大阪市立総合医療センター > ご来院の皆様へ > 診療科・部門一覧 > 外科系診療科 > 泌尿器科 > 手術支援ロボット「ダヴィンチ」について
前立腺がん、腎がん、膀胱がん、腎盂尿管移行部狭窄に
対するロボット支援手術に、健康保険が適応されます
2015年、当院泌尿器科で、前立腺がんに対するロボット支援前立腺全摘除手術を開始しました。以後、2016年に、腎がんに対するロボット支援腎部分切除術を開始し、2018年に、膀胱がんに対するロボット支援膀胱全摘術を開始しました。また、2020年から、腎盂尿管移行部狭窄に対するロボット支援腎盂形成術を開始しました。いずれも、健康保険が適応されます。
腎がんに対するロボット支援手術(RAPN)は、7cm未満の腫瘍であれば、適応となります。血流の豊富な腎臓に対する部分切除術は、比較的リスクの高い手術で、さらに腫瘍の部位や深さにより、手術の難易度(ネフロメトリースコア)が変化します。当科では2020年末までに、125人の腎がん患者さんにロボット支援手術を実施してきました。これまでの手術では、腎全摘を選択せざるをえなかった難易度の高い腎がんに対しても、腎部分切除、すなわち腎温存療法を提供しており、特に腎機能低下のある患者さんに、恩恵を実感していただいています。
また、当科では術前に、腎がんの部位や深さ、血管や尿路との位置関係を把握するために、3DCT解析(Synapse Vincent®)を実施しています。これにより、術前に詳細なシミュレーションが可能となり、手術の安全性を高めることが可能となりました。
(左:腫瘍は赤色で表示、右:腫瘍摘除後をシミュレーション)
さらに、術中は、体腔内エコープローベにより、腫瘍の位置を把握し、部分切除を実施していきます。
(左:体腔内プローベ、右:超音波検査での腫瘍影(矢印))
膀胱がんに対するロボット支援手術(RARC)を、2018年4月より、新たに開始しています。2020年末までに、37人の患者さんに実施してきました。膀胱がんに対する全摘術は、尿路変向術(尿の通路を再建する手術)を伴います。尿路変向術には、尿管皮膚ろう、回腸導管、新膀胱造設術といった種類があります。
尿路変向術それぞれに、手術の所要時間や、腸管を利用するか否か、ストーマを作成するか否かといった違いがあるので、患者さんごとの背景、希望に応じて、決定していきます。また、尿路変向術については、最先端の術式である、ロボット支援体腔内尿路変向術(ICUD: intracorporeal urinary diversion)を実施しています。これは、手術の行程全てを、お腹の中(腹腔内)だけで実施する術式です。これにより、従来の、開腹による尿路変向術に比較し、輸血やイレウス(腸が麻痺する)といった合併症が減少しています。
2020年のロボット支援手術の診療実績は、前立腺がん(RARP)35例、腎がん(RAPN)31例、膀胱がん(RARC)15例でした。また、2020年から、腎盂尿管移行部狭窄に対するロボット支援腎盂形成術も開始しています。
COPYRIGHT © 地方独立行政法人 大阪市民病院機構. ALL RIGHT RESERVED.