合は、我慢せずにすぐにスタッフにお伝えください。

 

 

 STEP3 治療計画の作成

 CTやMRIで撮影した画像をもとに、専門の医師(放射線治療医)が、がんに対して最も効果的で、かつ周囲の正常な組織への影響を最小限に抑えるための治療計画を立てます。 患者さん一人ひとりのお体の状態やがんの性質に合わせて、どの方向から、どのくらいの強さの放射線を、どのくらいの範囲に当てるかを精密に計算します。この過程では、医学物理士という放射線治療の専門家も協力し、コンピューターを使って最適な照射方法をシミュレーションします。この治療計画が、いわば「放射線治療の設計図」となります。

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STEP4 治療計画の検証

 作成した「治療計画の設計図」が、実際に安全かつ正確に実行できるかを確認する、非常に重要な工程です。 まず、医学物理士が中心となり、作成された計画が物理的にみて本当に実現可能か、そして治療装置が計画通りに寸分の狂いなく動くかを専門的なソフトウェアや測定機器を用いて厳密にチェックします。さらに、実際に患者さんに治療を行う前に、治療装置を使って計画通りの放射線が照射されるかをダミーの測定器(ファントム)で測定し、安全性を最終確認します。このように二重、三重のチェックを行うことで、治療の精度と安全性を最高レベルに保っています。

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 STEP5 カンファレンス

 最終的な治療方針を決定するために、放射線治療に関わる専門スタッフによる会議(カンファレンス)を開きます。 この会議には、放射線治療医、診療放射線技師、医学物理士、看護師など、様々な職種の専門家が参加します。それぞれの専門的な視点から治療計画を多角的に検討し、患者さんにとって最も安全で効果的な治療が提供できるかを確認します。チーム一丸となって患者さんの治療をサポートするための、大切なプロセスです。

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 あなたの治療は、一人の医師だけでなく、多くの専門家からなる「チーム」で支えられています。それぞれの専門家があなたの情報を共有し、最善の策を練っています。あなたは一人ではありません。

STEP6 治療実施

いよいよ治療の開始です。治療室に入り、治療計画の時と同じ姿勢をとっていただきます。診療放射線技師が中心となって、ミリ単位での正確な位置合わせを行います。 位置が決まったら、スタッフは隣の操作室に移動し、モニターで患者さんの様子を見守りながら放射線を照射します。実際の照射時間は数分程度で、痛みや熱さを感じることはありません。治療中は体を動かさないようにご協力をお願いします。何かあればマイクを通してすぐに会話ができますので、ご安心ください。治療は通常、土日祝日を除き、毎日(週5回)行われます。

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治療の流れについての詳しい説明は、こちらをご参照ください。 

治療中は好きな音楽を心の中で思い浮かべたり、楽しいことを考えたりしてリラックスしましょう。毎日同じ時間帯に予約をとるなど、生活のリズムを作ると通院の負担が軽くなります。だるさなどを感じた日は、無理せず休息をとりましょう。

STEP7 治療終了後・経過観察

 予定されたすべての治療が終了した後も、医師や看護師が患者さんの健康を継続的にサポートします。

治療終了後は、主科、必要に応じて放射線治療科に診察に来ていただき、治療の効果や副作用の状態を確認します。これを経過観察と呼びます。診察の際には、体調の変化や気になることなど、何でもお話しください。治療の効果が安定し、副作用も落ち着けば、診察の間隔は徐々に長くなっていきます。

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 治療が終わっても、不安がすぐになくなるわけではありません。定期的な診察は、体の状態を確認するだけでなく、心の安心を得るための大切な機会です。気になる症状があれば、次の診察まで待たずに、いつでも病院にご連絡ください。