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消化器内科ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

大腸粘膜下層剥離術(ESD)について

大腸腫瘍(早期大腸癌や腺腫)に対する内視鏡治療として、スネアを使用したポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection: EMR)が標準的手技として一般に普及しています。しかし、これらの手技はスネアサイズの物理的限界から一括切除可能な病変の大きさが2cm程度です。それ以下の大きさでも、病変の挙上が不良なもの、内視鏡治療後の遺残病変、再発病変では一括切除が困難でした。分割切除の場合には、完全に切除できたかどうかの判定が不確実になり、病変の遺残や再発の可能性があります。そのため早期大腸癌で2cmを越えるものや、スネアで切除困難な大きな腺腫には外科的治療も選択されていました。
近年特殊な電気ナイフで,全周を切開した後に、病変部を剥いでいく内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection: ESD)が登場しました。この方法は、病変の下(粘膜下層)に液体を注入して病変を浮き上がらせ、その部分を電気ナイフで剥ぎ取っていく方法です。この方法は、胃においては従来のEMRに取って代わり表在性腫瘍の標準的治療となりつつあります。しかし大腸は胃に比べて、管腔が狭い上に、ひだや屈曲が多く、壁が非常に薄いという特徴があります。このことから胃のESDに比べて大腸のESDは手技的難易度が高く、重篤な偶発症の頻度も高いといわれています。一方大腸は胃に比べて背景粘膜の炎症が少ないため、病変の境界が明瞭で、太い血管が少なく、正確なスコープ操作性と良好な視野確保を心掛ければ、大腸ESDも安全に行えます。現在当院でも積極的に大腸ESDを行い、現在(2015年4月)までに90例大腸ESDを施行しています。大きさは75mmのものも切除可能で、平均腫瘍径は26.5㎜、治療に要する時間は平均約90分でした。合併症は、後出血が1例(1.1%)ありましたが内視鏡的に止血可能で輸血を必要としませんでした。微小穿孔も1例(1.1%)のみ認めましたが、クリップのみで治療を終了しており、手術を要した症例は0%でした。
大腸ESDの適応病変として

  1. EMRでは一括切除が困難な2cm以上の病変
  2. EMR施行時に病変の挙上が不良な病変
  3. EMR施行後の遺残病変、局所再発病変

等がありますが、実際の臨床の場では、医師と患者同士が良く話し合って適応を決めています。

A. 大腸ESDの実際

  1. 大腸の場合、病変境界は容易に認識できるためマーキングは不要です。粘膜が非常に薄く軟らかいため、ナイフを軽く接地させるだけで容易に切開が可能です。
  2. 局注   

    局注液でしっかりと病変を浮き上がらせます。ヒアルロン酸ナトリウム液(ムコアップ®)を使用しています。

  3. 粘膜下層剥離

    良好な視野を確保し,剥離する層をきちんと確認してから、剥離を行うことを心掛けています。線維化症例でも、剥離するべき粘膜下層と筋層を直視し安全かつ確実な剥離を行っています。

  4. 摘出された組織です。

ESDを安全,確実に施行するには,術中出血や偶発症(穿孔と後出血)対策なども重要であり,切開・剥離の技術以外にも習熟する必要があります。 なお当院では、日本消化器内視鏡学会指導医が5人存在し、食道、胃、大腸のESDを行っております。

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